第七回
「こっちはうら庭。魔法薬学で使う薬草なんかを育ててる」
レンは最後に、塔のうら手にある花だんのほうに三人を案内した。
「こ、こんなものがあることを、なぜ先に言わない!」
ショーンのひとみが、かつて見たこともないほどにかがやく。
「な、なぜって言われても……」
レンには、ショーンのこうふんがさっぱりりかいできない。
「さすが……お花屋さん」
小声でつぶやくアーエス。
「ここならば……屋しきでは育てられない花も……う?ん、なやむところだ! ああ、美しき花々よ! 緑の草木よ! このぼくはどうすればいいのだ!」
すでにショーンの頭の中は、満開のお花畑である。
そこに。
「やあ、来てるね」
城からもどってきたアンリがすがたを見せた。
「学校の印象はどうだった?」
(花だん……)
(レン先輩……)
(ご飯が……ただ……ふかふか……ベッド……)
それぞれの思わくは、ひとつの方向を取りつつある。
「どうする? アーエスは寮、ベルとショーンは通学ということになると思うけど、ぼくたちといっしょに勉強してみるかい?」
三人を見わたすアンリ。
ベル、ショーン、アーエスは当然……。
「やります!」
元気よくいっせいに答えた。