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試験当日。
「ベルとアーエス?」
レンがまだ迷いを抱えたまま試験会場の騎士団本部に行くと、門の前には�ショーンの他に見慣れたふたりが待っていた。
「先輩~、頑張ってくださいね!」
ベルはさっそくレンに飛びつこうとする。
「実技の試験、見学できるって聞きました! あたし、一番前で応援します!」
「そ、そうなんだ」
レンは知らなかったが、午後からの実技試験は中庭で行われるので、誰でも見に来ることができるのだ。
「私も……いちおう……応援……する……それと……」
アーエスは提げていたポシェットから紙製の腕輪を取り出してレンの手首につけた。
「これ……お守り」
「あ、ありがとう」
「けっこう制作費がかかったので……銀貨5枚」
アーエスは手を差し出した。
「お金取るんだ?」
レンは苦笑して銀貨を渡す。
「世の中……そういうもの」
アーエスは銀貨をしまうと、ショーンの方を見た。
「そっちも……欲しければ……金貨2枚で」
「なんでレン殿の時より値上げする!?」
「ショーンの……場合……レン先輩よりも……はるかに……運が……必要……という訳で……」
「誰がいるかっ!」
ショーンは腕組みをして、アーエスに背を向けた。