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12月

子育てを応援する松井先生によるコラム連載中!
学研キッズネットforParents~くやまない、悩まない、自分を責めない~「子育てがラクになるアドラー流子育て」。保護者の間でも人気上昇中です!
https://kids.gakken.co.jp/parents/category/learning/?series=adler

「まだ無理だ」と思ってもやらせてみる。
失敗しても「今度はうまくいくはず」と
声をかけることが大切なのだ。

(アルフレッド・アドラー『人生に革命が起きる100の言葉』ダイヤモンド出版 小倉広著より)

何年か前に、こんなテレビコマーシャルがありました。「僕がやる、僕がやる!」と言って、料理を手伝おうとする小さな男の子。背が届かないので、自分で椅子を持ってきて、なんでもやろうとします。でも、やること全てが危なっかしくて、パパもママもハラハラドキドキ。子どもは、そんな心配をよそにとっても楽しそう。そして両親も、それを咎めることなく、温かく見守っていて、その様子がとても微笑ましいんです。最後には「お手伝いありがとう!」とママの一言。このように、おとなからすれば、一見失敗と見えるようなことも、子どもにとっては好奇心だったりしますね。ところで、私は、命の危険がない限り、子どもたちには(例えばこのCMのように)多くのことを経験してほしいと考えます。指導者や保護者が先回りして、失敗をさせないようにするのは、子どもの成長にとって、決して好ましいものではないと思うのです。

例えば、私の教室では、普段のレッスンで「好きな曲や弾いてみたい曲はある?」と生徒さんに聞くことがあります。そんな時、生徒さんはみんな、目を輝かせて弾いてみたい曲を教えてくれるんですね。やはり「憧れのが弾けたら嬉しい!」と誰もが思っています。
もちろん、その曲の難易度が高過ぎる場合は、時期を考える必要があります。でも、私はできる限り本人の希望に寄り添い、「少し難しそう」と思っても、時期を見計らい、取り組んでもらっています。本人がやる気になった時がチャンス。タイミングをいち早くキャッチし、失敗を恐れずにチャレンジさせてみることを心がけているのです。

「子どもが失敗を恐れるのは、叱られたり責められたりするから。」ということも言われます。失敗は決して怖くない。私たちおとなが失敗を恐れず、咎めず、受け入れる。そして、次に成功するためには、何をすれば良いかを共に考え行動する。長期的な目線で捉え「何度でもやり直せる」ことを伝えていけば、生徒(子ども)は自分の力で、どんどん伸びていきます。

松井美香
「勇気づけの音楽家」東京音楽大学ピアノ専攻卒業。学研「愛のピアノレッスン」にて手記を執筆。
【HP】
松井美香ピアノ教室: http://matsuimika-piano.net
【ブログ】
ピアノの先生のためのモチベーションアップ術:http://ameblo.jp/makeachangewithlove/
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11月

「勇気づけのピアノレッスン」の輪が広がっています♪
座談会が好評です。ピアノの先生方に「勇気づけの指導」がさらに広まることを願って、これからも定期的に開催していきます。ご注目ください!!

人は失敗を通じてしか学ばない。
失敗を経験させ、自ら「変わろう」とする
決断を見守るのだ。

(アルフレッド・アドラー『人生に革命が起きる100の言葉』ダイヤモンド出版 小倉広著より)

「失敗は成功のもと」という言葉を誰もが知っていることでしょう。そうは言っても、実際に子育てをしてみると、「できるだけ子どもに失敗をさせたくない」と思ってしまうのが親心。でも、本当に失敗はいけないものなのでしょうか?うちの教室で、かつてこんなことがありました。「先生!今日、楽譜忘れてきちゃった!ママがバッグに入れておいてくれなかったんだもーん!」と、無邪気に話す小学校1年生の生徒さん。日頃、レッスンの準備をするのはお母さんだったようで、忘れたのはお母さんが用意してくれなかったから、と言うのです。

そこで、私はその生徒さんに言いました。「ピアノを習っているのは○○ちゃんだよね?ママじゃないよね?」すると、素直に「うん」と答えてくれました。「だったら、この次から自分で楽譜を用意して来られるかな?できる?」もちろん、答えは「うん!できる!」でした。それからというもの、楽譜はお母さんに任せず、自分で用意してくるようになり、忘れ物もほとんどなくなりました。
このように、忘れ物をする生徒さんもたまにいるのですが、うちの教室では、保護者の方に「失敗も経験です。できる限り自分のことは自分でするよう、促してください。」とお話しさせていただいています。

