私も、生徒さんに思わず「歌って~」と言ってしまう事があります。
私の教室の生徒さんは実に正直で、ポカンとした顔をします。
「え?どうやって?」「声に出して歌うの?」ということでしょう。
そんな時に私はまず、「この曲を弾いてどう思った?」「どんな曲だと思った?」と聞きます。どう思ったか……なので不正解はありません。
どんなイメージを持ったかで、その生徒さんのレッスンが変わっていきます。
例えば……
「そう、かわいい曲って感じたのね。それは大正解だと思うよ。でもそうだとしたら、その音はちょっと重いよね。スタッカートの音もちょっと角が生えている感じがして怖いよ!もう少し素直できれいな音を鳴らす練習をしよう。そのためには指や手の使い方はこうじゃない?」
という具合にお話を広げます。
生徒さんの心の引き出しには素敵な音楽がいっぱい眠っていると思います。それを引き出す手段の一つが「歌う」という表現(気持ち)なのかもしれませんね。
また、どう表現したらいいのか、どのように手を使ったらイメージに近い音になるのか、分からなかったらどんどん先生に聞くことが大切だと思います。
先生と一緒に素敵なイメージをふくらませていけたら、レッスンもますます楽しくなりますね。
「想像力や発想力が同じではとてもつまらない。音楽は正解がない分、自由であるべき。」
と、私はいつも思っています。
そこには個人差が生じますし、とらえ方もさまざまです。それが音楽性であり個性だと思っています。
「歌って~」というのは「心の中で自分の弾きたいイメージを、自由に歌うように表現する」ということなのではないかと思います。
回答してくださった先生:丸子あかね先生
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