解説 お江戸の科学
古紙再生(漉き返し)の技術
>漉き返しの手順 1.古紙を細かくする→ 2.釜で煮る→3.桶で冷やす→ 4.水をしぼり川で洗う→> 5.板上で叩く:繊維が墨で汚れている場合は、洗って叩く行程を数回くり返す。→ 6.漉く→ 7.乾かす:粘着剤として、トロロアオイの根から取った粘剤(ねり)を入れる。 ※安価な漉き返し紙では、1 2 の手間は省かれ、3でただ紙を水に浸してやわらかくするだけの場合もあった。また、4 の墨の色を抜く作業も省かれた。
- 浅草紙とひやかし
- 浅草紙の製造は、初期は浅草の田原町、後に山谷で多く行われた。漉き返しで紙屑を煮て溶かした後に冷ます作業や、ただ紙を水に浸してやわらかくする作業を「冷やかし」と呼び。その待ち時間で職人が吉原を見物したことから、物を買わずにただ見るだけの行為を「ひやかし」と呼ぶようになったといわれている。
古紙再生(漉き返し)の技術
古紙から再生紙を作ることを、江戸時代では「漉き返し」と呼んだ。 漉き返し紙には高級なものから安価なものまで多様なレベルがあり、安価なものは「落とし紙」(トイレットペーパー)などに使われた。有名な漉き返し紙には、江戸の「浅草紙」、京の「西洞院紙」、大坂の「湊紙」などがあった。