「これで大丈夫」
怪我人の治療が終わると、トリシアはその場に座り込んだ。
「……あなたたちの手当ては、診療所に戻ってからでいい?」
「もちろん」
「大した怪我じゃない」
「だよねー」
鉱山妖精が下りてきて、閉じ込められていた仲間を引き上げる様子を見守りながら、三人も寝そべる。
「帰って寝たいな」
「俺もだ」
「僕はショーンと遊びたい」
「……ねえ、わたし、ひとつだけ分かったことがあるんだ」
トリシアがそう言うと、三兄弟は顔を上げた。
「ひとつ?」
「ん?」
「何々ー?」
トリシアは三人の手を取って、ひとつに重ねる。
「兄弟がそろえば、できないことはないってこと!」
四人の笑い声は長い地下道を通じ、遠い北の山脈にまでこだました。
* * *
「貴様ら、こんなところでなまけていたか!? 任務だ、急げ!」
トリシアが診療所に戻って三兄弟の手当てをしていると、副団長のシャーミアンが駆け込んできて三人に怒鳴った。
「ま、また任務ー!?」
エティエンヌの顔がこわばる。
「まだ手当てが終わってないんだが?」
と、リュシアンが眉をひそめる。
「構わん」
シャーミアンは、それがどうした、というような顔を見せた。
「これでは十分に戦えないぞ!」
と、抗議するプリアモンド。
「いないよりはマシだ」
シャーアミアンはどこ吹く風である。
「ひっどーい、シャーミアンちゃん! 僕たちがどうなってもいいっていうの!?」
「よく分かったな、そのとおりだ」
「いたたたたたーっ!」
シャーミアンは、涙目のエティエンヌの耳をつかんで強引に立たせた。
「ほら、行きなさい!」
トリシアもプリアモンドの背中をポンと押した。
「ト、トリシアまで!?」
「怪我したら、また手当てしてあげるから!」
「仕方ないな」
「やれやれ」
「じゃ、まったねー」
こうして。
三兄弟は、シャーミアンといっしょに騎士団本部に向かった。
命をかけて、また誰かを救うために。
(おわり)
…三兄弟の活躍、いかがでしたか?
だれかのために、力を合わせて戦う三兄弟は
やっぱりかっこいいよね!
ショーンもちょっとは見直したかな?