失敗は一時的に見ると、良くないことのように見えます。が、長い目で見れば『成長の機会』であることを、私たちおとなが知っておくと良いように思うのです。先人たちが言うように、失敗から学ぶことは、とても多いもの。
そこで、子どもの失敗に対して「ダメ出し」をするならば、それは、きっと「勇気くじき」になり、頑張る気持ちもなくなってしまいます。なので、「失敗しても大丈夫よ!また次もあるんだから。次はどうやったら失敗しないでできるか、一緒に考えてみようね。」と話してみるのです。

私たちおとなが、『失敗も成長の一つの証であり、次へのステップである』と捉えることによって、子どもは勇気を持って様々なことにチャレンジできるようになっていきます。アドラーが言うように、子どもの力を信じ、見守る指導者でありたいと思います。

松井美香
「勇気づけの音楽家」東京音楽大学ピアノ専攻卒業。学研「愛のピアノレッスン」にて手記を執筆。
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10月

第2回目の座談会、開催決定!
ご要望をいただき、ありがとうございます。前回ご好評につき、第2回目も開催の運びとなりました。どうぞご期待ください!

「信用」するのではなく「信頼」するのだ。
「信頼」とは裏付けも担保もなく相手を信じること。
裏切られる可能性があっても相手を信じるのだ。

(アルフレッド・アドラー『人生に革命が起きる100の言葉』ダイヤモンド出版 小倉広著より)

あなたは「信用」「信頼」という言葉を聞いて、どんなことを想像するでしょうか?同じ「信じる」という意味を持つこの二つの言葉の違いが曖昧という方もいらっしゃるかもしれませんね。しかし、アドラーはこの「信用」と「信頼」を明確に区別しています。アドラー心理学で使われている「信用」とは、何か条件があって、それを満たしている時だけ信じるということ。一方「信頼」は、どんな場面であっても、決して疑うことなく、たとえ、裏切られる可能性があったとしても、「無条件に信じきる」ということ。

私たちおとなは日頃、子どもたちにどう接しているでしょうか?「~ができたから」とか「~している時」だけ子どもたちを高く評価したり、信じるというようなことはないでしょうか?
「裏切られるかもしれないのに、信じるなんてできるわけがない!」そう思う気持ちも、とてもよく理解できます。でも、どうかそれを払拭してほしいんです。
無条件で受け止め、受け入れる、その勇気が、子どもを、そして自分自身をも変えていくのです。

何かを成し遂げたり、成果を上げたから価値があるのではありません。『ここにいる』その存在自体が既に素晴らしい事実なのです。特別でなくてもいい。普通でいることの大切さをアドラーは説いています。
とは言っても、裏付けも担保もなく、ひたすら信じることは、とても難しく感じられることでしょう。裏切られ傷つくこともあるということを覚悟しなければならないのですから。ですが、それでも信じることが大切なのです。疑っているうちは、真の信頼関係を築くことはできないと言っても過言ではないでしょう。
私たちおとなが「傷つくことを恐れずに、信じきる」ことで、子どもたちは「信頼」を学んでいくのです。

どうか、どんな時もどんなことがあっても、子どもを、そしてご自分自身を信じてください。親や先生から信頼されている子どもは、課題に取り組む勇気を持つことができます。信頼という固い絆を子どもたちと結んでいきたいものです。

松井美香
「勇気づけの音楽家」東京音楽大学ピアノ専攻卒業。学研「愛のピアノレッスン」にて手記を執筆。
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9月

「勇気づけの言葉で生徒が変わった!」と、座談会第一回目に参加した先生方から、終了後に嬉しいお声が届いています。ただいま、第二回目を企画中。どうぞお楽しみに!

