- ??ようやく涼しくなって、読書の秋って感じになってきたなあ。……どうせ大食いのトリシアには、読書より食欲の秋だけどね。
- ☆.。:* トリシア
「失礼ね! 食欲は健康のもとでしょ!」
- ☆.。:* レン
「お、大食いだってことは否定しないんだ?」
- ??けど、限度というものがあるだろ? 君さ、一日何回おやつの時間があるんだよ?
- ☆.。:* トリシア
「三回……か四回か……もっと」
- ☆.。:* キャスリーン
「医者のくせになんなんですの、この人は?」
- ??ま、ともかく、今回も元気に質問コーナー行ってみよう。まずは……。
- 「ピンクドラゴンのタルト代は結局どうしたんですか?」という質問だけど?
- ☆.。:* トリシア(頭を抱えて)
「あーっ! 思い出した!そういえば、あのドラゴン!」
- ??まだ払ってもらってないな、この調子じゃ。
- ☆.。:* トリシア
「レン! これから取り返してきてよ!」
- ☆.。:* レン
「なんで僕が!?」
- ☆.。:* トリシア
「星見の塔の地下にある魔法陣を使えば、ドラゴンの巣がある北方山脈まで瞬間移動できるでしょ?」
- ☆.。:* レン
「北方山脈って言っても、広いんだぞ! あっちに行ったって、簡単にドラゴンの巣なんか見つからないって!」
- ☆.。:* トリシア
「じゃあ、急がないと。ほらほら」
- ☆.。:* レン
「あのな!」
- ☆.。:* トリシア
「がんばってー」
- ☆.。:* レン
「うう」(肩を落として去ってゆく)
- ??結局行くのか!
- ☆.。:* キャスリーン
「意志、弱すぎますわね」
- レンはトリシアのことを、どうしてパットと呼ばなくなったんですか?
- ??そう言えばレン、最近そう呼んでないな。
- ☆.。:* キャスリーン
「答えを聞こうにも、レンは今、北方山脈ですわよ?」
- ??そうだった。じゃあ、他のメンバーに呼び方のことを聞いてみよう。アム、君はずっとアムって呼ばれてるんだっけ?
- ☆.。:* アムレディア
「親しい人たちからは、そう呼ばれているわね。殿下と呼ぶ人も多いけれど」
- ☆.。:* キャスリーン
「私はお姉さまと呼びますわよ」
- ??君はキャットって呼び方が定着してるかな?
- ☆.。:* キャスリーン
「不本意ですわ。麗しの姫君と呼ばれるべきですのに」
- ☆.。:* トリシア
「あはは、それはない。アムじゃあるまいし」
- ☆.。:* 人魚のアーリン
「だよねー、ヨレヨレ白衣」
- ☆.。:* トリシア
「そう呼ぶのはあなただけでしょ!」
- ☆.。:* アーエス
「……私たちは……短い……呼び方……ない」
- ☆.。:* ショーン
「いやいや、この僕のことは、貴様らみんなショーン・サクノス・ド・レイバーン様と呼ぶべきだろう」
- ☆.。:* ベル
「海と空が入れ替わっても嫌」
- ☆.。:* アーエス
「ベルは……縮めて呼ぶと……ベ?」
- ☆.。:* ショーン
「ギャハハハハハハハハッ! それはいいな、べ……ぐはあっ!」
- ☆.。:* ベル
「……」(無言でこぶしをショーンの顔に打ち込む。)
- ??あ、レンが戻ってきた。タルト代は?
- ☆.。:* レン(ゼイゼイいいながら)
「逃げられた、あのドラゴンに!」
- ??役に立たない奴だなあ。
- ☆.。:* レン
「仕方ないだろ! あっちは飛べるんだし!」
- ??まあ、いいや。それより質問。どうしてトリシアのこと、パットって呼ばなくなったんだ?
- ☆.。:* レン
「そ、それは……呼び方にこだわってると、なんだか独占しようとしてるみたいだって言われて」
- ??誰に? アンリ?
- ☆.。:* レン
「……ソリス」
- ??なるほどね。でも君って、そういうふうに人の意見に左右されて、自分を通しきれないこと、多くないか?
- ☆.。:* キャスリーン
「トリシアをトリシアと呼ぶのでしたら、私のこともきちんとキャスリーンと呼んでほしいものですわ」
- ☆.。:* レン
「いいよ、別にキャットはキャットだし」
- ☆.。:* トリシア
「うん……どうでも」
- ☆.。:* キャスリーン
「その、関心が全然ないような顔、やめてくださる!」
- メデューサの恋話が聞きたいです。
- ☆.。:* メデューサ
「私なんかの話をしていいんですか?」
- ??確か、雨の日に子犬を拾ったのが、君と今の恋人の出会いだったよね? 別に話したくないんなら……。
- ☆.。:* メデューサ
「私と彼との出会いについては「トリシア先生、急患です!」を読んでもらうとして、最近のデートのことをお話しますね」
- ??……話す気満々じゃん。
- ☆.。:* メデューサ
「この間、お昼に広場で待ち合わせしたんだけど、彼ったら、両手いっぱいの花束を持って、朝からずっと……」
- ??なんだか話が長くなりそうなイヤな予感が……。
- ☆.。:* メデューサ
「この前の夜のデートは、東街区のレストランで、バンドの演奏付きの高級ディナーだったし……」
- ☆.。:* セルマ
「あんた、うちの三階に下宿してんのに、他の店にディナー食べに行くってどういうことさ?」
- ☆.。:* メデューサ(ぜんぜん聞いてない)
「それからそれから、二人で街の外まで行って、川のほとりで……」
- ☆.。:* トリシア(ひそひそ声で)
「どうするの? こうなっちゃうとこの子の話、しばらく終わらないよ?」
- ??じゃあ、放っておいて次の質問に行くかあ。
- ☆.。:* レン
「ま、ひとつ分かったことがあるな」
- ☆.。:* トリシア
「何?」
- ☆.。:* レン
「他人の恋話は聞くもんじゃないってこと」
- ☆.。:* トリシア
「……同感」
- メデューサ、ひとりでずっと話し続けてるけど、次の質問っと。「エマは、アーエスみたいに人を呪うようになったんですか?」だってさ?
- ☆.。:* トリシア
「そっか。エマってアーエスに、呪い習ってるんだ?」
- ☆.。:* エマ
「あの、あの、私、まだうまくできなくて! 言われたとおりに、ショーン先輩を実験台にして呪いをかけようとするんですけど、花を枯らそうと呪いをかけると、逆にきれいに咲いたり、ベル先輩がショーン先輩のために作ったアップルパイを腐らせてお腹を壊させようとしたのに、逆においしくなったり……ごめんなさい!」
- ☆.。:* ショーン
「アーエス、貴様、なんのつもりだあああああっ!」
- ☆.。:* アーエス
「不肖の……弟子め……」
- ☆.。:* トリシア
「ふしょーの弟子?」
- ☆.。:* レン
「師匠の期待を裏切る弟子ってこと」
- ☆.。:* トリシア
「アンリ先生にとっての、レンみたいなもの?」
- ☆.。:* レン
「そっちだろうが、不肖の弟子は!」
- ☆.。:* トリシア(ニッと笑ってベルを振り返り)
「ていうか、ベル、あなたショーンのためにアップルパイ作ってあげたの? もしかして……?」
- ☆.。:* ベル
「ご、誤解しないでよね! あれはあくまでも、レン先輩に作ってあげる時のための練習のパイだったの!」
- ☆.。:* アーエス
「ちっ……呪いを……かけないで……そのままに……しておけば……お腹……壊したのに」
- ☆.。:* ベル
「どういう意味よ!?」
- みんなの尊敬している人が知りたいです。
- ??って質問なんだけど。前にも似たような質問があったから、今回はアンリとか、アム、それに騎士団長や、自分の父親や母親って答えはなしってことで。
- ☆.。:* シャーミアン
「面倒なことを言い出すな!」
- ??だって、でないと答えが同じ人ばっかになるじゃないか? という訳で、まずトリシアから。
- ☆.。:* トリシア
「アンリ先生がなしだったら、ソリスとセルマ!」
- ??君は二人にだいぶ世話になっているからね。レンは?
- ☆.。:* レン
「僕もセルマかな? あと、三兄弟が起こす騒動の責任をいつも取らされるシャーミアン」
- ??キャットは?
- ☆.。:* キャスリーン
「私もセルマですわ。王家がお城を追われ、反乱派の貴族たちが国を支配していた頃、私をかくまってくれたのがセルマなのですから」
- ??セルマの人気高いなあ。次は後輩三人組、ショーンから答えて。
- ☆.。:* ショーン
「シャーミアン殿。副団長として騎士団をまとめる騎士の鑑だからな」
- ??ベルは?
