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少しして。
「ねえ、お願い!」
「お願いします」
お客が少なくなった頃を見計らい、ミノンとメデューサは、働かせてくれるようにセルマに頼みに行っていた。
「急に雇ってほしいって言われてもねえ」
セルマは頭をかく。
と、そこに。
「おしとごか! いいな! カナルもはらたく!」
小さな女の子が駆け寄ってきて、しっぽを振った。
名前はカナルといい、子犬、ではなく、オオカミに変身できる女の子である。
「おしとごじゃなくてお仕事。はらたくじゃなくて働くよ、カナルちゃん」
と、メデューサは優しく教える。
「……なるほどね」
セルマは3人を見て、考え込んだ。
「美女のメデューサはお客さんに受けそうだし、怪力のミノンはたくさん料理を運べる。カナルは……ま、フィリイたちよりはマシか? ……いいよ。じゃ、さっそく今夜から働いておくれ」
セルマはうなずく。
「やったあ!」
「やりましたね!」
「やったのだ!」
ミノンたちはパチンと手を打ち合わせて喜ぶのだった。