結論から申しますと、
「指揮者を見ながら、その指揮に合わせてピアノを弾くように」
という言葉に尽きると思います。合唱曲の音楽づくりはすべて指揮者にかかっているのですから…。
蛇足かも知れませんが、歌を歌おうとするとき、人の息が実際に声として発声できるまでには少し時間がかかるものです。一人でさえそうなのですから、大勢で声を合わせなければならない合唱の場合は、どうしてもテンポが乱れたり遅れがちになったり、リズムが不正確になったりしがちなものです。
一方ピアノは、鍵盤を押すのとほぼ同時に音が出ます。声に比べると正確なテンポを維持しやすい楽器といえるでしょう。ですからピアノで歌の伴奏をするとき、独唱か合唱か、で少し違ってくることも覚えておきましょう。独唱なら歌にピアノを合わせてあげるのですが、合唱の場合は歌に合わせたらたいへんです。あくまで指揮に従うことが大切…。思わず合唱につられて演奏してしまわないように注意してください。
合唱とピアノの微妙なテンポのズレを見込んで、指揮者は普通、ほんの少し早目に指示を出すようにしています。ピアノはその点もよくわきまえて、素晴らしい合唱曲づくりのために、演奏の最中はあくまで指揮を常に意識し、よく見て、指揮者にしっかり協力するように指導してあげましょう。
【回答してくださった先生:伊能美智子先生】
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