2023年10⽉23⽇より、アドレスが変更になりました。https://www.gakken.jp/kyouikusouken/
トップページ、⽩書シリーズなど、お気に⼊りに登録されている場合は、お⼿数ですが変更をお願いします。
2009年4月6日
ひとくちに脳科学といっても、その扱う範囲は大変広く、脳科学の方向性を踏まえた学際的な研究が必要になります。
その意味で科学技術・学術審議会の「長期的展望に立つ脳科学研究の基本的構想及び推進方策について」という答申案(1月23日発表)は極めて注目すべき内容のものです。
現在はパブリックコメントを募集し終え、6月には第1次答申として報告されようとしている段階ですが、包括的で中、長期的な展望を持った報告になっています。
今回の学術審議会報告で私たちの注目したのは、
です。
つまり、脳の障害や疾患の解明、アルツハイマー病などの認知症やうつ病などの解明には、医療、教育の分野でも大きな期待が持たれています。記憶や学習のメカニズムの解明も将来的に教育そのものさえ変革しかねない大きなテーマです。
しかし、科学的・社会的に意義が高い反面、安易な応用に対する懸念が大きいのも事実です。現状を整理しながらこれからの脳科学研究の方向性や、問題点が具体的に指摘されています。
学研教育総合研究所の脳力開発研究室は、ブレインマッピング研究に基づく大脳前頭前野の活性化調査や、高齢者の認知症予防のための脳機能調査研究とか、幼児の脳の発達に着目した「脳の感受性期」における教育について、規模は小さいものの実践的に取り組んできました。これは社会的意義も大変高い分野です。
この報告が示唆する方向を見据えた研究に注目しながら、なお一層の実践的研究を行なっていきたいと考えています。
(客員研究員 加藤信巳)