- ☆.。:* ベル
「プリアモンドね。弟がそろいもそろってバカばっかりなのに、よく我慢してるもん。ある意味、感心してる」
- ☆.。:* プリアモンド
「あ、ある意味って……」
- ??アーエス、君は?
- ☆.。:* アーエス
「……尊敬する人……それは……私……」
- ??よ、予想通りの答え。三兄弟は?
- ☆.。:* プリアモンド
「シャーミアン」
- ☆.。:* リュシアン
「シャーミアン」
- ☆.。:* エティエンヌ
「シャーミアン」
- ☆.。:* シャーミアン
「嘘をつけええええええ! なぜ、全員舌を出して答える!」
- ??まあまあ、そういうシャーミアンは誰?
- ☆.。:* シャーミアン
「う、うむ。セルマやソリスは確かに尊敬できるな。……しかし、こうしてみると、我が王都には尊敬できる男性が少ないと思わんか?」
- ??だいたい、女性が強すぎるんじゃないの? で、強い女性の代表、アム、君は?
- ☆.。:* アムレディア
「いつもあなたはひとこと多いですね。私はそうですね、セルマ、私の補佐をしてくれている大臣のゼル、それにアールヴの長のファラン殿ですね」
- ??ファラン? フェリノールのお父さんか?
- ☆.。:* アムレディア
「人間とアールヴが仲よくこの国で暮らせるのも、あの方の努力のお陰ですもの」
- ??じゃあ、アンリ、君の番。
- ☆.。:* アンリ
「僕もセルマにファラン、ソリス、それにアンガラドにシャーミアン、三兄弟にトリシア、数え上げたらきりがないかな?」
- ??うわー、いい子ぶって。
- ☆.。:* アンリ
「そう言われると思った」
- ??まあ、あんまり面白くない答えはさっと流して、フィリイ、君は?」
- ☆.。:* フィリイ
「私はー、リュシアンさんとプリアモンドさん、アンリさん、ちょっと落ちてエティエンヌさんですー」
- ??それ、単に好きな男の子の順番だろ?
- ☆.。:* エティエンヌ
「あははは、僕、少し落ちるんだ」
- ??ちなみに、そのランキングだと、僕の順位は?
- ☆.。:* フィリイ
「ヴォッグさんとマイルズさんの上で、ショーン君のひとつ下です」
- ??下から三番目か!
- ☆.。:* ショーン
「僕は四番目か!」
- ??クッ! じゃあ、ソリスは誰を尊敬してる?
- ☆.。:* ソリス
「あたしもやっぱりセルマかな? 小さい頃からお世話になっているし」
- ☆.。:* セルマ
「小さい頃って。なんだか、ずいぶん年寄り扱いされてる感じがするんだけど?」
- ??まあまあ、ついでだから、セルマも答えて。
- ☆.。:* セルマ
「吸血鬼のギイだね」
- ??へ? 会ったこと、なかっただろ?
- ☆.。:* セルマ
「あのフィリイを溺愛できるってんだから、もう尊敬するしかないだろ?」
- ☆.。:* フィリイ
「ぶっぶー。それじゃ私がまるでなんの取り得もない駄目な子みたいじゃないですかー?」
- ??いや、その通りだろ?
- ☆.。:* アンガラド
「うふふ、私は……」
- ??うわっ! 聞いてもいないのに現れた!
- ☆.。:* アンガラド
「トリシアちゃんよー。たぶん、この街で二番目に立派なお医者さんー」
- ??……一番目は?
- ☆.。:* アンガラド
「私ー」
- ??それが言いたくて出てきただけだな、こいつ。
- トリシアたちの世界で、便利な物ってありますか?
- ☆.。:* トリシア
「便利なものかあ。そっちの世界の機械っぽいものは、あまりないけど」
- ??なくて正解かも知れないぞ。こっちの世界は、人間が機械に支配されてる感じがするもの。
- ☆.。:* トリシア
「でも機械があると、仕事が早く片づいて時間の節約ができるんでしょ?」
- ??で、余った時間は時間つぶしに使って、結局忙しくなる。
- ☆.。:* トリシア
「む、難しいね。そう聞くと、便利ってなんだろって考えちゃう」
- ??じゃあ、便利ってことじゃなくても、あってよかったってものは?
- ☆.。:* トリシア
「当然、魔法」
- ??それじゃ面白くない。他の物だと?
- ☆.。:* トリシア
「じゃあ、マフィンとタルト、パイとクッキー!」
- ??頼むから食べ物から離れてくれ。それに、今君が言ったのは、みんな僕らの世界にもあるって。
- ☆.。:* トリシア
「セルマの作ったお菓子よりおいしいのはないもん!」
- ☆.。:* セルマ(苦笑して)
「こっちの世界にあって、あんたらの世界にない物って、意外と少ないんだよねえ」
- ☆.。:* アンリ
「鉱山妖精の地下運河はどうかな? アムリオンの地下に網の目のように広がっていて、その地下運河を通る船に乗ると、国境から反対側の国境まで半日もかからないで行けるんだ」
- ??鉱山妖精の運河急行かあ。確かに速いけど、急流下りのカヌーや、ジェットコースターも真っ青ってくらいに、揺れるんだよなあ。
- ☆.。:* レン
「初めて乗る人は、必ず船酔いするよね」
- ??まあ移動の手段なら、飛行機や車、鉄道とか、僕らの世界にもいろいろあるし。
- ☆.。:* マイルズ
「お待ちなさい! 便利なものと言えば、マイルズ商会の便利グッズに決まっているでしょう! 今ならカタログを見た、と言ってもらえれば、な、な、な、なんと店頭価格から5パーセント引きのお値打ち価格! ポイントも二倍!」
- ??なんだよ、ポイントって。でも、一応どんな物があるのか見せて。
- ☆.。:* マイルズ
「本日の目玉商品は! この誰でも理想のスタイルになれる鏡! ナイスバディ・ミラー!」
- ??鏡がゆがんでるだけだろ! 遊園地によくあるやつじゃないか!
- ☆.。:* マイルズ
「では、こちらのマイルズ商会自慢のダイエット薬、ウルトラスリムZシロップタイプ! これを飲めばたちどころに体重が激減!」
- ☆.。:* トリシア
「……それ、腐った物を煮つめて作った下剤でしょ! お腹壊すだけじゃない!」
- ??確かに体重は減るなあ。でも、理想の体型を目指すんなら、毎日決まった運動するのが一番。
- ☆.。:* マイルズ
「みなさん、それができないから、こうしたインチキ商品が大ヒットするんです」
- ☆.。:* レン
「自分でインチキって言っちゃったよ、この人」
- レンとトリシア、ショーンとベルがお似合いだと思うんだけど、本人たちはどうなの?
- ☆.。:* トリシア
「お似合いって、何が?」
- ☆.。:* レン
「ど、どうなんだろ?」
- ??レンはけっこう女の子に人気あるけど、トリシアはあんまり男の子に人気ないよね? 付き合うにしても、あんまりお似合いって感じはしないかな?
- ☆.。:* レン
「別に僕はそんなに持ててないって」
- ☆.。:* ベル(しがみついて)
「そんなことないです! レン先輩、最高!」
- ??ベルも男子には人気がないよなあ。特にショーンと気が合うようにも見えないけど、自分たちではお似合いと思ってる?
- ☆.。:* ベル
「あたしとショーン? ないない。あり得ないから」
- ☆.。:* ショーン(指さして)
「こいつと付き合うくらいなら、ラマやアルパカと付き合うほうがましだ!……ぐはっ!」
- ☆.。:* ベル(ショーンのみぞおちにこぶしをめり込ませて)
「あら、ごめんなさい。ひづめが当たっちゃったわ。なにぶん、ラマなもので」
- トリシアは一ヶ月で何円ぐらいもうけているんですか?
- ??そもそも、赤字じゃないのか、診療所って?
- ☆.。:* トリシア
「そりゃ赤字の月もあるけど。平均すると……薬代とか、いろいろで差し引き……銀貨五枚ぐらいは収入があるかな?」
- ☆.。:* レン
「見栄はるなって。銅貨十枚ぐらいだろ?」
- ☆.。:* トリシア
「そ、そういう時もあるわね」
- ☆.。:* ソリス(ため息)
「あたしがやってた時は、もう少し儲かってたよ。トリシアは計算が弱すぎだね」
- 痴話喧嘩の丘では、もう恋人の丘だった時のように、降星祭で二人で星を見上げて告白しても、意味ないんですか?
