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「はあ、何言ってんの?」
アーリンがやってきて、ライムの反対の腕をつかんだ。
「あんたのお遊びになんか、可愛いライムを付き合わせたりしないから」
「そ〜ですよ」
フィリイがうなずく。
「ライム君は、フィリイちゃんと付き合っているんです」
「そういう妄想はおいておいてーー」
フロイラインが、手にしたトレーでフィリイを脇に押しのけようとする。
「とにかく、ライムを危険な目に遭わせるつもりならば、それなりの覚悟をするのですね」
「僕の辞書に覚悟という文字はない! だがしか〜し!」
胸を張ったセドリックは、ポケットから金貨を三枚取り出し、テーブルに並べた。
「こうしたら?」
フィリイたちの目の色がコロッと変わった。
「ライム、従者の仕事、がんばって!」
金貨をさっと手に取るアーリン。
「応援してますよ〜」
フィリイも送り出すように手を振る。
「今月は少し苦しいので……しかたありませんわ」
迷ったあげく、フロイラインも言葉を濁してうなずいた。
「では、行こうか?」
セドリックはライムの腕を掴むと、扉の方へと向かう。
「え? ちょっと?」
顔をこわばらせたライムは、ズルズルと引きずられる。
こうして。
ライムはウヤムヤのうちに、セドリックの従者にさせられたのであった。