第四回
「育てるのがむずかしいんでさ。まあ、アムリオンでこの花をさかせられるのは、ぼっちゃんぐらいのもんでしょう」
「ふむ」
そう言われると、悪い気はしない。
それに……。
(あの銀色の髪(かみ)の女の子にも、めずらしい花を分けてやりたいからな)
「買おう」
ショーンはさいふを出した。
と、その時。
「…………何をやってるのだ、あの女は?」
きみょうな足取りで、だれかの後をつけている女の子が目に入った。
ベルである。
「で、つけられているのは……」
ベルのしせんの先を追うと、そこには、男に連れられたアーエスのすがた。
ショーンは手早く買い物を終えると、こっそりとベルの背後(はいご)にしのびよる。
「……わっ!」
「きゃあああああああああああっ!」
「わわわっ! 何だ、こいつ!」
思ったよりもおどろかれ、おどかしたショーンもびっくり。
「何なのよ、このダメ貴族!」
相手がショーンだと分かり、ベルは胸倉(むなぐら)をつかんだ。
「何なのよって、挙動ふしんだったのはお前のほうだろうが!?」
もがくショーン。
「そ、そうだったわ!」
ショーンをつかんだまま、屋台のかげに身をふせ、ベルはアーエスたちのほうをうかがう。
「……よかった。気づかれてない」
くちびるから、ホッとため息がもれる。
「じじょうを説明しろ、じじょうを!」
ショーンはようやくベルの手をふりほどいた。
「どうして、あの子の後を追っている!?」
「……アーエスを……知ってるの?」
ベルはおどろいてショーンの顔を見つめる。(続く)
…アーエスはどうなってしまうのか?
ベルとショーンは、アーエスを助けることができるのか?
次回をお楽しみに!
(更新は6月下旬の更新予定です)