「大切なことは『共感』することだ。『共感』とは、相手の目で見、相手の耳で聞き、相手の心で感じることである。」

(アルフレッド・アドラー『人生に革命が起きる100の言葉』ダイヤモンド出版 小倉広著より)

このところ、各地のセミナーや座談会などで多くのピアノの指導者や保護者の方々に直接お会いする機会が増え、同時に、直にお悩みや困りごとをお聞きすることが多くなってきました。参加してくださる方は、指導熱心な先生や保護者ばかり。私も色々と学ばせていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。

さて、今回のテーマは『共感』です。この『共感』について、私たちは指導の中でいつも意識する必要があるのではないかと思っています。
私の教室で以前、こんなことがありました。数年前のある日、ひとりの生徒(当時小学校5年生)が「先生、私、この曲、難しくて全然弾けない。」と、言ってきました。「どこがどんな風に弾けないの?」と私。するとその生徒は「全部弾けないけれど、特にここが…」と言って、曲の一部分を弾き始めました。確かに何度弾き直してもうまくいかない様子です。それでも、この生徒ならば、繰り返し練習することで必ず弾けるようになるような部分。「そんなことないよ。弾けてるよ。このまま頑張って練習してね。」と、つい言ってしまいました。その後、その生徒は、とても悲しそうな表情でうつむき、黙ってしまい、それ以上ピアノを弾こうとはしてくれませんでした。読者の皆さんは、これと似たような経験がありませんか?

この言葉かけは一見、生徒さんを励ましているようで、実は勇気くじきになる可能性もあるということなのです。本当に生徒さんの気持ちに寄り添い、共感しているか、という点に注目してみましょう。私たちは生徒や子どもの力を伸ばしたいという熱意のあまり、「共感しているつもり」になってしまうことが多いもの。「頑張って」が「押しつけ」になってしまい、本人のやる気がなくなってしまったら本末転倒です。では、こういうケースでは一体どんな風に声かけすれば良いのでしょうか?
冒頭のアドラーの言葉にもあるように、生徒の目で見、耳で聞き、心で感じたら、きっとその答えが見つかると思います。生徒の気持ちを否定することなく、そのまま受け止めてみる。例えば「そうだよね。本当に難しいね。弾けなくて悲しかったんだね。弾けるようになるために、一緒に練習方法を考えていこうね。」こんな声かけをしてみてはいかがでしょうか?読者の皆さんも、この機に『共感』についてじっくり考えてみてくださいね。

松井美香
「勇気づけの音楽家」東京音楽大学ピアノ専攻卒業。学研「愛のピアノレッスン」にて手記を執筆。
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8月

第1回目の座談会、好評のうちに終了しました!
7月1日、学研本社にて松井先生を囲んでの座談会を開催しました。参加者の先生方から「また是非!」とのお声も多数ありましたので、第2弾を企画中です。どうぞお楽しみに!

「よくできたね」と褒めるのではない。「ありがとう、助かったよ」と感謝を伝えるのだ。感謝される喜びを体験すれば、自ら進んで貢献を繰り返すだろう。

(アルフレッド・アドラー『人生に革命が起きる100の言葉』ダイヤモンド出版 小倉広著より)

先日、私は、ある音楽雑誌の座談会企画に参加させていただきました。座談会のテーマは「上手なご褒美のあげ方」。アドラー流の指導は「ご褒美」は「褒め言葉」と同じなので、ほとんど必要ありません。なので、最初にこのお話をいただいた時、「私にお話できることはないのでないか」とも思ったのですが、読者の方たちに「こんな指導法もある」ということをお伝えできればと思い、思い切ってお引き受けしたのでした。

この「勇気づけのピアノレッスン」のコーナーで何度もお伝えしている通り、褒めることやご褒美を与えることは、一時的には効果があっても、長い目で見ると良いことばかりではありません。そればかりに頼って指導してしまうと、どんどん要求がエスカレートしていきます。そして、それがもらえなくなった時に、一気にやる気を失ってしまう場合もあるからです。

だからと言って、私は「絶対それがいけない」ということを言いたいのではありません。指導する側が、そういうことも踏まえた上で上手に導いていくことが必要ではないかと考えているのです。

子どものやる気を一時的に引き出すために、ご褒美や褒め言葉は、とても手軽な方法と言えます。でもやはり、それだけに頼るのは危険なのではないでしょうか。「よくできたね。」も、言わないよりは言った方が良いのかもしれません。でもそれは、上下関係から生まれる評価的な態度であり言葉だと思うのです。

それに対して「ありがとう。助かったよ。」は横の関係から生まれる言葉。感謝されたら誰でも嬉しいものです。その経験が、他者への貢献感を育てることになります。そしてその喜びを得ることが、やがては自己信頼にも繋がるとアドラーは考えます。感謝は何よりの勇気づけの言葉なのです。

「上手に弾けたね。うまいね。」という言葉より、「今日もピアノを弾いてくれてありがとう。頑張ったね。○○ちゃんがうまく弾けるようになって、私もとても嬉しい。」と、声かけすることによって、子どもたちは喜びを感じ、自ら練習するようになっていくのです。