- ☆.。:* レン
「そう言えば、あんまりあの丘で告白するって話、聞かなくなったなあ」
- ☆.。:* ベル
「今、はやっているのは、中央広場の噴水にコインを投げ入れてお願いしてから告白するってやつ」
- ☆.。:* トリシア
「あー、それわたしも聞いたことある!」
- ☆.。:* レン
「あれって別に、降星祭の時じゃなくてもいいのか?」
- ☆.。:* トリシア
「だと思う」
- ??コインか。でも、さっき見たけど噴水にコインは貯まってないぞ。
- ☆.。:* ショーン
「……アーエス!」
- ☆.。:* アーエス
「……どうして……お金のこと……になると……私を……疑うのか……けっこう……傷つく……」
- ☆.。:* ショーン
「貴様がネコババしたんじゃないのか? てっきりそう思ったが、違うとしたら……悪かった」
- ☆.。:* アーエス
「……したけど」
- ☆.。:* ショーン
「やっぱり犯人か!」
- ☆.。:* アーエス
「ちなみに……コインを……投げると……願いが……かなうって……うわさを……流したのも……私です」
- ギイやシーラさんから見て、フィリイの働きっぷりはどう思いますか?
- ??で、久しぶりにギイの登場だけど。
- ☆.。:* ギイ
「は、働きっぷり」
- ??絶句してる。
- ☆.。:* ギイ
「とりあえず、元気に暮らしているようで……安心した」
- ☆.。:* セルマ
「元気はいいんだけど、店の被害がねえ」
- ☆.。:* ギイ
「すまない。本当に」
- ??シーラはどう思う?
- ☆.。:* シーラ
「いいんじゃないの。あたしたちと離れて正解だったよ。あんな生き生きとしたフィリイ、見たことなかったもん」
- ショーンはどうしてこんなにおバカなんですか?
- ☆.。:* ショーン
「誰だああああああああっ!? こんなこと聞いてくる奴は!?」
- レンは小さい頃、どこに引っ越したんですか?
- ??そう言えば、君の家族、しばらく王都を離れていたんだよな?
- ☆.。:* レン
「父さんの商売の関係で、南のエドラルに一年半ほどいて、それから北の国境近くのハールって街に移ったんだ。そこで反乱貴族が街の人たちを苦しめているのを見て、みんなを助けようとしたせいで……あとはちょっと今は話したくないな。もう昔のことだけど、まだ気持ちの整理ができてないんだ」
- これも昔の話だね。「トリシアの妹のユノは生きていたら、何歳なんですか?」だって。
- ☆.。:* トリシア
「生きていたら、今は十歳ぐらいになっていたはずだよ。あの子、小さい頃、レンのお嫁さんになるんだって言ってて……」
- ☆.。:* レン
「あはは、そうだった」
- レンに質問。もしもトリシアとおしゃべりフクロウがまったく同じ格好をしている時があったら、見分けることができますか?
- ??という訳で、二人に同じ格好をしてもらいました。
- ☆.。:* トリシア?
「覆面つけて、白衣を着て……」
- ☆.。:* おしゃべりフクロウ?
「どっちがどっちだか分かる?」
- ☆.。:* レン
「もちろん格好が同じでも、歩き方や笑い方、食事の様子とか、いろいろ違うからね。だろ、トリシア?」(と、トリシア?に微笑む)
- ??……レン、そっちおしゃべりフクロウ。
- ☆.。:* おしゃべりフクロウ
「思いっ切り間違えてんじゃん!」
- ☆.。:* トリシア
「最低」
- ☆.。:* レン
「ほんの冗談だって。……って言い訳、だめ?」
- みんなの百メートルのタイムが知りたいです。(特にショーンとレン)
- ??じゃあ、実際に計ってみよう。レン、ショーン、アンリ、プリアモンド、リュシアン、エティエンヌ、シャーミアン、並んで。
- ☆.。:* シャーミアン
「と待て。どうして私が男子と一緒に計る?」
- ??体力的には男子と一緒だろ?
- ☆.。:* シャーミアン
「それを言ったら王女殿下やセルマも一緒だろうが!」
- ??文句はあとで。では、位置についてー。用意……スタート!
- ??……はい、最初にゴールしたのはリュシアンとアンリで、タイムは十秒二。いつもの服装でこのタイムはたいしたもんだね。次がエティエンヌで十秒七。四位はプリアモンドで十一秒フラット。次がレンで十一秒一。シャーミアン十一秒三。ショーンは……って、今ごろゴールしたのか?……十六秒八。
- ☆.。:* ショーン
「く、屈辱!」
- ??おいおい、ポムの記録が十四秒五なのに。
- ☆.。:* エティエンヌ
「なるほどねー、シャーミアンちゃんに僕らが捕まらないのは、こういう訳なんだー」
- ??じゃあ、次は女子。用意、スタート!
- ??……へえ。意外だな。トップはアンガラド。十一秒一でレンと同じタイム。
- ☆.。:* アンガラド
「ふふふ、這って動くともっと早いわよー」
- ??怖いからやめて。二位はアムレディア十一秒五、三位セルマ十一秒七、四位ソリス十二秒四、五位エマ十二秒九、六位トリシア十三秒一、七位ベル十三秒九、八位キャット十四秒二、九位アーエス十五秒七、最下位フィリイ十六秒五……って、ショーンより速い。
- ☆.。:* フィリイ
「あそこまでいくと、人間やめた方がいいですねえ」
- ☆.。:* ショーン
「お、覚えてろ!」(と、遅い足で逃げてゆく)
- ☆.。:* アンリ
「……あのさ、今、気がついたんだけど」
- ??何?
- ☆.。:* アンリ
「シャーミアン、鎧着たままで走ったろ?」
- ??そうか、もしもっと軽い服装だったら……。
- ☆.。:* アンリ
「ショーンとは逆の意味で、人間離れしてるなあ」
- 不良騎士たちがしでかしたことの中で、もっとも壮大で迷惑だったものを教えてください。
- ??この最後の質問、シャーミアンに答えてもらうべきかな?
- ☆.。:* シャーミアン
「ちょ、ちょっと待ってくれ。走ったばかりなので呼吸が……」
- ??……もういい?
- ☆.。:* シャーミアン
「いい」
- ??もっとも壮大で迷惑だったものってことなんだけど?
- ☆.。:* シャーミアン
「あの連中のすることは、そっちの世界で言う中学生男子レベルのいたずらだ。壮大なものなんてないぞ」
- ??別にいたずらじゃなくてもいいんだけど?
- ☆.。:* シャーミアン
「戦闘訓練と称して、本部を半分破壊しかけたことがあったな。密輸犯人逮捕の時に、大型の帆船を沈没させたことも二回ほど。あとは……」
- ☆.。:* プリアモンド
「ストップ! それ以上はやめてくれ、イメージが低下するだろ!?」
- ☆.。:* シャーミアン
「お前らのイメージなど、これよりは下がないほどすでに低下してるだろうが! プリアモンドは橋の修理を手伝いに行って、橋そのものを壊してくるわ、リュシアンを巡って本部の前で女の子たち数十人が乱闘を始めるわ、エティエンヌはショーン君の入学記念だといって、『星見の塔』を花で埋め尽くすわ……」
- ??……シャーミアン、大変なんだな、君も。
- ☆.。:* シャーミアン
「ようやく分かってくれたか」
- ??てな訳で、今回はこれでおしまい。質問、みんな待ってるからどんどん送ってね!
…今回のQ&Aはいかがでしたか?
花いっぱいの星見の塔…
エティエンヌお兄様の入学記念、ステキですね!!
(…ショーンが喜んだかどうかは別として…。)
それでは、
続けて2月の特別企画・「今年最初のQ&A」をどうぞ!
今年最初のQ&A、まず最初はこの質問ー。
- トリシアの診療所には、どんな薬が置いてあるの?
- ??だ、そうだけど、トリシア?
