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TOP > トピックス > 学研と読売新聞社が共同開発した「子どもキャリア教育講座・生活と経済」の授業
2006年7月20日
7月6日、学研と読売新聞社が共同で開発した「子どもキャリア教育講座・生活と経済・会社のしくみと働く人たち」(監修・井関 慶應義塾大学名誉教授)の出前授業が、小平市にある小平第八小学校(土屋隆之校長)で行われた。対象は、同学校の6年生全員77名、講師は同プログラムの開発を進めてきた学研の秋谷俊之(学研教育総研研究員)らが務めた。
▲マントを着たゲストの職業を当てる
授業は、まず仕事クイズから始まった。「ペットの美容師はなんと言う?」「飛行機の客室乗務員のことを何と言う?」、認知度はテレビ番組の影響が強く、後者は全員が知っていた。また、ほとんどの子が親の仕事を知っていた。
目の前に二人のゲストが登場すると、子どもたちの関心は一挙に高まった。一人は写真家、もう一人はファゴット奏者だった。子どもたちは、彼女らに次々に質問をぶつけた。前者に対しては、「何種類の写真を撮った?」「写真を撮ってうれしいときは?」「カメラマンになった理由は?」「どんな芸能人を撮ったか?」等々、後者に対しては、「最初に演奏したときの気持ちは?」「思い出に残っている演奏は?」「外国で演奏したことはあるか?」等々。休憩時間にも数名の子がゲストを囲んで質問するなど、目の前に「本物」がいることがいかに重要か、よくわかる瞬間だった。
▲所定の質問に答えると、自分に合った職業がわかる
1時間半のプログラムの後半は、診断テストで自分に向いている職業を知り、さらに予め用意された「ドリームシート」に自分の好きなこと、得意なことなどを書き込むことによって、20年後の「自分」から仕事のメッセージを受け取る構成になっている。未来の自分が、現在の延長にあることを知る仕組みだ。
この日の授業について、「子どもによって、普段のイメージとは異なる結果が出て参考になった」「シートへの書き込みが楽しそうだった」など校長先生を始め先生方の評判は上々だった。詳しいヒアリングは後日行われる予定だ。
小平第八小学校では6年生の秋ごろから、総合的な学習の時間を使って仕事調べなどを始め、3学期に実際に街に出て職業体験を積極的に行っている。今回は、その最初の動機付けとして行われた。
小学校からのキャリア教育は、2004年1月に文科省から「報告書―児童生徒一人一人の勤労観、職業観を育てるために」が発表されて以降急速に広がっている。背景には、ニート・フリーターの増加といった問題のほかに、国際的に見て学習意欲が低いこと、また自尊感情が乏しいといった課題がある。キャリア教育は、家庭と学校以外のリアルな世界を知り、眠っている好奇心や社会への関心を呼び覚まし、自分の可能性を予感させる教育で、こうした趣旨から民間の果たす役割は大きいものと思われる。
(古川隆研究員)