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2009年6月25日
保育所の第三者評価を行っている認証評価機関に、よく、次のような問い合わせがあります。
「保育所ではなく、幼稚園なのですが、子どもを通わせています。今抱えている要望を、園に伝えてもらえないでしょうか」
残念ながら現状においては、保護者の意見・要望を匿名によって一方的に園へ伝える公共の仕組みはありません。このような仕組みの整備は、各園の判断にまかされているのが実情となっています。
子どもを園に預けている保護者にとっては切実な願いがあります。保護者は、こうした願いを意見や要望として園へ直接伝えることによって、子どもに別の不利益を講じてしまうことがないだろうか、という不安も持っています。このため、口を閉ざしてしまう保護者が少なくありません。
一方、最近ではモンスターペアレントという言葉が話題となっています。ご承知のようにこの言葉は、園や学校に対して自己中心的で理不尽な要求を繰り返し言う保護者のことです。一例を挙げれば、運動会が雨天順延となり、遠方からやってきた祖父母の追加宿泊代を園に請求した保護者がいたそうです。この保護者はたびたび困難な要求をしていたようですが、これには園も驚いています。こういった権利主張が強すぎる保護者への対応は、園にとって多大なる時間と労力を要します。
保護者の意見、園の意見、どちらが正しいのか…ということよりも、子どもにとって何が一番良いのかを考えることが大切なことといえるでしょう。こうしたことが増えるにつれ、公正・中立な第三者の機関を通して、様々な意見や要望を整理・分析し、改善につなげていくような仕組みが求められるようになってきました。
この度、学校教育法と学校教育法施行規則によって、小学校以上だけでなく、幼稚園においても「自己評価」と「学校(園)関係者評価」を行うことが実質上義務づけられました。このため、文部科学省では、「幼稚園における学校評価ガイドライン」を策定し、評価を行うための方法を明確にしています。この「ガイドライン」によると「第三者評価」は、「学校(園)と直接関係を有しない専門家等による客観的な評価」と定義していますが、今後さらに検討するとしています。
文部科学省では、既に、今年度3回もの有識者会議を開催し、第三者評価をどのように行うのか、新しいガイドラインの検討を進めています。法律上では、「学校」という言葉の定義の中に幼稚園も含まれていますので、幼稚園においても早いうちに本格化していくことになるものと思われます。
(研究員 高橋俊太郎)
http://www.relief-c.co.jp/kindergarden.html
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