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「きゃあ!」
客のひとりに突き飛ばされて、転びかけたミノンが柱につかまった。
バキッ!
ミノンの怪力で、柱が真っ二つに折れる。
「どうなってるの!?」
メデューサが驚いてしゃがみ込むと、頭のヘビたちがあばれ、あたりのものを片っ端から石に変えていった。
セルマが大切にしているシャンデリアまでが石になり、その重みで落ちてきて、床に大きな穴を開ける。
「おっとっと」
カナルが飛んできたカップをひょいとよけた拍子に、頭にのせて運んでいた料理がそのままベチャッと皿ごとダッシュの顔に命中した。
「てめ~、何しやがる!」
「これは……事故?」
カナルは子オオカミの姿になると、可愛くしっぽを振ってみせる。
「ごまかされるかああああ~っ!」
ダッシュは自分もちびドラゴンの姿になって、カナルを追いかけ始めた。
「ん、なんか、すごいことになっちゃったね」
あたりを見渡したトリシアは、他にセルマにかける言葉がない。
「あははは、店の修理代が」
セルマはその場に崩れ落ち、笑うしかなかった。