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TOP > トピックス > 学習指導要領の履修漏れはなぜ起きたのか?
2006年10月31日
10月25日 第2回教育再生会議が終了するのを持っていたかのように、富山県立高岡南高等学校の学習指導要領の履修漏れが報道され、マスコミ各社は全国調査を始めました。1週間後には全国で400校を超える進学を中心とした高等学校で起きていることが判明し、まだまだ増える様相を呈しております。
高校現場では平成15年度の学習指導要領の改訂から、総時間の減と、新しい授業としての「情報」、「総合的な学習の時間」が増えており、進学校では(大学受験のための)時間割が組めなくなっていました。そこで、比較的受験に差し障りの少ない「世界史」を犠牲にして時間割を決めていたようです。
このことは、事前に学習指導要領の中で「世界史」は必修であることをよく理解している高校現場の社会科の先生や、教頭、校長であり、管理、指導している都道府県教育委員会が行っています。まさに、確信犯的行為です。
では、授業を受けている生徒はどうなるのでしょうか? 国が必要と定めている学習指導要領の履修ができていなければ、仮に大学入試に合格しても、卒業証書は手にすることはできません。生徒に対するまた、生徒の保護者に対する責任は誰が取るのでしょうか? テレビやマスコミ報道では、高等学校の校長先生がお詫びの挨拶をされており、「すべて校長である私の責任です」と話されていますが、どう責任を取られるのでしょうか? 教育を甘く見ているのではないでしょうか? 大学受験のみが教育ではないのですから・・・
教育再生会議ではいじめの問題とこの問題を第1分科会の学校再生分科会で検討されるようですが、教育行政について「学校現場に権限を委譲するとことが必要」(高等学校のこの学習指導要領の履修漏れをご存知ないことだと思いますが)と発言されている分科会会長に教育改革ができることを期待したいと思っています。
(吉田哲平研究員)