星見の塔
「やあ、よく来たね」
「いらっしゃーい!」
城を出て城壁に沿って西へ進むと、地上四階の塔にすぐに到着しました。
ここが有名な『星見の塔』。
出迎えたのは、アンリと生徒たちです。
トリシアより少し年上なだけですが、アンリはいにしえの魔法院の後継者。アムリオンの宮廷魔法使いでもあるのです。
「さあ、入って」
正面の扉から中に入ると、いつも生徒たちがわいわいとおしゃべりをしている場所があります。
「この塔は、一階が見ての通りの広間」
アンリが説明しました。
「二階は寮、三階と四階が教室と実習室。前は最上階が実習室だったんだけど、今は図書室と僕の部屋になっている」
階段を上ると、アンリの言葉どおり、生徒たちが寮生活を送る部屋があります。
左が女の子たちの部屋。
右が男の子たちの部屋です。
女の子の部屋の扉を見ると、『ショーン、立ち入り禁止』の張り紙がありました。
「……ショーン、何やったの?」
トリシアの冷たい視線がショーンに突き刺さります。
「何もしてない! 誤解だ! っていうか、これはアーエスが勝手に張っただけだ!」
「……ショーンにだけは……見られたくない……それが……女の子たちの……結論……」
アーエスは肩をすくめました。
「……なんだか泣けてきた」
「そのうちいいこともあるさ」
涙ぐむショーンの肩にレンはそっと手を置きました。