第二回
「よろしくお願いしまちゅ!」
相手の少年は、向かい合って立つショーンに向かって一礼した。
「うむ。悪いがこれも勝負。手かげんはしないぞ」
うなずくショーン。
「うわっ、すっごくえらそう」
「自分より……弱い相手には……とことん強気……それが……ショーン」
さすがの二人にも、ショーンの勝利はまちがいないように思われる。
「始め!」
審判(しんぱん)をつとめる若い騎士が、ショーンと少年の間に立って告げた。
「え~い!」
合図と同時に、少年がショーンに切りかかった。
上だんからのふり下ろし。
あまり早い動きではない。
当然、ショーンは軽くかわす。
……と、ベルもアーエスもかくしんしていたが。
ポコッ!
「だはっ!」
ショーンは真正面からこの一げきを食らった。
「て~い!」
パコッ!
「げほっ!」
「えい、えい、え~い!」
ペコ、パコ、ポコンッ!
「ぐはっ! どはっ! どひゃっ!」
ショーン、年下相手にたたかれる一方である。
「だ~っ! 何やってんのよ、あんたは!?」
どなるベル。
「手かげんなし、じゃなかったの!?」
「……よ、よろいが重くて動けない」
つっ立ったまま、ショーンはうめくように言った。
「……へ?」
ベルたちがよくよく周囲の受験者たちを観察してみると。
他のみんなは、軽くて動きやすい皮のよろいと、かぶとだけを身につけている。
全身を鉄の板でおおう、板金よろいを着ているのは、ショーンだけだ。
板金よろいは、見た目はりっぱだが、重さは全部でショーンの体重の半分以上はある。
一人前の騎士でも、こんなものを着て戦えば、すぐに呼吸(こきゅう)こんなんになってしまう。
「……かっこよさだけでよろいを選ばないでしょ、ふつう!? ちゃんと動けるかどうか、前もってたしかめるでしょ!?」
ベルは頭をかかえた。
「……ショーンの……まぬけさ……あまく……見ていた」
アーエスも、もううんざりといった顔。
先行きがとーっても不安な入団試験!
ベルとアーエスはけっきょく手伝うはめに…?
次回、思いもかけない急展開が待ってます!