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「あれだけの事故だというのに、けが人だけで済んだ」
全員を助け出し、空き地にやってきたシャーミアン副騎士団長は、トリシアにホッとした顔を見せました。
「君のおかげだな」
「ううん。みんなの力だよ」
トリシアは魔法を使いすぎたのか、気を抜くと倒れそうです。
「特に、僕のね!」
すかさずセドリックがトリシアの肩を支え、胸を張ります。
「ベルから聞いたよ。トリシアを守ってくれたんだって? ありがとう」
土ぼこりまみれのレンが、セドリックに声をかけました。
「レ、レン殿が? この僕をほめてくれた?」
セドリックは、自分の耳が信じられないと言いたそうな顔です。
「ええっと……おかしいかな?」
レンはちょっと照れたように頭をかきました。
「と、と、と、とんでもない!」
セドリックは顔を赤くして後ずさります。
「……でも、僕はママ以外の人からほめられたことがなくって」
その瞳から、大粒の涙がこぼれ落ちます。
「初めてなんだ……こんなの」
セドリックはみんなに背を向けると、声を上げて泣き出しました。
「ほら、その傷」
トリシアはセドリックの顔に触れてこっちを向かせると、そのはれた右目に優しく治癒魔法をかけるのでした。
(終わり)
……いかがでしたか?
レンとセドリック、意外といいコンビかも!?
セドリックは6巻でも大かつやくしているので、そちらもぜひ読んでね!