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2007年1月17日
厚生労働省の平成19年度予算案には、児童手当の乳幼児加算を創設するほか、母子家庭等自立支援対策の推進など、少子化対策についての総合的な推進として、1兆5000億円近い金額が計上されています。
一般的に、少子化の主要な原因の一つとして子育てにかかる経済的な負担があげらています。
今年明らかにされた「子育て家庭の経済状況に関する調査研究報告書/修正版」(財団法人・子ども未来財団)によると、子どものいる家庭では「家計が苦しい」と感じる割合が60.9%、子どものいない家庭の43.2%に比べ17.7%高いという結果が出ています。
子どものいる家庭では、その65%が子育てに負担感があり、養育費(生活費・教育費)の負担は、「子供のしつけや子どもとの接し方が適切にできているか」に次いで理由の2番目でした。養育費の負担感は、子どもが増えるに連れて増加しています。
所得による教育格差も無視できません。子どもに大学進学を希望する家庭は、年収200万円以下の場合は36.7%ですが、世帯所得が上がるにつれ上昇、年収1000万円を超えると78%に及んでいます。
また、第1子が習い事をしている割合は、年収200万円未満の家庭で30%なのに対し、1,000万円以上では78.7%、月謝も前者が月当たり7,917円であるのに対し、後者は26,875円と大きく開いています。
一方、世帯所得による学力格差のデータを示したのは、お茶の水女子大学の耳塚寛明教授です。昨年秋に「学力・家庭的背景・学校-JELS2003報告」を発表しました。
それによると、は世帯所得と学校外の教育費(塾や通信教育)が多いほど、子どもの学力点(この場合は算数の学力テストを実施)が高い傾向にあることがわかりました。
とくに、年収700~800万円と年収800~900万円の層に大きな開きがあり、後者の家庭の子の学力点は前者の家庭の子に比べ12点も高いという結果が出ています。また、学校外の教育費支出が1~3万円の場合と3~5万円の場合にも同様の開きがあり、後者の学力点は前者に比べ16.4点も高いという結果が出ています。
子育てにおいても子どもの学力においても、世帯所得などによる教育格差が起きていることをこれらのデータは示しています。
(古川隆研究員)
お茶の水女子大学教授・耳塚寛明先生へのインタビューの詳細は、「NEW教育とコンピュータ」2月号をご覧ください。