- ☆.。:* トリシア
「乾燥させたハーブや生の薬草から作った、飲み薬や塗り薬が多いかな? 東街区の薬草屋さんを、何軒か回って買ってくる薬が半分ぐらい。あとはうちの薬草園で作ってるんだよ」
- ☆.。:* ショーン(ため息をついて)
「それを手伝わされているのが、この僕なのだ」
- ☆.。:* トリシア
「だって、私だけだと薬草、枯らしちゃうんだもの」
- ☆.。:* ショーン
「水をやり過ぎたり、逆に足らな過ぎたり、世話が適当だからだ! もっと草花に対する愛を持たんか!」
- ☆.。:* トリシア
「んー、食べられない植物って……あんまり区別つかないのよね。薬草は匂いと味でかろうじて分かるけど、見た目で判断するのは苦手かも」
- ☆.。:* ショーン(黄色い花を取り出して)
「では、問題を出すぞ。これは?」
- ☆.。:* トリシア
「……ひ、ひまわり?」
- ☆.。:* ショーン
「あほかああああああっ! タンポポだろうが!」
- ☆.。:* トリシア
「あー、お茶にするやつね! 乾燥してるのなら知ってる!」
- ☆.。:* ショーン
「くっ! これから特訓だ! 百種類以上の花が区別できるようになるまで勉強させるからな!」
- ☆.。:* トリシア
「あー、えっと……そうそう、これからお仕事!」(と、逃げる)
- トリシアはどうして治療魔法以外の魔法で失敗するの?
- ☆.。:* トリシア
「そ、そんなに失敗してる印象あるかな?」
- ??印象の問題か? 実際、失敗多いだろ?
- ☆.。:* アンリ(うなずいて)
「魔旋律を正確に唱えないといけないのに、うろ覚えのまま魔法を使うことが結構あるんだよ、トリシアは」
- ☆.。:* ショーン
「攻撃魔法に関しては、成功しているのではないか? 攻撃力は対したものだぞ?」
- ☆.。:* キャスリーン
「狙いがメチャメチャですわよ。私なんて、火の玉や電撃を当てられたことが何度あったことか?」
- ☆.。:* トリシア
「肝心な時にはあんまり失敗しないからいいじゃない?」
- ??まあ、被害にあうのはキャットかショーン、それにベルぐらいだし。どうして失敗するかって聞かれたら、そういう性格だから、としか言いようがないなあ。
- ☆.。:* トリシア
「だから、そんなに失敗してないって!」
- ☆.。:* レン
「魔旋律っていうのは音の高さや長さを正確に唱えなきゃいけないんだけど、トリシアの場合、けっこう適当。そこに原因があるのかも」
- ??つまり、音痴?
- ☆.。:* トリシア
「音痴じゃなーい!」
- どうして不思議な動物でも治せるの?
- ☆.。:* トリシア
「不思議な動物って、ドラゴンとかユニコーンのこと? ちゃんと勉強してるし、アンリ先生からもらった医学書があるから、たいていの病気は調べると分かるよ」
- ??へえ、調べてるんだ?
- ☆.。:* トリシア
「し、失礼ね! まあ、それに話ができるってことがやっぱり役に立ってるかな? どこがどういうふうに悪いのか、聞けるもん」
- アンリはどうして伝説の魔法使いになれたんですか?
- ☆.。:* アンリ
「で、伝説の魔法使いって、大げさな」
- ☆.。:* トリシア
「ぜんぜん大げさじゃないよ! 先生、すごいもん!」
- ??という意見が約一名。でも、こうして話していると、アンリって普通すぎるぐらい普通だよなあ。
- ☆.。:* アンリ
「日常、そんなに魔法も使わないしね。もしそう呼ばれているとすれば、まわりのおかげかな? 僕は仲間に恵まれたんだよ」
- ??仲間かあ。アムやセルマ、フェリノールたちだね。
- ☆.。:* アンリ
「もちろん、それだけじゃないよ。剣を教えてくれた師匠、水の魔法院のみんな、それにファヴローウェインの森のアールヴたちもだよ」
- ☆.。:* アムレディア
「アンリが伝説の魔法使いと呼ばれているのには、理由が二つあるの。まず一つ目は、アムリオン王国を支配してアールヴとの間に戦争を起こそうとしていた大公を倒して、この国の人々を救ったこと。二つ目は、千年間、七つの魔法院に分けられて伝えられていた魔法をすべて修得しているただひとりの魔法使いだということ」
- ??さすが、アンリのことにはくわしいね。
- ☆.。:* アムレディア
「友人ですから」
- ??ただの友人?
- ☆.。:* アムレディア
「……その口、二度ときけないようにしてあげてもいいのですよ?」
- ??……黙ります。
- アーエスはいつからあんなに暗くなったの?
- ☆.。:* アーエス
「暗い……がーん……」
- ??ま、まあ、ベルなんかと比べればってことで。
- ☆.。:* アーエス
「……暗い……のではなく……思慮深い……だけ……」
- ??で、昔っからそうなの?
- ☆.。:* アーエス
「……そんなことは……なく……一昨日あたりから……」
- ??なワケないだろ!
- ☆.。:* アーエス
「……とすると……二万……三千年と……四日前……」
- ??ま、まあ本人に自覚がないから、答えられないか?
- ☆.。:* ベル
「あたしと知り合ってからは、ずっとこんな感じよね?」
- ☆.。:* ショーン
「そうだな。ペラペラしゃべって笑い転げるところなど、見たことがない」
- ☆.。:* アーエス
「……でも……一人きりに……なると……実は……毎日……大笑いしてる……ショーンの……失敗を……思い出して……」
- ☆.。:* ベル
「ああ、それならあたしもあるわ」
- ☆.。:* ショーン
「き、貴様ら!」
- ポムはなんでポムって名前なの?
- ☆.。:* トリシア
「ポムはリンゴって意味だよ」
- ☆.。:* ポム
「ピッピ?(可愛いから?)」
- ☆.。:* トリシア
「丸いから」
- ??身もフタもないなー。でも、確かに年々丸くなってる気がする。
- ☆.。:* アーエス
「……プニプニは……これで……いいの……」
- ☆.。:* ポム
「……ピィ(痩せようっと)」
- アムレディア姫は、誰かしらを自室に呼んでいますが、部屋の中でいったい何をしているのでしょうか?
- ??まあ、王女の生活って、なかなか分かりにくいかも知れないね。説明してくれる?
- ☆.。:* アムレディア
「第一王女である私は、国王陛下の補佐として、アムリオン王国の政治のかなりの部分を担っているの。自室というのは、仕事の場所でもあって、大臣たちがひっきりなしに出入りしているわ。だから基本的に第一王女には、プライヴァシーは存在しないと思ってもらって構わないわね」
- ??第二王女は?
- ☆.。:* アムレディア
「……ヒマ?」
- ☆.。:* キャスリーン
「お姉さま!」
- シャーミアンはどんなファッション、どんな模様が好き?
- ☆.。:* シャーミアン
「ファッション? 副騎士団長としての重責を担う身としては、そんなものにかまけている時間はないな」
- ☆.。:* エティエンヌ
「うそだー。自分の部屋にいる時には、可愛ーい服に着替えて、鏡をうっとりと眺めてるくせにー」
- ☆.。:* シャーミアン
「べ、別にうっとりなど……って、なぜお前がそれを知っている!?」
- ??エティエンヌは女の子たちから噂を聞き出すの、うまいからなあ。で、どんなのが好き?
- ☆.。:* シャーミアン
「……どうしても答えなくてはいけないか? 女性騎士のまとめ役としての立場が……」
- ??もうバレたんだし、いいじゃん?
- ☆.。:* シャーミアン
「ぐぐぐっ、おのれエティエンヌ!」
- ??で、どんなの?
- ☆.。:* シャーミアン(ちょっと声が裏がえっている)
「か、か、可愛いのは、確かに嫌いじゃないぞ。この季節だとニットとか……」
- ☆.。:* エティエンヌ
「シャーミアンちゃん、三年前ぐらいから自分でセーター編んでるんだけど、まだ完成しないんだよねー」
- ☆.。:* シャーミアン
「だから、どうして貴様が知っているんだあああああ!?」
- ??好きな模様も聞かれてるんだけど?
- ☆.。:* シャーミアン(気を取り直して)
「そうだな、ボトムはタータン・チェックがいいと思う。こちらの世界では高い生地だが。ちなみに、そちらの世界でいうプリント地は、こちらでは目が飛び出るほど高い。刺繍の方が安いんだ」
- ??確かに、プリント柄の服って見かけないなあ。じゃあ、もしプリント柄の生地をあげるっていったら、どんなのが欲しい?
- ☆.。:* シャーミアン
「くれるのか!? だったら……!」(と、イラストを描き始める)
- ??いや、もしもの話だってば。
- ☆.。:* シャーミアン
「……このビンボー作家」
- アンガラドに質問です。いつも血を抜くために騎士団員を狙っているみたいだけど、女性として好きなタイプはいないの?
- ☆.。:* アンガラド
「ふふふ、ついに私の時代が来たのねー」
- ??それはない。でもいちおう、君って騎士団の中では残念な美女ランキング、シャーミアンを抜いて一位なんだよなあ。
- ☆.。:* アンガラド
「それはシャーミアンちゃんよりも私がきれいってことー? ぬふふふふー」
- ??い、いやあ、シャーミアンよりも残念な子だってことじゃないかな? それより、好きなタイプは?
