第七回
一階の広間かららせん階だんを上り、レンと三人組は五階に着いていた。
木せいのとびらが有り、その向こうが大きな部屋になっているようだ。
「ここが実習室。魔法の練習は、たいていこの部屋でやるんだ」
と、とびらを開きかけるレン。
しかし。
「だから! ここは王位第二けいしょう者、このうるわしのキャスリーンにまかせればいいのです!」
そのとびらの向こうから、声がもれてきた。
「もう、前もそう言ってまちがえたじゃない!」
「このキャスリーン、同じまちがいを二度くり返しはしませんわ!」
「……いや、もう五度も六度もやってるだろ?」
「ちょっと、その薬、ぜったいちがうって!」
「これでいいのです!」
「きゃあああ!」
「みんな、ふせろ?っ!」
ドッガ?ン!
「……」
レンは無言でとびらをしめると、三人をふり返って笑顔を作った。
「あ?っと、今はちょっとみんないそがしそうだから、ここはまた別の機会に案内するよ。ほかの階に行こう、ほかの階に」
「……とびらのすきまから、黒いけむりが出ているが?」
「き、気のせいじゃない?」
首をかしげるショーンの背中(せなか)をおして、レンは下の階へと向かった。