しばらくして。
「……何があったんでしょうねー」
狭い船内に散らばる骨を見て、スピカがつぶやいた。
「決まってるでしょ? ものすごいお宝の取り合いよ。金塊とか、ダイヤとか、ルビーとか、真珠とか、あとはええっと……」
カビと潮の臭いがする空気に鼻をヒクヒクさせながら、勝手な想像を巡らせるフローラ。
船の半分ほどを調べ終わったが、今のところ宝は見つかっていない。
目につくのは、かつての船員のものらしい無数の骸骨だけだ。
「……しっ。静かに」
突然、オーウェンが足を止めた。
フローラはその背中に鼻をぶつける。
「もう、急に止まらないで! どうしたの?」
「何か音がした」
「気のせいよ。この船には、骸骨以外には私たちしかいないでしょ?」
「そのはずなんだけどね」
オーウェンは顔をしかめ、また歩きだした。