第二回
「あれ、おかしいな?」
ガッシャン!
「ここがこうなって……これが……」
グワッシャン!
「こっちが……こう?」
ガラガラズッシャ~ン!
ちゃんと留めたはずのよろいの部品が、ちょっと動くたびに地面に落っこちて、はでな音を立てた。
「……手伝ってください」
ショーンはなみだ目でベルとアーエスを見る。
「は~」
「……ふう」
どうせそんなことだろうと思っていた二人は、仕方なく手伝う。
だが、さすがによろいを着るのを手伝うのは、ベルたちも初めてである。
「ええと……これって、かわひもでとめるの?」
「これは……こっち……かも?」
あまりてぎわはよくはない。
「ああ、そうじゃない! 下手くそだな!」
たのんでおいて、勝手なことを言うショーン。
「もんく言える立場!」
「……生意気……な」
それでも何とか、二人はよろいを着せることに成功した。
「ほら、これで完成!」
「おおっ! すばらしい! 手伝いの者たちが不器用なせいで手間取ったが、まさに、王国一よろいのにあう美少年だな、ぼくは!」
ショーンは自分のすがたに感動する。
「……思いっきり、頭ぶんなぐりたいわ」
「…………右に……同じ」
にらむベルとアーエス。
やがて、試合の開始を告げるファンファーレが鳴った。
試合は、会場内を四等分した試合場で同時に始まる。
ベルたちは応援席にもどり、第一試合に出るショーンは、その場で試合の相手を待つ。
「ええと、ショーンの相手は……」
ベルは試験会場を見わたした。
ショーンの前にあらわれたのは、ずいぶんと小さな男の子だ。
「……ど、どう見ても年下よね」
「……うん……ちびっちゃい」
たぶん、受験者の中でも最年少だろう。
ショーンとくらべると、頭ひとつ分以上、背が低い。
「何とか勝てそうじゃない」
ちょっとホッとした表情になるベル。
「……ベル……ショーンに……勝って……ほしいの?」
「ち、ちがうわよ! けど、あんまりあいつがダメダメだと、『星見の塔』のひょうばんにかかわるでしょ! つまりは同じ学校に通う、あたしたちのひょうばんにもえいきょうがあるわけ! 分かる!?」
「……ふうん」
「何よ、その顔は!」
「……あ……始まる」
アーエスは、ショーンたちのほうを指さした。