- ☆.。:* アンガラド
「そうねー、好きな血のタイプはー」
- ??だから、血じゃなくて人! どんな人が好きかってこと!
- ☆.。:* アンガラド
「あらー、血は人、人は血よー。人こそが血ー、血こそが人ー」
- ??……どうして君、吸血鬼じゃないんだろ? とにかく答えてよ。
- ☆.。:* アンガラド
「そうねー、アンリさんなんか良さそー。きっと、血はワインのように澄んでいてサラサラよー。みんなも血のために、水分と野菜をたっぷり取ってねー」
- ??逆に、好みじゃないのは?
- ☆.。:* アンガラド
「悪徳商人のマイルズねー。あの人の血、たぶん小麦粉を混ぜたトマトジュースよりドロドロしてるわー」
- ??君のプロフィールについても、質問が来ているんだけど?
- ☆.。:* アンガラド
「ぬふふー、そちらの世界の単位に直すとー、体重は46キロー、身長は171センチー、アンリさんより7か月早く生まれているわー」
- ??身長、結構あるんだね?
- ☆.。:* アンガラド
「いつも這っているから目立たないけれどねー。ちなみにー、髪の長さは腰まであるのよー」
- ??髪の毛、自慢?
- ☆.。:* アンガラド
「ううん、洗うのと乾かすのが面倒くさいだけー」
- ショーンに質問です。ショーン・サクノス・ド・レイバーンか、ショーン・サクノス・ド・レイヴァーン、どちらですか?
- ☆.。:* ショーン
「これは、僕の名前をそっちの世界の言葉に直す時の問題だな。軽く唇を噛んで発音するVの音が入るので、レイヴァーンがより正確な名前なのだが……」
- ??いやあ、レイバーンって書いた方が、一字少なくて済むから、楽だなあって。
- ☆.。:* ショーン
「……言葉の問題と言うより、貴様が問題だったようだな」
- 三兄弟に質問です。シャーミアンが従者だった時は上から目線だったのに、今は怖がっていますよね?シャーミアンが副団長になったからですか?
- ??へえ、君たち怖がってるのか? シャーミアンのこと?
- ☆.。:* プリアモンド
「怖がっているのとはちょっと違うね。彼女は立派な騎士だから、尊敬しているんだよ。従者だった時は僕らが教育する立場だったから、多少きびしく接していたけど」
- ☆.。:* シャーミアン
「教育? あれが教育か?」
- ??リュシアンは別に怖がってないだろ? ていうか、世の中に怖いものないだろ?
- ☆.。:* リュシアン
「いやいや怖いぞ、シャーミアン副騎士団長は。いろいろと人間離れしているからな。特にファッション・センスと料理の腕は、ダンゴムシに匹敵するとの噂だ」
- ☆.。:* シャーミアン
「それは褒めてないな!? 絶対に褒めていないだろう!?」
- ☆.。:* エティエンヌ
「基本的に、僕たちのシャーミアンちゃんに対する態度って、変わってないと思うよ。愛情たっぷり! ……ぷっ!」
- ☆.。:* シャーミアン
「だから、吹き出すんじゃない!」
- 七つの魔法院って、どのくらい昔からあるんですか?
- ??あー、こういう質問は、アンリ、頼む。
- ☆.。:* アンリ
「ひとつの帝国が世界を支配していた時代のことだけど、発達した魔法という力はあまりにも危険すぎるという声が人々の間で上がり始めたんだ。それで、その力が集中しないように、魔法使いたちはすべての魔法を七つの系統に分けて継承すると決めた。地、水、風、火、光、闇、時の魔法院は、その時に生まれたものだよ」
- ??長い話で眠くなってきた。
- ☆.。:* アンリ
「もう少しで終わるって。魔法院の中には場所を移したものもあるし、滅びてしまったものもある。時の魔法院は、時間と時間の隙間に姿を隠していたのが、今から少し前に発見された。それが、今の星見の塔なんだ」
- ショーンがお兄さんたちからプレゼントされたものの中で、一番嬉しかったもの、嫌だったものを教えてください。去年の誕生日にもらったものも教えてください。
- ☆.。:* ショーン
「あの連中が、僕が喜ぶようなものを寄こすと思うのか?」
- ☆.。:* プリアモンド
「ええ? 去年あげた鎧は喜んでくれなかったのか?」
- ☆.。:* ショーン
「あんなバカ重い鎧、着たら一歩も動けんではないか!?」
- ??いちおう、着てみたんだ?
- ☆.。:* ショーン
「プリアモンド兄上のプレゼントは、持ち上げられない剣や盾、射ろうとすると反動で吹っ飛ぶ弓矢、とことん気が荒い暴れ馬、ろくなものがないのだ!」
- ??その中でお気に入りの物ってないのか?
- ☆.。:* ショーン
「まあ、短剣が唯一、まともなものか。少なくとも、持ち上げられる」
- ??リュシアンからもらったのって、どんなのがある?
- ☆.。:* ショーン
「うう。プリアモンド兄上からのプレゼントは、少なくとも善意からの物だったが、リュシアン兄上のは……」
- ☆.。:* リュシアン(ショーンの肩に手を置いて)
「俺からのプレゼントに何か不満が?」
- ☆.。:* ショーン
「い、いいえ! 不満など!」
- ??どんなものあげたんだ?
- ☆.。:* リュシアン
「去年は、演奏会のチケットだな」
- ??へえ、いいじゃないか?
- ☆.。:* ショーン
「演奏するのがアーエスで、夜明けから真夜中まで続く演奏会でもか? その上、途中退場禁止だぞ? おまけにアーエスの奴、呪歌以外のレパートリーが三曲しかないのだ! それを繰り返し、繰り返し……」
- ☆.。:* アーエス
「いい……練習に……なった……」
- ??ショーン、もらって迷惑じゃなかったってレベルのものだと、何かある?
- ☆.。:* ショーン
「シャーミアン殿に一日剣の先生になってもらう権利の券だ」
- ??こっちの世界の子供が父の日とかに送る、肩たたき券みたいなもんか? 一番安上がりなプレゼント。
- ☆.。:* ショーン
「シャーミアンはうちの兄上たちと違って優しい先生だからな。一日でかなり剣が上達したぞ」
- ??まあ、そんな気がしただけだろうけど。
- ☆.。:* リュシアン
「あれは失敗だったな。あの力の加減を知らない副騎士団長のことだから、ショーンを叩きのめすと思ったんだが」
- ??で、ボロボロになったショーンを見て楽しむ、と?
- ☆.。:* リュシアン
「愛の鞭だ」
- ??エティエンヌはどう?
- ☆.。:* エティエンヌ
「僕は毎年、贈る物は同じだよ。花の種」
- ??まともだ、意外と。
- ☆.。:* ショーン
「それだけならいいのだが……」
- ☆.。:* エティエンヌ
「あと、ほっぺにキス」
- ??ショーン、同情する。
- 昔のキャスリーンと今のキャスリーンは、口癖が違うけどなんでですか?
- ☆.。:* キャスリーン
「そんなに違いますかしら?」
- ??どうだろ? 多少、お姫様らしくなったってことかな?
- ☆.。:* キャスリーン
「でしょう? さすがに鈍い三流作家でも、ようやくお気づきになって? この麗しのキャスリーン第二王女の神々しさが!」
- ??……やっぱ、変わってない。
- レンはいつからトリシアのことが好きなの?
- ☆.。:* レン
「だから、どうしてこういう質問が来るかな?」
- ??あきらめるんだね。で、いつから?
- ☆.。:* レン
「さあ、エドラルで再会するまで、ほとんど意識してなかったんじゃないかな? まあ、それから後は僕が守ってあげないとって思い始めた……かも?」
- ??はっきりしない奴。
- サクノス家の三兄弟&おまけ約一名&レンに質問です。トリシア、シャーミアン、ベル、アーエス、キャスリーンをひとことで説明するならなんと言いますか?
- ☆.。:* ショーン
「おまけとは僕のことかあああああああ!?」
- ??いつものことだろ? 気にするなって。じゃあ、まずそのおまけのショーンから答えて。
- ☆.。:* ショーン
「トリシアのことは、だらしない医者。シャーミアン殿は規律正しい騎士の鑑。ベルは、最強の魔物。アーエスは……正直、分からん。キャスリーン姫は、王家のダメな方」
- ☆.。:* キャスリーン
「ダ、ダメな方とはなんです!」
- ??次、プリアモンドの番。
- ☆.。:* プリアモンド
「トリシアは頼りになる名医。シャーミアンはちょっと方向がずれている人。ベルはショーンの友だちその1。アーエスは友だちその2。キャスリーン殿下は、いつも一生懸命な可愛い姫様、というところだね」
- ☆.。:* キャスリーン
「騎士殿、あなたを私の警護係に任命してあげてもよろしくってよ!」
- ??リュシアンは?
