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TOP > 白書シリーズWeb版 > 小学生白書 > 30年史(1989~2019年)
『小学生白書』では、1989年から小学生が希望する最終学歴についてのアンケート調査を実施しており、1993年と2007~2009年を除き、2006年までの18回分の調査データが存在する。
表2-2-(2)-a 最終学歴の変遷(男女総合:1989~2010年)
表2-2-(2)-aは、小学1~6年生男女の希望する最終学歴の変遷を示したものである。
約20年にわたり見ていくと、その推移に関わらず、男女ごとに構造的な特徴があることが分かる。 男子は「大学」希望が顕著で、その割合は女子より10~20ポイント高い。次いで、「高校」を希望する者の割合が高く、1994年以降は2001年に女子と同率になった以外、全ての年で女子を上回っている。
一方女子は、男子と比較して「大学」希望が少なく、1990年代半ばまで20ポイント以上男子を下回る年もある。しかし、2000年代以降は男子との差を詰めている点が特徴的である。「専門学校」「短期大学」を希望する割合は年々減少しているものの、全ての調査年で男子を上回っており、「短期大学」はとくにその傾向が強い。データでは、男女の学歴に対する意識差は明確に存在していることが見て取れた。しかしそれは長い年月をかけて縮まりつつあることも確かであり、今後もこの推移に注目していきたい。
図2-2-(2)-b 希望する最終学歴の変遷(男女別:1989~2010年)
●男子
図2-2-(2)-b(男子)は、小学1~6年生男子の希望する最終学歴の変遷を示している。
1990年代の「大学」希望が、1992年を頂点に減少傾向が続き、代わりに「高校」希望が増加しているのが特徴的である。
2000年代は「大学」希望が復活し、2001年以降は6割を維持、2006年には1992年以来の8割に迫る勢いにまで増加した。その一方で、「高校」希望は減少が続く傾向にある。調査期間が2006年までと限定されてはいるものの、2000年代は1990年代から一転し、男子の高学歴志向が顕著に高まった時期であるといえる。ただし、インターネット調査に変わった2010年の調査での「大学」希望は40%代にまで大幅減少し、代わりに「わからない」が3割を超える結果となった。調査対象が『1~6年の学習』『1~6年の科学』の読者から全国から無作為抽出された母集団に変わったことが要因と考えられるが、2007~2009年頃のリーマンショックによる経済不況が大きく影響した可能性もある。
図2-2-(2)-b 希望する最終学歴(男女別:1989~2010年)
●女子
図2-2-(2)-b(女子)は、小学1~6年生女子の希望する最終学歴の変遷を示したものである。
男子ほどのペースではないものの、1990年代の「大学」希望が、1992年を頂点にしばらく減少する傾向が続いている。女子の特徴としては、「短期大学」希望も「大学」希望とほぼ同じ傾きで1998年まで減少し、1996年に「高校」希望が「短期大学」希望を逆転していることである。1990年代は、女子の短期大学を含めた高学歴志向が1992年にピークに達した後、顕著に下落した時期といえるであろう。
男子の傾向と同様に、2000年代は「大学」希望が回復し、2002年以降は5割に復帰、2004年には6割を超え男子との差を詰めている。2006年には66.2%と歴代最高にまで増加した。その一方で、「短期大学」希望は1990年代からの低落傾向に歯止めがかからず、1割を切ることが常態化した。1990年代に増加し、短期大学と逆転した「高校」希望は、2001年の24.7%を頂点に急減、2006年には8.5%と歴代最低を記録した。調査期間が2006年までと限定されてはいるものの、2000年代は1990年代から一転し、女子の高学歴志向も男子同様、顕著に高まった時期であるといえる。
ただし、2010年の調査では大学希望が男子同様40%代前半にまで大幅減少、代わりに「わからない」が3割を超える結果となった。とはいえ、30ポイント以上減少した男子と比較して、女子は25ポイント程度の下落幅に収まっている。女子についても男子と同様に、2010年に調査対象が『1~6年の学習』『1~6年の科学』の読者から全国から無作為抽出のされた母集団に変わったことが要因かと考えられるが、2007~2009年頃のリーマンショックにおる経済不況が大きく影響した可能性もある。
図2-2-(2)-c 希望する最終学歴「大学」の変遷(男女総合:1989~2010年)
図2-2-(2)-cは、小学1~6年生男女の希望する最終学歴のうち「大学」の変遷を示したものである。小学生が希望する最終学歴のうち、調査期間中最も増減幅が大きく、特徴が出たものが「大学」であった。
希望する割合は、全期間を通して男子が女子を上回っているが、1989年には25ポイント以上の差があったものが年を追うごとに徐々に縮まり、2005年には3ポイント差以内にまで縮小している。ここから、調査期間すなわち、平成における女子の高学歴志向の高まりが見て取れる。