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【図37】学校以外の時間を「自分のため」と「家族のため」のどちらに使う方が長いですか。
近年、“ヤングケアラー”の存在が認識されつつある。ヤングケアラーとは、法令上の定義はないものの、厚生労働省によると「本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子ども」(※1)とされている。厚生労働省と文部科学省によって2021年4月に公表された全国調査(※2)によると、中学生で5.7%、全日制高校で4.1%、定時制高校で8.5%、通信制高校で11.0%がヤングケアラーに該当することがわかった。これに関して2021年の高校生白書では、「時間の使い方」という観点から質問をしてみた。
その結果、全体平均で13.7%の高校生が、(自分のためよりも)「家族のために使う(家事・家族の世話・家計を支えるために働く等)」時間のほうが長いと回答した。学年別では、高校1年生が10.5%、2年生が13.5%、3年生が17.0%と、学年が上がるにつれて増える傾向があることがわかった。
「家族のために使う」時間が長いと回答した高校生のなかには、将来を見据えて家業を手伝っているなども考えられるため、彼ら全員がヤングケアラーであるとは言い難い。しかし、高校生として過ごす短い貴重な期間に、30人クラスで約4人の生徒がこのような状況におかれている状況を、日本社会は深刻に受け止めるべきだろう。