第二回
「……ショーン……今ごろ……どこに……いるのやら?」
受験者たちは東街区を一周する順路を回り、次々と会場にとうちゃくしていたが、ショーンの乗る白馬はなかなかすがたを見せなかった。
「……あたし、頭痛がしてきた」
こめかみをおさえるベル。
そして、とうとうショーン以外の受験者全員がもどってしまい、順位の発表も始まったころになり……。
「……あ」
ようやく、白馬が帰ってきた。
もっとも、もどってきたのは馬だけ。
くらの上にショーンのすがたはない。
「……おお……いない?」
アーエスがつぶやく。
「と、とちゅうで落っこちたみたいね」
ベルの顔がこわばる。
結局。
ボロボロのすがたでショーンが会場にたどり着いたのは、後半戦のじゅんびが行なわれている最中だった。
「あ、あの白馬……見た目はいいくせに、せいかくは最悪! まるでベルではないか!」
そう言うなり、バッタリとたおれこむショーン。
「あら、ベルって?」
「ほら、さっきの女の子よ」
「ああ、馬に乗るのを手伝った……」
応援席の人々の視線が、ベルに集中する。
「おお……いつの間にか……ベルが……有名人に……」
と、笑いをかみ殺すアーエス。
「……ショーン・サクノス・ド・レイバーン、あとで覚えてなさい」
今の発言、一生わすれないと心にちかいながら、肩をワナワナとふるわせるベルだった。