松井美香
「勇気づけの音楽家」東京音楽大学ピアノ専攻卒業。学研「愛のピアノレッスン」にて手記を執筆。
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7月

今月は番外編です!
2014年3月号から連載がスタートしました「勇気づけのピアノレッスン」。連載3年目に突入した今年は、座談会開催など読者の皆様にご参加いただける機会も作ってまいります。おんがく通信でもご案内してまいりますので、お見逃しなく!今回は「番外編」と題しまして、執筆者の松井美香先生について、改めてご紹介いたします!(の)

●松井美香先生ってどんなひと?

音楽大学ピアノ専攻を卒業後、公立中学校の教員として10年間務めます。その後退職し、3人のお子さんを育てながら、神奈川県藤沢市のご自宅でピアノと歌の指導をされています。現在は、教員時代に出会い学んできた「アドラー心理学」をベースに、子どもたちに“勇気づけ”の指導法を取り入れたレッスンのほか、ピアノ指導者や保護者に向けた指導法やアドラー流子育てについて、執筆やセミナーなどを積極的にされています。

(の)ひとこと:笑顔がとてもキュートな松井美香先生。打合せでお会いするだけでも、たくさんのパワーをいただきます…!!

●「アドラー心理学」に出会ったきっかけは?

松井先生が赴任した学校は、問題行動を起こす生徒が多い“荒れた学校”と言われる中学校でした。生徒が授業中に教室を抜け出すなどということが日常茶飯事。先生は、問題行動を起こすのは、もっとかまって欲しいからではないか、そして教員がかまえばかまうほど、問題行動がエスカレートしていくのではないか…と感じていたようです。
そんな時偶然にも校内研修の機会があり、アドラー心理学に出会いました。そして講師の話に驚きます。「問題行動には必ず目的がある。それは『注目されたい』という目的である」。なんと、松井先生ご自身が考えていたことと全く同じだったのです。それからはアドラー心理学が、先生の教職、子育て、ピアノ教室での指導の指針となりました。

●「アドラー心理学」とは?
フロイトやユングと並び心理学者の3 大巨頭と称されるユダヤ系オーストリア人の心理学者アルフレッド・アドラー(1870-1937)が創始した心理学の体系のこと。正式には「個人心理学(Individual Psychology)」と呼ばれ、自己啓発やコーチングの源流とも言われています。

【BOOK】
★松井先生の手記を収録!音楽指導のヒントも掲載!
あなたの想いがとどく 愛のピアノレッスン
著:江崎光世、バジル・クリッツァー、岩井俊憲
手記:松井美香
■四六判/ 224頁/
本体価格1,300円(税別)

【BLOG】
★松井先生をもっと知りたい!という方はブログもチェック!
ピアノの先生のためのモチベーションアップ術:
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【Q&A】

★松井美香先生へ指導に関わるご質問がありましたら…
『学研おんがく.net 』内「レッスンQ&A」コーナーまでお寄せください!
http://www.gakken.jp/ongaku/hiroba/lesson/

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6月

松井先生、学研キッズネットで連載スタート!
子育てを応援する松井美香先生のコラム、学研キッズネットfor Parents ~くやまない、悩まない、自分を責めない~「心がラクになるアドラー流子育て」の連載がスタートしました。ぜひご覧ください!
https://kids.gakken.co.jp/parents/category/learning/

叱られたり、褒められたりして育った人は、叱られたり、
褒められたりしないと行動をしなくなる。そして、
評価してくれない相手を敵だと思うようになるのだ。

(アルフレッド・アドラー『人生に革命が起きる100の言葉』ダイヤモンド社出版 小倉広著より)

