今月のお噺は

あらすじ火事息子画像1

  神田三河町の質商伊勢屋の若旦那、徳三郎、火事好きが嵩じて家を飛び出し、臥煙(がえん)とよばれる火消人足になって、ついに親から勘当された。 真冬のある日、伊勢屋の近くから出火。大事な質草を燃やしては大変と、主人と番頭が蔵の目塗りをはじめた。慣れないからまごまごする。火は近づいてくる。そこへ軽い身こなしで屋根伝いにやってきた粋な火消し。おろおろする番頭を蔵の折れ釘に引っ掛け、手際よく目塗りをはじめた。男を見るとそれは若旦那。ようやく火事もおさまり、見舞客でごった返す中、番頭は若旦那を主人に引き合わせた。親父は勘当した手前、倅との再会を素直に喜べない。

あらすじ火事息子画像2

どこのどなたか 存じませんが、 ありがとう ございます。 まあ、徳三郎じゃありませ んか。かわいそうに、寒い でしょうから、 着物をやって 下さい。 勘当した者に やるくらいなら 捨てちまえ! 捨てたもんなら 拾ってく者も ある。 は、はい! お小遣いは 千両ほど捨てて、 黒羽二重の 紋付に 仙台平の袴、 脇差しに 雪駄、それ から… おいおい、 そんななり させて どうする。 火事のおかげで 会えたんですから、 …火元へ礼に やりましょう。 おあとが よろしい ようで。