- ☆.。:* リュシアン
「順番にヤブ医者、イタい女子、身の程知らず、ダメ弟子、落第王女」
- ??歯に衣着せなよ、少しは。
- ☆.。:* リュシアン
「ずいぶんと甘く表現したつもりだが?」
- ??これ以上つっこむと、何言うか分からないから、エティエンヌ、頼む。
- ☆.。:* エティエンヌ
「んと、トリシアは可愛いお医者さんで、シャーミアンちゃんはドジっ子。でもって、ベルちゃんはほんとは優しい子で、アーエスちゃんは寂しがり屋さん。キャスリーン姫は陰でがんばる子」
- ??うわ、まともなこと言ってる。まあ、キャットは陰でがんばる子って言うより、人前では頑張れない子って感じだけど。
- ☆.。:* キャスリーン
「あなたという人はーっ! どうしていつも一言多いんですの!?」
- ??最後にレンは?
- ☆.。:* レン
「トリシアはトラブル発生装置。シャーミアンはロマンチスト。ベルは基本的にいい子。アーエスは意外と研究家。キャットは……まあ、あんな感じ」
- ☆.。:* キャスリーン
「ふ、不愉快ですわ!」
- ☆.。:* ベル
「きゃーん! 先輩に褒められたっと!」
- ☆.。:* トリシア
「……レン、ベルに甘すぎ」
- 太っている自覚がある何人かの人とドラゴン一匹に質問です。ダイエットしようとは思わないんですか?
- ☆.。:* トリシア
「太ってないよ! だからダイエットなんて関係ないもん!」
- ☆.。:* キャット
「太ってませんわ。ダイエットなんて」
- ☆.。:* ベル
「あたしはしてるわよ。もちろん、先輩のため! きゃん!」
- ☆.。:* アーエス
「………………さあ?」
- ☆.。:* シャーミアン
「私はふだん運動しているからな。ダイエットに縁はないぞ」
- ☆.。:* エティエンヌ
「シャーミアンちゃん、ちょっとぐらい太っても、鎧のせいにして体重ごまかせるもんね」
- ☆.。:* シャーミアン
「……」(無言でエティエンヌの顔面にパンチ)
- トリシア、アムレディア、ベル、キャスリーンに。どこで、どうやって告白されたいですか?
- ☆.。:* トリシア
「相手によるよ」
- ☆.。:* アムレディア
「そうね、相手次第」
- ☆.。:* ベル
「じゃあ、レン先輩ってことで」
- ☆.。:* キャスリーン
「……あ、相手がさっぱり思いつきませんわ」
- ??それぞれ、理想の男性ってことでいいんじゃないの?
- ☆.。:* トリシア
「んー、そもそも場所なんかどうでもいいんじゃない? 好きだって言ってもらえれば? ……あ、待って! 告白されたくない場所ならあるよ。たくさんの人が見てる前。断りにくいもん」
- ☆.。:* アムレディア
「そうね。告白されるなら二人きりになれるところがいいわ。そこで、普通に好きだという想いを伝えてくれればね」
- ??たとえば、荒野とか?
- ☆.。:* アムレディア
「……あなた、何が言いたいの?」
- ??いやあ、アンリに告白されたのは、あそこかなあって。
- ☆.。:* トリシア
「こ、こ、こ、こ、こ、こ、告白された!? アンリ先生に!?」
- ☆.。:* アムレディア
「されていません! あれは……ただ、約束の場所で私が待っていて、アンリが戻ってきてくれた。それだけのことよ。言葉は特になかったの」
- ??どうだか?
- ☆.。:* アムレディア
「……よほど、地下牢がお気に入りのようね」
- ??ああっと。ベルはどう?
- ☆.。:* ベル
「決まってるでしょ! 夕暮れの教室で、先輩があたしの手を握って言うの、愛してますって!」
- ☆.。:* キャスリーン
「夕方だと、まだ他の生徒がいますわよ?」
- ☆.。:* ベル
「関係ないわ! その他大勢なんて!」
- ??キャットは?
- ☆.。:* キャスリーン
「私は王女ですから、お城の謁見の間で貴族たちに囲まれ、ひざまずいたまま告白させることになるでしょうね。もちろん、貢ぎ物は山のようにもらわないと、私の足元に近づくことさえできませんわ」
- ??……このさき一生、ないなあ。
- ☆.。:* キャスリーン
「……お姉さま、地下牢、まだ空きがありますかしら?」
- レンはアムに何を習ったの?
- ☆.。:* レン
「お、主に礼儀作法と話し方だよ」
- ??なんでこの話題になると、顔が青ざめるんだ?
- ☆.。:* レン
「そう言えるのは、あの恐ろしい教育方法を知らないからだって!」
- ☆.。:* アムレディア
「あらあら、私の教育方法に不満があったのかしら?」
- ☆.。:* レン
「そ、そんなこと、あるワケないよ、全然! もう、最高!」
- ??わざとらしいなあ。アム、いったいどうやってこんなに怖がらせたんだよ?」
- ☆.。:* アムレディア
「それは秘密」
- アーエスの家族は今、何をしているんですか?
- ??アーエス、君、ときどき家に帰るんだろ?
- ☆.。:* アーエス
「……たまに……」
- ??みんな、どうしてる?
- ☆.。:* アーエス
「……ふつうに……してる……父親は……相変わらず……働いたり……そうでなかったり……弟や……妹は……かなり……うるさい……」
- ??働いて稼いだお金、家族に渡しているんだろ?
- ☆.。:* アーエス
「……まあ……少しは……」
- ??そこだけは、偉いと思うよ。
- ☆.。:* アーエス
「だったら……これ……買って……銅貨五枚」
- ??なになに、呪いの札? 説明書によると……持ってるだけで不幸になれます……って要るかあああっ!
- トリシアが治癒と浄化以外でちゃんとできるものは?
- ☆.。:* トリシア
「あ、あのー、わたしって、どれだけ魔法下手だって思われてるの?
- ??まあ、上手くはないだろ?
- ☆.。:* トリシア
「基本的な魔法なら、ほとんど間違えないでできるってば。攻撃魔法だって、狙いが外れるだけで、魔法自体は失敗してないし」
- ??ほとんどって、どのぐらい成功する?
- ☆.。:* キャスリーン
「ええっと……五回に三回は」
- ☆.。:* トリシア
「オーッホッホッホッホッ! 無様ですわね! 私でしたら、十回に六回は成功しますわよ!」
- ??それ、同じことだから。一番後輩のエマの場合は、簡単な魔法でどのくらい成功する?
- ☆.。:* エマ
「ごめんなさい! まだ新米だから、一度も失敗したことないんです!」
- ☆.。:* トリシア
「ああ……」
- ☆.。:* キャスリーン
「そう……」
- トリシアたちの国のイベントを教えてください。
- ??アンリ、頼むー。
- ☆.。:* アンリ
「面倒なこと、全部僕に押しつけるの、やめてくれないかな?」
- ??だって、アムに頼むの怖いし。
- ☆.。:* アンリ
「仕方ないなあ。まず、アムリオン王国では新年のお祝いは基本的にはないんだ。冬の降星祭がまだ続いているからね。冬の降星祭が、そっちの世界のクリスマスと新年を合わせた感じかな? 冬には銀霜祭もあるけど、これは星の配置の関係で、毎年、日にちが変わる。冬の終わりには聖ピュティアの日。これはそちらの世界のヴァレンタイン・デーかな? 春先には王都の解放記念日、国王陛下の即位記念日、それから夏の降星祭や……いろいろありすぎて、全部は説明できないよ」
- ??ダメな奴だなあ。
- ☆.。:* アンリ
「君に言われたくないんだけど?」
- レンとショーンに質問。好きな人は誰?ちゃんと答えないとアーエスに呪わせるってさ。
- ☆.。:* アーエス
「……合点……承知」
- ??じゃあ、レンから。
- ☆.。:* レン
「みんな好きだよ」
- ☆.。:* ショーン
「僕もだ。ベルとアーエス以外」
- ??アーエス、呪ってあげなさい。
- ☆.。:* アーエス
「……喜んで……コウモリの翼と……ニンニクの花……サソリのトゲと……クモの糸……オトギリソウの赤い葉と……ヒキガエルの……」
- ☆.。:* レン
「……ショーン」
- ☆.。:* ショーン
「な、何かな?」
- ☆.。:* レン
「逃げるぞ」
- ☆.。:* ショーン
「僕もそう思ったところだ!」(二人、走って消える)
- トリシアとレンは、小さい頃、何をして遊んだんですか?