前回もお伝えしたように、褒める(賞)や叱る(罰)だけで育てると、それが与えられなくなった時に、子どもは自分の課題に取り組まなくなる恐れがあります。罰を与えることや叱ることに関しては、多くの指導者や保護者が十分に配慮していることと思います。が、褒めることや賞を与えることに関しても、少し注意が必要ではないかと思うのです。なぜならば、褒められることに慣れてしまった子どもは、評価しない相手を敵とみなし、「なぜ褒めてくれないのか?」と責めるケースもあるからです。では、具体的にはどのようにすれば良いのでしょうか?
アドラー心理学関係の書籍を多数出版されている岩井俊憲氏による「ヨイ出し」(「ダメ出し」の反対の言葉)は、子どもたちのやる気を促す勇気づけの言葉かけであり、態度です。私は「褒める」代わりに、この「ヨイ出し」を強くお勧めしています。ピアノを幼少から習っていた指導者や保護者の皆さんの中には、もしかしたら、先生やご両親に「ダメ出し」されて育った方もいらっしゃるのではないでしょうか。そういう私も、かつて生徒だった頃、先生に、できていない部分を繰り返し指摘され、落ち込んだ経験が何度もあります。それを全て否定するつもりはありませんが、やはり、そればかりでは、子どもたちは勇気をくじかれ、やる気を失っていきます。ですので、できていないところに注目するよりも、良いところ、できていることに、もっと目を向けてみるのです。さらには、当たり前と思っているようなこと――レッスンに来てくれることや、ピアノに興味を持っていること等―― にも注目し、感謝の気持ちを伝えてみてください。この方法を継続していけば、子どもたちは「自分には力がある、できる」という自信を持てるようになります。その自信が困難に立ち向かう勇気となり、持っている能力を最大限に伸ばすことができるようになっていくのです。例えば、「この曲は難しいけれど、大好きだから、頑張って毎日練習に取り組む」というような、子どもたちの心の内側からやる気が湧いてくるサポート=ヨイ出しは、褒めるよりも優れた導き方であると思います。読者の皆さんも、今日から意識してみられてはいかがでしょうか。

松井美香
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5月

松井美香先生の座談会開催決定!
いよいよこの夏から定期的に、読者の皆さんと一緒に「勇気づけの指導法」について学んでいきます。「勇気づけのピアノレッスン」に関心のある方、ぜひご参加ください。

ほめてはいけない。ほめることは「あなたは私よりも下の存在だ」
「どうせあなたにはできっこない」と相手に伝えることに等しいからだ。

(アルフレッド・アドラー『人生に革命が起きる100の言葉』ダイヤモンド社出版 小倉広著より)

アドラー心理学に初めて出会った約25年前、「ほめずに人を育てる」というアドラーの考え方に、私はとても大きな衝撃を受けました。現在でも、子どもを「ほめて育てる」のは一般的ですし、教育者の間でも異論を唱える人はあまりいないかもしれません。それでも私は、あえて、このことについて取り上げてみたいと思います。最近、私はよく「『ほめない・しからない』で、本当に子どもたちを伸ばすことができるのですか?」と、ご質問をいただきます。答えは、もちろん「YES!」です。「ほめる」とは、自分よりも下の存在に対して評価すること。「ごほうびを与える」とも言えます。例えば「えらいね」「いい子ね」「上手だね」は、目上の人や尊敬する人に対して使わない言葉ですよね。つまり、「ほめる」ということは、上記のアドラーの言葉のように「本来は未熟なあなたが、できるようになるなんて(ありえない)」というニュアンスが含まれていると捉えることもできるのです。ほめることが良い効果を得られる場合もあるので、一概に全てが悪いというわけではありませんが、やはり行き過ぎると、時に副作用が出てしまうことも知っておいていただけたらと思うのです。ほめることは、意識すれば割合簡単にできます。子どももほめられたいがために行動するので、私たちおとなは多用したくなってしまいますね。ですが、子どももだんだん大きくなってくると、ほめられることがおだてと感じたり、おとなを見透かすようになる子も出てきます。また、ほめられたり、ごほうびを与えられることのみで育った子どもは、それがないと行動ができなくなる可能性も十分にあります。他者の評価が基準になってしまうため、いつも自信がなく、困難に出会った時に自力で立ち向かえなくなることも考えられるのです。そこで、代わりに私が強くお勧めしたいのが「ヨイ出し」(岩井俊憲先生による造語=「ダメ出し」の反対語)です。子どものできている点に目を向け、声をかけるというこの方法は、決して上から目線ではありません。「ほめる」でも「おだてる」でもない「ヨイ出し」には、押さえておきたいいくつかのポイントがあるので、また次回にお伝えしたいと思います。

松井美香
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4月

新年度が始まりました。今年度から、「勇気づけのピアノレッスン」をパワーアップ!紙面を通してだけでなく、実際に読者の皆さんにお会い出来るイベントを計画中です。詳細は次号にて発表の予定。どうぞお楽しみに。

