子供のおけいこごとと考えられていたピアノのレッスンですが、最近は大人でもレッスンを受ける方が増えました。大人にピアノを教える場合、いくつかの利点があります。その1は、理解が早いということ。その2は、身体ができあがっているということです。
子供にとってレッスン時の先生の説明は、すべてが新しいことば、新しい経験のため、理解させるのに時間がかかりますが、大人は長い人生経験がモノを言って、すぐに分かってくれます。
また、子供の身体は成長期にあるため筋力に乏しく、指の力をつけるのに長い時間を待たなければなりませんが、大人の場合は手も指もすでに出来上っていますから鍵盤を叩くぐらいの筋力はすでに備わっています。もっともこれらのことが大人の弱点になっていることもお分かりでしょう。
大人は理解が早いかわり、理屈っぽい面があります。いちいち説明を求め、自分の論理を主張したがる…など、先生を悩ませる人も少なくないようです。素直に先生と仲良く世間話などしながらレッスンできるようだと助かるのですが…。
また、大人の身体はしっかりしていますが、ピアノ用の筋肉がついているわけではないので、柔軟性には大いに欠けます。理解が早く、理屈はよく分かっていても、これからピアノ用の筋肉を鍛えようとしても思うに任せません。練習の効果も子供のようにはあがりにくくなっています。
以上はレッスンに関する注意点ですが、大人に限ってもう1つ大事なことがあります。大人には社会人としてのプライドがあるのです。諦めがつくまで子供と張り合う大人もいるくらいですから、プライドを傷つけないように指導していただきたいと思います。どうか気長に相手をしてあげてください。
【回答してくださった先生:伊能美智子先生】
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