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名曲ものがたり

3月

vol.2 ショパントルコ行進曲 ~英雄ポロネーズ(ポロネーズ第6 番 Op.53)

polonaise ポロネーズ

ポロネーズは、ポーランドの3拍子のゆったりとした民族舞踊です。語源はフランス語の“polonaise”=「ポーランド風の」「ポーランド舞曲」からきています。

~ポロネーズの基本のリズム~

起源については諸説あり定かではありませんが、15世紀以前のポーランドの民謡や踊りが、やがて貴族の宮廷や王宮でも取り上げられるようになり発展した、と一般的に言われています。18世紀以降、J.S. バッハやテレマンなどドイツの作曲家が芸術音楽に取り入れたことにより、ヨーロッパ中に広まりました。

18世紀までは3拍子の>舞踊といえば「メヌエット」でしたが、それに取って変わったのが「ポロネーズ」と「ワルツ」でした。ポロネーズは、ワルツのように激しい回転をしないことから、舞踏会への入場行進曲として用いられることが多かったようです。

さらに18世紀末から19世紀にかけては、家庭やサロンでも演奏され親しまれるようになりました。この頃に、ピアノやハープのポロネーズが数多く作曲されています。ショパンの「英雄ポロネーズ」もこの頃に作曲されました。力強いリズムと優美なメロディーは、ポーランドの栄光を讃えていると言われており、愛国心が強く表現されています。

器楽曲の「ポロネーズ」

J.S.バッハ
●管弦楽組曲 第2番BWV1067第5曲ポロネーズ
テレマン
●《忠実な音楽の師》ポロネーズ ニ長調
ショパン
●軍隊ポロネーズ(ポロネーズ第3番 Op.40-1)
ベートーヴェン
●ピアノ、ヴァイオリンとチェロのための三重奏曲Op.56 第3楽章
*舞曲ではない「ポロネーズ風」(alla polacca) という表記の曲も多く存在します。

バックナンバー

2017   10月 

10月

Vol.1 モーツァルトトルコ行進曲 ~ピアノ・ソナタ 第11番 イ長調 K.331 第3楽章

Allaアラ turcaトゥルカ トルコ風

トルコ共和国は、アナトリア半島とバルカン半島にまたがる、人口約8,000万人の国です。1923年に共和国になるまでは、オスマン帝国(オスマントルコ)といって地中海沿岸も支配する、とてもとても大きな国でした。一方その当時のウィーン(オーストリア)は、神聖ローマ帝国というヨーロッパの大国に属していました。領土拡大をもくろむオスマン帝国により、ウィーンは1529年と1683年の2度に渡り侵攻されます。しかし頑丈な城壁と必死の抵抗によりオスマン軍に勝ちました(第一次・第二次ウィーン包囲)。その後、ヨーロッパの連合軍がオスマン帝国から領土を奪い返すための大トルコ戦争がはじまり1699年に終結します。戦争が終わりオスマン軍は退却。そして、そこには思いがけずオスマンの文化が残されたのです。

ウィーンのコーヒー文化はよく知られていますね。これはオスマン軍が残していったコーヒー豆から始まったといわれています。パンのクロワッサンは、オスマン軍に勝利したウィーン市民が、オスマン国旗の三日月をかたどったパンを焼いて勝利を祝ったのが起源…という説もあります。おもしろいですね!
そして音楽。オスマン軍は兵士たちの気持ちを高めるために、軍楽隊「メフテル」を連れていました。当時はめずらしかった打楽器(ダウル、ズィル、ナッカーラなど)や管楽器(ズルナ、ボルなど)の賑やかさ、独特のリズムをもった音楽は異国情緒にあふれ、ヨーロッパ各地の音楽に影響をおよぼしました。
そうした中、モーツァルトやベートーヴェンが活躍した18世紀のウィーンの音楽界で、“トルコ風” が大流行したのです。

※「メフテル」で検索すると、いくつか動画を観ることができます。

ウィーンで作曲された「トルコ風」音楽

ハイドン
●交響曲 第100番「軍楽」←第2楽章、第4楽章で使われる打楽器がトルコ風
ベートーヴェン
●トルコ行進曲←リズムがトルコ風
●交響曲 第9番「合唱付き」第4楽章←テーマがトルコ風に変奏される
モーツァルト
●オペラ「後宮からの逃走」←トルコを舞台とする

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