「他人と比較してはいけない。ほんのわずかでもできている部分を見つけ、
それに気づかせることが重要だ。」

(アルフレッド・アドラー『人生に革命が起きる100の言葉』ダイヤモンド社出版 小倉広著より)

かつて教員をしていた頃、実際にあった話です。「うちの子どもに、良いところなど一つもありません。」と、面談で言い切ったお母さんがいらっしゃいました。今思い返せば、その方は、謙遜してそんな風におっしゃったのだと思いますが、当時の私は、この言葉を聞いて、とてもショックを受けました。そして最近、私が保護者対象に行ったセミナーのワークでも、似たようなことがありました。「先生、うちの子の良いところが見つかりません。」と、あるお母さん。よく話を聞いてみると、その理由がなんとなくわかってきました。「うちの子は、学校の成績も良くないし、運動もできません。ピアノだって、長い間習っているのに他のお子さんに比べて全然上達しないんです。」と、おっしゃるのです。我が子を良く言うなんて、自慢しているようで気恥ずかしいとでも思っているのでしょうか。それとも、他のお子さんと比べて、自分の子は劣っていると感じているのかしら、とも思いました。このように、子どもの良い面をすぐには思いつかない方が意外に多いことを、私はとても残念に思っています。「多くの人が他人との比較の中で、優劣をつけて生きている」と、アドラーは指摘しています。私たちおとなは子どもを伸ばす手段として、他人と比較し、叱咤激励をすることが、時としてあると思います。が、それによって子どもが良くなることはありません。むしろ、傷つき自信を失うのです。場合によっては問題行動を起こすようになる可能性もあります。では、どのようにすれば良いのでしょうか。それは、私たちおとなが、他の誰かと比較して、子どもを褒めたりおだてたりするのではなく、ほんのわずかでも、その子自身の良い点を見つけ認めるのです(このことを、私の師匠である岩井俊憲先生は「良いダシ」と言っています)。できないところではなく、できているところに注目する「良いダシ」は、子どもの自信や意欲に繋がります。次回は、その具体的な事例について書いてみたいと思います。

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3月

今月号よりリニューアルしました!「勇気づけのピアノレッスン」の連載が、今月号より3年目に突入しました。タイトルは、私が書いた「書」です。決して上手な字ではありませんが、魂を込めて書かせていただきました。これからも、どうぞよろしくお願いいたします。

「健全な人は、相手を変えようとせず自分が変わる。
不健全な人は、相手を操作し、変えようとする」

(アルフレッド・アドラー『人生に革命が起きる100の言葉』ダイヤモンド社出版 小倉広著より)

「アドラー心理学」では、コミュニケーションの方法について具体的な提案をしています。例えば、子ども(生徒)が、ちゃんとピアノを練習しない時、あなたはどう対応しているでしょうか?もしかしたら、「なぜ、この子は練習してくれないんだろう。私がこんなに一生懸命、練習の必要性を説明しているのに。」「練習さえすれば、もっと上達するのに。」と、思われたことはないでしょうか?もちろん、それはごく自然で当たり前の気持ちです。では、その気持ちをどのように伝えていますか?子どもが思い通りにならないことにイライラして、怒りや嘆きの感情をぶつけてしまったりすることはありませんか?それは、もしかしたら「感情」を使って、子どもを変えようとしているのかも。そして、誤解を恐れずにもっと言ってしまえば、自分の都合の良いように操作しようとしているということも、場合によってはあるかもしれません。

「相手(この場合は子ども)をより良い方向へ導きたいのであれば、まずは自分から変わる。」というのがアドラー流の考え方です。あなたが心から子どものことを考えているのであれば、今までのうまくいかなかった方法を見直す必要があるのかもしれません。つまり、練習を一方的に押し付けるのではなく、どうすれば練習できるようになるのかを子どもと共に考え、計画し、実行できるようサポートするという導き方があります。ピアノを弾くのは、あくまでも本人です。「口を酸っぱくして言っても聞かない」のであるならば、今すぐそれをやめた方が良いのです。過去と他人は変えられません。変わることができるのは自分だけなのです。

