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リュシアンはプリアモンドに向かってそう言うと、レンに弓矢を渡す。
「知っての通り、俺が主に使う武器は弓矢だ。弓矢なら、敵が近づく前に動きを止められる」
リュシアンはそう説明しながら弓を構え、矢を放った。
矢は空気を切り裂き、柱に命中する。
「練習すれば、僕もそのくらい素早く矢を射られるようになるかな?」
と、感心するレン。
だが。
「よく見ろ」
リュシアンは柱を指さした。
「……って、信じられない」
柱に近づいたレンは息を飲む。
柱に突き立った矢の上に、さらにもう一本矢が突き立っている。
つまり、リュシアンは目にも留まらぬ早さで立て続けに二本、矢を放っていたのだ。
「やってみろ」
リュシアンはレンに命じた。
「こうかな?」
レンは弓を構え、矢をつがえてみる。
だが、弓の弦の張りが強すぎて、なかなか引くことができない。
「こ、こうやって〜、うぐぐぐぐぐ〜! ……あれ?」
十分に引けないうちに、指が弦から離れる。
矢は飛ぶどころか、ポトリと武器庫の床に落ちた。
「……他の武器を試そう」
リュシアンは早々とあきらめることにしたようである。