- ☆.。:* トリシア
「そう言えば、わたしレンとはあんまり遊んだ記憶ないのよねえ。レンのお姉さんにはよく遊んでもらったけど」
- ??何して遊んだ?
- ☆.。:* トリシア
「お姫様ごっことか。わたし、お姫様じゃなくて侍女の役だったけど。どこかの本物のお姫様より、レンのお姉さんってお姫様ぽかったなあ」
- ☆.。:* キャスリーン
「お姫様らしくなくて悪かったですわね!」
- ??他には?
- ☆.。:* トリシア
「んー、花占いとか、人形遊びとか」
- ??レンは?
- ☆.。:* レン
「川に釣りに行ったり、近所の男の子たちと冒険ごっこ。騎士になったり、盗賊になったり」
- ??魔法使いの役は?
- ☆.。:* レン
「時々。魔法使いは悪役だったから、誰もやりたがらなかったけどね。あの頃は、自分が将来魔法使いになるなんて思ってもなかったよ」
- グワッパさん、トリシア、レン、キャット、三人組、エマ、アンリの魔法の採点をしてください。
- ☆.。:* グワッパ
「前は初級問題だったけど、今回はアンリが参加するから中級試験で行くだわさ」
- ☆.。:* アンリ
「ええと、僕も強制参加なのかあ」
- ☆.。:* グワッパ
「先生が見本を示すのが道理ってもんだわさ」
- ☆.。:* トリシア
「最初はわたしね。で、どの魔法で試験するの?」
- ☆.。:* グワッパ
「ほんじゃ、トリシアでもできる眠りの魔法で試すわさ。ここにいる鉱山妖精のガレンじいさん眠らせるまでの時間で審査するだわさ」
- ☆.。:* トリシア
「じゃあ、行っっくよーっ! 穏やかな眠りよ、彼を包み込め! ドルム!」
- ☆.。:* 鉱山妖精ガレン
「………………寝なきゃいかんのか?」
- ☆.。:* トリシア
「どうしてよ!? ぜんぜん効かない!」
- ☆.。:* グワッパ
「鉱山妖精は、魔法が効きにくい種族なんだわさ。眠らせられなかったトリシア、零点」
- ☆.。:* トリシア
「このテスト、難しすぎ!」
- ??グワッパさん、時間を計るのには、こっちの世界のストップウォッチを使って。その方がみんなに分かりやすいから」
- ☆.。:* グワッパ
「なんでも機械に頼るのは、そっちの世界の悪いところだけど、まあ、いいだわさ。お次は誰だわさ?」
- ☆.。:* レン
「じゃあ、僕。凪の海のごとき穏やかな眠りよ、彼を包め。ドルム!」
- ☆.。:* ガレン
「うむむむ。やや眠くなってきたような……………………………………………………ぐう」
- ☆.。:* グワッパ
「レン、一分三十二秒。七十点」
- ☆.。:* ベル
「先輩の後は当然あたし! さっさと寝ないとひどいからね! ドルム!」
- ☆.。:* ガレン
「………………………………………………………………ぐう」
- ☆.。:* グワッパ
「三分八秒。まあ、あんたはこのくらいだわさ。四十八点」
- ☆.。:* ベル
「ふん! 中級テストじゃなきゃ百点よ!」
- ☆.。:* ショーン
「次は僕だな。落ちろ、深き眠りに! ドルム!」
- ☆.。:* グワッパ
「二分四十一秒。五十五点」
- ☆.。:* アーエス
「……では……寝ちゃえ……ドルム」
- ☆.。:* グワッパ
「二分四十三秒。ショーンとほとんど同じ、なかなかやるわさ」
- ☆.。:* ベル
「ちょ、ちょっと悔しいかも」
- ☆.。:* キャスリーン
「では、満を持してこの麗しのキャスリーンの登場ですわね! お眠りなさい、我が命令により! ドルム!」
- ☆.。:* ガレン
「……何かしたか?」
- ☆.。:* グワッパ
「眠らないので零点。トリシアと同じだわさ」
- ☆.。:* キャスリーン
「く、屈辱ですわ!」
- ☆.。:* トリシア
「屈辱って言われるのが屈辱なんだけど!」
- ??じゃあ、次はエマ。
- ☆.。:* エマ
「わ、私なんかがいいんですか?」
- ☆.。:* グワッパ
「早くするだわさ!」
- ☆.。:* エマ(涙目で)
「こ、怖いですけど……穏やかな眠りよ、ヴェールとなって包み込んで。ドルム!」
- ☆.。:* グワッパ
「二分二十七秒。あんた、才能あるだわさ。六十三点」
- ??最後はアンリ。
- ☆.。:* アンリ
「いいのかなあ? じゃあ、ドルム」
- ☆.。:* グワッパ
「……計測不能。唱え終わった瞬間に眠ってるだわさ。ついでに点数も計測不能だわさ」
- ??まあ、最初からアンリの魔力を点数で計るのは無理だったな。
- 美しく聡明で華麗なるキャスリーン殿下、可愛くて憧れます。どうすれば殿下みたいになれますか?
- ☆.。:* キャスリーン
「オーホッホッホッホッホッホッ! 礼儀正しい方ですこと! きっと、美しくて心の澄んだ方に違いありませんわ! まあ、私ほどではないにしても!」
- ??どうしたら、君みたいになれるかって、投げやりな質問なんだけど?
- ☆.。:* キャスリーン
「投げやりとはなんですの! 私のようになるのは、それはそれは、きびしい道なのですわよ!」
- ??じゃあ、説明して。
- ☆.。:* キャスリーン
「第二王女の訓練は、まず、早朝から、家庭教師の先生のもとでのお行儀と文学の授業から始まりますの。それから星見の塔に行って、魔法の勉強。城に帰ってからはタピストリー織りの修行に、音楽、ダンス、外国語、これが寝るまで続きますのよ」
- ☆.。:* アムレディア
「それでも、私の頃よりは楽になったわね」
- ☆.。:* レン
「ていうかさキャット、君、しょっちゅう勉強サボって、三本足のアライグマ亭に入りびたってるだろ?」
- ??セルマが甘やかすから。
- ☆.。:* セルマ
「あはは、あたしにとっちゃ、キャットはかわいい妹みたいなもんだからね」
- ??妹? 娘じゃなくて?
- ☆.。:* セルマ(ナイフをクルクル回しながら)
「い、も、う、と!」
- ??わ、分かりました。そういうことで。
- みんなの名前の由来を聞きたいです。
- ??名前の由来かあ。じゃあ、今回はいつもの連中から何人かに聞いてみよう。といっても、ちゃんと自分で説明できる人は……アンリとアムぐらいかな?
- ☆.。:* アンリ
「父の友人だったアールヴの長の話だと、アールヴの言葉で『つなぐ者』だそうだよ」
- ☆.。:* アムレディア
「私の名前は王家の長女が代々受け継いできたもので、『友愛』と言う意味があります。キャスリーンの場合、意味は『純粋』ね」
- ☆.。:* キャスリーン
「オーホッホッホッホッホ! 知っていたのに、言われてしまいましたわ!」
- ??嘘つき。トリシアは知ってる?
- ☆.。:* トリシア
「う。知らない」
- ??『高貴な人』って意味だよ。完全に名前負け。
- ☆.。:* トリシア
「放っといてよ!」
- ☆.。:* レン
「僕は前に調べたんだけど、僕の名前のレナードって『獅子』って意味みたい。両親、たぶん強い子に育ってもらいたかったんだ」
- ??三人組は?
- ☆.。:* ショーン
「父から聞いたことがあるぞ。僕の場合は『恵み』とか、『優雅さ』という意味だな。いい名だ」
- ☆.。:* ベル
「あたしもお父様から聞いたわ。意味は『美しい』。ま、当然よね」
- ☆.。:* アーエス
「アンリ……先生が……知ってた。大昔の……魔法使いの……名前……だって……」
- ☆.。:* プリアモンド
「僕は『長男』。そのまんまだね」
- ☆.。:* リュシアン
「俺は確か、『光』に関する言葉だったと思うぞ」
- ☆.。:* エティエンヌ
「僕の名前は……なんだっけ、聞いたことあるけど、忘れちゃった」
- ☆.。:* リュシアン
「アホの意味だな」
- ☆.。:* プリアモンド
「『宝冠』という意味だ。完全につけ間違えたな、名前」
- ☆.。:* エティエンヌ
「うわ、二人ともひっどーい!」
- トリシアはレンのことを一度だけ気になったり、かっこいいと思ったことはありますか?レンはトリシアのことを一度だけ気になったり、可愛いと思ったことはありますか?
