デルフトの中心街にヤンセンのアトリエがある。ここは複数のアーティストが同居する協同アトリエとなっている。
ヤンセンの部屋の壁にはストランドビーストのスケッチがあり、簡単な加工ができる道具もある。
ヤンセンはここで新たなビーストの構想を練る。
ヤンセンが「ラボ」と呼ぶ工房を建てたのは2003年。
20帖ほどの ラボにはプラスチックチューブ加工用の機械や道具がところ狭しと置かれている。
ヤンセンは1 6~7時間をここで過ごす。
この場所で、生命体としてのビーストの各パーツが生まれる。
アトリエとラボでつくられたビーストの身体は、スフェベニンゲンの 砂浜で組み上げられる。
強い風が吹きつける砂浜で、ヤンセンはその動きを確認し、試行錯誤の後にビーストを解き放つ。
生息地たるこの砂浜で、ビーストは風を食べる生命体として生きていく。
ストランドビーストはプラスチックチューブでできている。
オランダ では電気ケーブルを配線するのに使われるごく一般的なもので、DIYショップで手に入る。
チューブは骨格となりだけではなく、太さのちがうものを組み合わせる細胞から神経が生まれ、果ては脳となる。
風を食べるストランドビーストにも胃袋がある。それはペットボトル でできている。
炭酸水用の強度のあるペットボトルに、風を利用して圧縮空気をため、風がないときに動けるように備えている。
また、ペットボトルが、身体のバランスをとるために使われることもある。
複雑に組み合わされるプラスチックチューブをつなぐのに使われてい るのは結束バンド。
かつては粘着テープでとめられていたが、強度が足らず耐久性も低かった。
粘着テープは今もビーストの造形の一部に使われ、砂を付着させカモフラージュの役割を果たすこともある。