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2006年12月13日
「いじめ」による自殺の問題などもあり、教員の多忙感はさらに深まる傾向にあります。
この問題がメディアをにぎわす以前の7月のデータですが、教員の残業時間など勤務実態の暫定集計が11月に文科省から発表されました。それによると、小学校全教員の平均残業時間は1時間48分、中学校全教員の平均残業時間は2時間25分でした。小中の時間差は、部活動の時間差です。
勤務時間の内訳では小中とも、授業と授業準備が全体の約4割、成績処理が1割、次いで、生徒指導が1割占めていました。生徒指導の問題は、勤務時間を左右する大きな要因の一つで、これは他の調査でも明らかになっています。
(財)労働科学研究所が行なった「教職員の健康調査」によると、「対応に注意や時間を要する児童・生徒数」が多いほど退勤時刻が遅くなるという結果が出ています。「対応に注意や時間を要する児童・生徒数」が1人もいない場合は、退勤時刻は18時26分、1人の場合は18時35分、2~3人の場合は18時41分と増大し、10人以上は19時11分になります。教員の多忙感を語る上で、生徒指導の負担による個人差は、今までなかなか表面に出てこなかった問題です。
同じ調査によると、教員の67%が強い不安やストレスを抱え、抑うつ感を覚える教員は、厚生労働省の標準値(一般労働者)の1.3倍にもなるといったデータも出ております。
ストレスの原因は、上記生徒指導などによる残業の問題のほかにも、保護者や地域などからの要求、職場の同僚性の不足など多くの要因が重なって起きていると考えられます。教員の資質向上を考えるうえで、教員の健康安全管理の問題については、今後より取り上げられるべき問題と考えられます。
(古川隆研究員)
*(財)労働科学研究所の「教職員の健康調査」について、さらに詳しくは「NEW教育とコンピュータ1月号」の「学研教育総研スペシャルレポート」をご覧下さい。