- ☆.。:* トリシア
「一度だけって……ふだん、かっこいいと思ってないことが前提なのね? まあ、当たってるけど」
- ☆.。:* レン
「確かに、あんまり可愛いとは」
- ☆.。:* トリシア
「何よ?」
- ☆.。:* レン
「なんだよ?」
- ??まあまあ、でも、相手のことを見直したことって、ある?
- ☆.。:* トリシア
「トーテンロイト城での戦いの時とかは、感心したかも。……ちょっとだけど」
- ☆.。:* レン
「魔法で失敗した時のごまかし方はすごいと思う」
- ☆.。:* トリシア
「それ、ほめてないよね!? 絶対、ほめてないよね!?」
- ☆.。:* レン
「ほらね? 可愛げなんて、ありゃしない」
- レンとトリシアがつき合いだしたら、みんなどう思う?
- ??確実にひとりはジャマすると思うけど。まあ、聞いてみるか? まず、アンリ。
- ☆.。:* アンリ
「ええっと? もうつき合っているんだと思ってたけど?」
- ☆.。:* トリシア
「誤解です! すっごい誤解!」
- ☆.。:* レン(肩をすくめて)
「だそうです」
- ??ベルは聞かなくてもいいとして……。
- ☆.。:* ベル
「聞きなさいよ、このダメ作家! あたしは絶っっっ対に認めないわよ! ジャマして、ジャマして、ジャマして、ジャマして、ジャマしまくってやる!」」
- ??予想通り。アーエスは?
- ☆.。:* アーエス
「……正直……どうでも……」
- ??だろうなあ。ショーンは?
- ☆.。:* ショーン
「別にかまわないと思うぞ? 基本的に、二人の問題だろう」
- ??みんな、だいたいそんなとこだろ? 違う意見の人いる?
- ☆.。:* ソリス
「はい!」
- ??あれ? ソリスは二人のこと、反対?
- ☆.。:* ソリス
「当たり前! このあたしがまだアンリ先生とつき合ってないのよ? まず、そっちが先でしょ!? あたし、トリシアの師匠なんだから!」
- ☆.。:* アムレディア
「あらあら、何か寝ぼけている人がいるみたいね?」
- ☆.。:* シャーミアン
「バカなだけです、大バカ」
- ☆.。:* ソリス
「恋愛オンチのあんたに言われたくないって!」
- プリアモンド、リュシアン、エティエンヌから見て、ショーンにお似合いだと思う子は誰ですか?この子とは絶対に合わないという子は?その理由も。
- ??じゃあ、まずプリアモンドからね。
- ☆.。:* プリアモンド
「お似合いと言えば……ええっと、いつも一緒にいる二人のどっちかなんだけど……」
- ??ベル、それともアーエス?
- ☆.。:* プリアモンド
「小さい方。おとなしそうだし」
- ??アーエスかあ。ていうか、いいかげん名前覚えたら?
- ☆.。:* プリアモンド
「あははは。もうひとりは……ペロちゃんだっけ?」
- ☆.。:* ベル
「あたしは犬かあああああ!?」
- ☆.。:* アーエス
「……犬に……悪い……ていうか……ショーンと……お似合いって……言われ……けっこう……傷ついている……私……」
- ??似合わない方は?
- ☆.。:* プリアモンド
「兄として、それは言えないよ。将来、ショーンが連れてくる女性がその人だったら、ショーンも辛いだろうし」
- ??リュシアンだったら言いそうだけどね。というワケで、リュシアン?
- ☆.。:* リュシアン
「似合うと思うのは、ゴブリンだな」
- ??に、人間ってことで、答えて欲しいんだけど?
- ☆.。:* リュシアン
「ショーンには人間は贅沢だと思うが、まあいい。ゴブリンに近い人間ということで、ベルだな」
- ☆.。:* ベル
「こ、このインケン男!」
- ☆.。:* リュシアン
「虫同士ということで、フィリイでもいい」
- ☆.。:* フィリイ
「私、虫じゃありませんよー」
- ☆.。:* リュシアン
「蚊だろうが、お前は?」
- ☆.。:* フィリイ
「むー、たとえ蚊だとしても……」
- ??そこ、認めちゃっていいの?
- ☆.。:* フィリイ
「ショーン君はちょっと遠慮します」
- ??蚊にも嫌われたか、ショーン。じゃあ、リュシアン、この子とは絶対に合わないと思うのは?
- ☆.。:* リュシアン
「人間、アールヴのすべての女子だ」
- ??ショーンって……。
- ☆.。:* エティエンヌ
「はいはい! 次、僕ね! ショーンと合うと思うのは……んとんと……トリシアちゃん!」
- ☆.。:* トリシア
「わた、わたし?」
- ☆.。:* エティエンヌ
「でもって、合わないと思うのはシャーミアンちゃん! あ、でも、シャーミアンちゃんが僕らの妹になるって、結構笑えるかも!」
- ☆.。:* シャーミアン
「誰が貴様の妹などに! ……あ、悪いショーン殿。決して君が嫌いと言うことではなく……」
- ☆.。:* ショーン
「……しばらく立ち直れそうにない」
- ??だろうね。
- ショーンが騎士になったら、弟子にしてくれますか?シャーミアン、プリアモンド、エティエンヌでもいいです。リュシアンは絶対に嫌です。
- ??だってさ、リュシアン。
- ☆.。:* リュシアン
「絶対に嫌と言われると、絶対に面倒見たくなる。夜明け前から真夜中まで、休み無しでな」
- ??ほんと、性格悪いな。いちおう聞くけど、弟子にしたらどんなことをやらせる気?
- ☆.。:* リュシアン
「決まっているだろう。ずっと馬小屋とトイレの掃除だ」
- ☆.。:* シャーミアン
「それだから貴様は嫌われるんだ!」
- ??おっ、女子の騎士には抜群の人気を誇るけど、男子には人気がぜんぜんない副団長。
- ☆.。:* シャーミアン
「余計なコメントをつけるなああああああ!」
- ??まあ、それはそれとして、シャーミアン、女子の騎士にはいつもどんな訓練をさせてるんだ?
- ☆.。:* シャーミアン
「騎士団に入る者は当然、馬術や剣術を多少学んではいる。ただ、ほとんどが貴族の娘であり、鎧や剣の手入れなど自分でしたことがないのだ。だから、入団すると自分のことは自分ですることをまず学ぶ。さらに、作法や戦闘術など、騎士団員として必要なことがらを、先輩騎士のもとで少しずつ身につけていくことになる」
- ☆.。:* ショーン
「シャーミアン殿のまわりには、取り巻きの女性騎士が多いな」
- ☆.。:* シャーミアン
「まあ、副騎士団長であるから、それなりに部下に目を配ってはいる」
- ☆.。:* プリアモンド
「シャーミアンの教え方は評判がいいよ。まあ、シャーミアンの指導をした私たちが良かったんだろうな」
- ☆.。:* シャーミアン
「……貴様、それ、本気で言っているのか?」
- ☆.。:* プリアモンド
「うん」
- ☆.。:* シャーミアン
「お、お前たちのせいで、私がどれほど苦労したと思っているんだああああああっ!」(と、剣を抜く)
- ??ショーン、騎士になったら、弟子にしてあげる?
- ☆.。:* ショーン
「もちろんだ。指導の方法はシャーミアン殿に相談する」
- ☆.。:* エティエンヌ
「騎士になれたらだよね?」
- ☆.。:* プリアモンド
「騎士になれたら……かあ」
- ☆.。:* リュシアン
「いつになることやら」
- ☆.。:* ショーン
「あ、兄上たちー!」
- ☆.。:* シャーミアン
「まったく! どうしてお前たち三人は、そう弟に意地悪なんだ?」
- ☆.。:* プリアモンド
「現実的なだけなんだが……」
- ☆.。:* エティエンヌ
「ショーンが騎士になったら、僕、さびしくなるもん」
- ☆.。:* リュシアン
「俺は心底無理だと思っているだけだ」
- ☆.。:* プリアモンド
「…………」
- ☆.。:* エティエンヌ
「…………」
…相変わらずお兄様たちに愛されてるショーンくんですが、最新5巻では、とっても勇敢な(?)活躍をしてくれています♪
ぜひぜひ読んでね☆