第七回
「ええと、ここは」
四階はアンリの部屋。
たくさんの魔道書(まどうしょ)が本だなにならんでいる。
「ここは……」
三階はふつうの授業(じゅぎょう)を行なう教室。
そして。
「この二階は、生徒たちがくらす寮(りょう)になっているんだ」
二階にやってきたレンは、寝室(しんしつ)のとびらを開いた。
「わたし……ここに……住むの?」
ベッドがならぶ寝室を見わたし、アーエスはレンにたずねた。
「うん。もしかして、気に入らない?」
「そんなこと……ない」
どうやらとても気に入ったようだ。
「しかし、ずいぶんとせまいぞ」
と、不満顔なのはショーンである。
「これではわがサクノス家の食器だなよりもせまいではないか?」
「あら、広ければいいというものではなくってよ」
ベルはおだやかな口調で反ろんした。
「ベッドはふかふか、おふろもあるし、くらしやすそうだわ。レン先輩、食事はどうなさっているんですか?」
「毎日、南街区にある『三本足のアライグマ』亭(てい)から、給食を運んでくるんだ。セルマの料理はアムリオン一だね」
「レン先輩も、ほかの生徒さんたちといっしょに食事を?」
「もちろん」
「……よし」
小さくうなずくベル。
「……本当にどうしたんだ、ベルは?」
寒気を覚えるショーン。
「だから……恋(こい)……」
と、アーエス。
「やれやれ、どうやらベルまでこの学校の生徒になりたいようだな。……だが!」
ショーンは胸(むね)を張った。
「このぼく、ショーン・サクノス・ド・レイバーンは、この二人のようにかんたんに丸めこまれはしないからな!」
しかし……。