TOP > 白書シリーズWeb版 > 小学生白書 > 2022年9月調査
【図】将来なりたいと思っているものは何ですか。
2022年の小学生はどんな職業に憧れるのだろうか。自由記述を含む55種の職業から、小学生が将来つきたい職業を1つだけ選んでもらった。
男女合計の全体ランキングをみると、1位「パティシエ(ケーキ屋さん)」(6.3%)、2位「YouTuberなどのネット配信者」(4.2%)、3位「医師(歯科医師含む)」(3.4%)となり、昨年の上位3位と同様であった。
将来つきたい職業は男女差が顕著に表れた。男女別のランキングに共通してトップ20にランクインしている職業は「YouTuberなどのネット配信者」「警察官」「パティシエ(ケーキ屋さん)」「コック・板前(料理人)」のみである。
2022年の調査結果の特徴としては、2021年調査と比較すると「YouTuberなどのネット配信者」が順位は2位で変わらないものの、その割合が3.4%から4.2%に増えている。これは男女共通して人気の職業だが、とくに男子では全体ランキングで1位となっている。2017年調査以降、男女合計の全体ランキングではずっと4位以内に入り続ける「YouTuber」は、小学生の憧れの職業として定番化していると言えそうだ。
また、2021年には20位以内にランクインしなかった「歌手・アイドル」(1.8%)が2022年では9位に登場している。これは、女子のみでランクインしている職業で、女子の全体ランキングで6位となっている。一因として近年の「推し活」ブームなどが子どもたちにも波及していると考えられる。(「推し活」は,主にアイドルやキャラクターなど,自分にとってのイチオシの人物を応援する活動のこと。)
そして、2022年は保護者に対して「親が子どもについてほしい職業」の調査も行った「特にない」(44.3%)という回答が1位で、子どもの希望を尊重する親が多いと推測される。一方で「専門職(士師業以外の専門資格、高い技術が必要な職業)」(24.8%)が2位、「大企業の社員」(17.2%)が3位という結果と、子どもの男女合計の全体ランキングで「エンジニア・プログラマー(機械・技術・IT系)」(1.9%)や「会社員」(2.1%)が2021年よりも上位にランクインした結果を比較すると、保護者の希望が子どもの将来選択に影響を与えていることを示唆している。
さらに、「研究者」が順位を下げた点も見逃せない。「研究者」は、2020年では8位(2.3%)、2021年では7位(2.3%)、だったが、2022年は15位(1.3%)となった。この結果については、博士課程入学者の減少や博士課程修了後の不安定な雇用状況が影響していると推測される。同じく,日本の教育を支える職業である「教師」も2017年の5位(2.8%)から順位が低迷している。2020年は12位(1.9%),2021年は11位(1.9%),2022年は20位(1.1%)という結果である。
こうした知的活動や学問を支える職業への憧れが薄れているということは、子どもたちの「学び」への関心度にも影響しているのではないか、という危機感を感じる結果となった。