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2月

<連載2周年、ありがとうございます>

「勇気づけのピアノレッスン」の連載が始まり、今月号で早くも丸2年となりました。

「アドラーって誰?」「アドラー心理学なんて聞いたこともない。」と言われた時代もありましたが、2年ほど前からのブームのお陰で、ようやく知名度も少しずつ上がり、20年以上も前から学んできている私は、おこがましくも「やっと時代が追いついてきた」と感じています。このアドラー心理学が、ピアノ指導にも役立つことを多くの先生や保護者の方々に知っていただきたくて書き始めた「勇気づけのピアノレッスン」。連載が始まった頃は、ぼちぼちだった反応が、今では「コラムを読んで、いつも勇気をもらっています。」「このコラムを読みたくて、毎月、楽譜屋さんに『おんがく通信』を取り置きしてもらっているんですよ。」等、感想のお便りやメッセージをいただき、心から感謝の気持ちでいっぱいです。有り難いことに、昨年3月に学研より出版された『あなたの想いが届く 愛のピアノレッスン』の中では、手記「ある教室のささやかなサクセスストーリー」を執筆させていただき、私のアドラー心理学の実践を、既に多くの方に読んでいただいております。

ただ、そうは言うものの、まだまだ音楽の世界で心理学はあまり馴染みがなく、心理学と聞いただけで自分には関係ないと思われてしまう人も残念ながらいらっしゃるとか。アドラー心理学は確かに心理学ではありますが、大学の一般教養で学ぶフロイトやユングの心理学とは全く異なります。なので、ぜひこの機会に学んでいただけたらと思うのです。
次回からは、「勇気づけのピアノレッスン」をリニューアルして執筆させていただくことが決まり、とても嬉しく思っています。アドラー心理学が、多くの音楽を愛する人の心に届き、勇気や元気の源となりますように、これからも書き続けていきたいと思います。3月号からも、どうぞよろしくお願いいたします。

松井美香
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1月

=自信を持つことに根拠は要らない!?=

先日私は、生後もうすぐ7ヶ月になる赤ちゃんがいる友人宅へ遊びに行きました。彼女は妊娠中、切迫早産で入院していたこともあり、それからというもの、私は色々と心配で何度か彼女の家を訪れています。その後、入院の甲斐もあって、赤ちゃんは元気に生まれ、すくすくと成長。私が訪問したちょうどその時、偶然にも「初つかまり立ち」をしてくれました。私はその現場に立ち合うことができたのです。なんだか、それが自分の子のことのように嬉しくて。今では、私の身長をはるかに抜くほど大きくなった我が家の三人の子どもたちも、こうやって大きくなってきたなぁと感慨ひとしおでした。私が約20年前に経験した感覚がありありと蘇ってきたのです。

赤ちゃんは、失敗など恐れずに無心で寝返りをし、ハイハイをし、つかまり立ちをし、やがて歩き出しますね。なんの心配も不安も持たず、誰に教わるでもなく、転びながらも、決して歩けるようになることを疑わず、何度も何度もひたすらに、果敢にチャレンジして、やがて歩けるようになります。我が子たちのそんな姿に、私は何度感動を与えてもらったことでしょう。
ところで先日、大手楽器メーカーの依頼をいただき開催した「ピアノの先生のためのセミナー」で、私はピアノ指導における『アドラー心理学』の実践をお伝えしました。そこでは、「自分に自信を持つこと」「ありのままの自分を愛すること」が大切というお話をさせていただきました。そして、参加してくださった先生方に、この講座の中で一番印象に残った言葉をお聞きしたところ、それは『根拠のない自信』でした。「自信を持つことに根拠は要らないとは、衝撃的!」とのご感想もいただきました。

実は、私が『根拠のない自信』の重要性に気づいたのは十数年前に遡ります。まさに「我が子が無心に歩こうとするその姿」から学んだような気がするのです。
人は成長と共に、いつの間にか「できるか、できないか」を考えこみ、失敗を恐れて行動できなくなってしまう場合が少なくないと思います。何度も転びながら、時に痛い思いも経験しながら、それでも諦めずに歩こうとする赤ちゃんの姿は尊く美しいものだと思いませんか? 人は、歩くことの他にも、話すことや自転車に乗ることなど、生きていく上で必要な基本的な行動は、そうやって学んできていると思うのです。「できる」ことを疑わず、赤ちゃんのように『根拠のない自信』を持って取り組めばできるようになることが、私たちの身の回りには、まだまだたくさんあるような気がするのですが、あなたはどう思われますか?

松井美香
「勇気づけの音楽家」東京音楽大学ピアノ専攻卒業。学研「愛のピアノレッスン」にて手記を執筆。
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松井美香ピアノ教室: http://matsuimika-piano.net
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ピアノの先生のためのモチベーションアップ術:http://ameblo.jp/makeachangewithlove/
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