第六回
「……アンリ、いや、アンリ殿(どの)は変わっているな」
ショーンは今ごろになって前に出てくると、えらそうに胸(むね)をはる。
「だが、見事なかつやくだった! サクノス家の人間であるこのぼくも、この場は仕方なく君にまかせてよかったと思うぞ! あははははは!」
「こ、こいつは……」
うんざりした顔のベル。
と、そこに。
「白天馬騎士団(はくてんまきしだん)さんじょう!」
ドンッ!
倉庫のとびらが打ちやぶられ、銀色のよろいに身を包んだ騎士たちがなだれこんできた。
「レン君からの連絡を受けてまいりました、アンリ殿。この連中ですね」
副騎士団長である女性騎士は、商人とその用心棒(ようじんぼう)たちを見わたすと苦笑した。
「……もう騎士団の出番はないようですが?」
「取り調べと、子供たちのことはそちらにおまかせします」
アンリは副騎士団長に告げた。
「みんな」
副騎士団長の指示で、騎士たちはアンリがつかまえた連中をしばり上げ、ベルやアーエスたち以外の子供を倉庫から連れだす。
そんな中……。
「ショーン? ショーンじゃないか!?」
若い騎士がひとり、アンリたちのところにかけよってきた。
「あ、あ、兄上!」
ショーンの顔がこわばった。
わかい騎士は、ショーンの二番目の兄だったのだ。
「こんなところで何やってるんだ?」
そうたずねた兄は、髪と瞳の色はショーンと同じだが、顔つきはもう少し、きりっとしている。
「ええと、それはですね……」