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12月
おすすめ!クラシックのクリスマス曲2016~編集部厳選!? ピアノ名曲~
クリスマスにまつわる音楽があちらこちらで聴こえる季節になってきましたね。今年のクリスマス特集では、クリスマスに縁がある素敵なピアノ曲をご紹介いたします。
その1 《四季》より 12月〈クリスマス〉 チャイコフスキー作曲
“クリスマス”そして“クラシック”といえば、ロシアの作曲家チャイコフスキーのバレエ音楽《くるみ割り人形》を思い浮かべる方が多いかと思います。実はチャイコフスキー、“クリスマス”というタイトルのピアノ曲を残しているのです。ロシアの季節や人々の様子などを、各月ごとに描写した12のピアノ作品集《四季》。〈クリスマス〉は、この中の12月にあたります。クリスマスの日の夜に、ある家庭の娘たちが踊るワルツの様子が描かれている、とも言われているようです。チャイコフスキーお得意の優雅で、心が躍るようなワルツです。
その2 〈アヴェ・マリア〉 シューベルト作曲/リスト編曲
クリスマスの時期になると、必ずといっていいほど耳にする〈アヴェ・マリア〉。J.S.バッハやグノーをはじめ、多くの作曲家が〈アヴェ・マリア〉というタイトルの曲を書いています。
ドイツの作曲家シューベルトも、歌曲〈アヴェ・マリア〉を作曲していることは、みなさんご存知ですよね。シューベルトを尊敬し愛してやまない、ハンガリーの作曲家リストが、ピアノ独奏に編曲をしています。原曲にはないパッセージが追加され、さらにリストお得意の超絶技巧も用いられているため、難易度は高いのですが、心があたたまる美しい音楽になっています。
リストは、12曲からなるピアノ曲集《クリスマス・ツリー》も作曲しています!
その3 《5つの小品》より 第5曲〈樅の木〉 シベリウス作曲
クリスマスの陽気な雰囲気とは異なりますが、この曲もおすすめ。クリスマスツリーによく使用されるモミの木がタイトルになった曲があります。
フィンランドの作曲家シベリウスが書いた、樹木の名前がつけられた《5つの小品》(通称「樹木の組曲」とも呼ばれます)の中の第5曲〈樅の木〉です。シベリウスのピアノ曲の中では、もっともよく演奏され、アンコールピースとしても人気のある作品の一つです。北欧の長く厳しい冬の間、孤高に佇むモミの木の様子が描かれているように感じられます。
今回ご紹介した曲は、ナクソス・ミュージック・ライブラリーで配信されています。ぜひ聴いてみてくださいね!(の)
■ナクソス・ミュージック・ライブラリー(NML) http://ml.naxos.jp/
11月
本番に向けた日々の練習を乗り切るアイデア
楽器を演奏される方ならば、誰もが必ず経験したことがあるであろう“本番”。発表会、コンサート、コンクールなど、さまざまな“本番”がありますね。読者のみなさんは、本番前の心と身体の状態はいかがですか?多くの方は、緊張や不安から「練習しなきゃ…」と焦り、ハードな練習を重ね、心身ともに自分を追い込みがちになってしまうと思います。これでは、オーバーワークが続いている=練習をしすぎて疲労している状態で、本番を迎えてしまいます。本番には、できる限りベストなコンディションで挑みたいものです。そのためには、どのようなことを心がけて日々の練習に取り組めば良いでしょうか。ホルン奏者、アレクサンダー・テクニーク講師で沖縄県立芸大講師のバジル・クリッツァー先生は、著書の中で次のアイデアを提案しています。
『ベスト/理想の奏法に比べて もっと力を抜いた演奏を心がける』
何となく感じている方もいらっしゃるかもしれませんが、意識的に身体の力を抜こうとすると、演奏がうまくいかなくなることはありませんか?それは、自分が思うベストな演奏には“力”が必要だからです。自分が思うベストな奏法を長時間続けると、「ベストな奏法のために必要なそれなりの力」を使うために体力が消耗してしまい、前述したとおりオーバーワークが続いた状態で本番を迎えることになってしまいます。常に全力で取り組むのではなく、身体の力を入れることを意識的に控えるように気を付けてみましょう。そして、それが「自分が思うベストな奏法」とは違うということを、自覚することも必要です。身体の力の入れ方や練習のペース配分をコントロールし、本番に向けて、なるべく体力の持続と心と身体の健康を保つことを最優先にするよう心がけてみてください。では、具体的にどのように力を抜いてリラックスさせたら良いか、エクササイズをひとつご紹介します
腰のリラックス・エクササイズ
※詳しくは、『吹奏楽部員のためのココロとカラダの相談室コンクール・本番編』をご覧ください。肋骨や肩、お腹などを緩めるエクササイズも紹介しています。
バジル先生の『吹奏楽部員のためのココロとカラダの相談室コンクール・本番編』では、今回ご紹介した本番に向けた日々の練習についてや、心と身体をリラックスさせるためのエクササイズのほかにも、さまざまなアイデアやアドバイスが掲載されています。年齢や楽器を問わず、演奏する方、または演奏指導をされている方も、ぜひ手に取っていただけますと幸いです。(の)
参考:吹奏楽部員のためのココロとカラダの相談室 コンクール・本番編 ■B5判/104頁/本体価格1,500円(税別)
10月
シューマンとコドモ。
5月号掲載の「どれみふぁ荘」で、鉄道マニア・ドヴォルジャークの「工作コーナー」に負けた、シューマンの「こどもの日コンサート」。《子供の情景》をセレクトしたのに……。なぜ?
秋、「詩心」が誘われる時季ですね。“ピアノの詩人”といえばショパン(1810-1849)ですが、今回は、ショパンと同じ年に生まれ、文学的な作曲家の代表格とも言えるロベルト・シューマン(1810-1856)を取り上げてみたいと思います。
シューマンはピアニストを志しながら指の故障でそれを断念、それでも音楽への情熱を断ちがたく作曲家へと転身を図り、数々のジャンルで多くの名曲を残しています。さらに文才も発揮して「音楽評論家」という地位を確立したパイオニアでもありました。出版業を営む父と音楽をたしなむ母との間に5人兄弟の末っ子として生まれたシューマン。その文学的素養は父親ゆずり、そして音楽への傾倒は母親ゆずりと言えそうです。彼の作品は、確かに文学的な詩情や叙情を色濃く映してはいないでしょうか?また、アナグラム(文字の並べ替え)も大好きだったそうで、「Abegg(人の名前)」という綴りをそのまま主題にした《アベッグ変奏曲》にはその嗜好が顕著に表れていますし、〈トロイメライ〉が有名な《子供の情景》の第1曲には、敬愛していた大バッハへのオマージュのように「Bach」の音列が内声に隠されています。
さて、シューマンといえば、ピアノを師事したフリードリヒ・ヴィークの娘で名ピアニストでもあったクララとの困難な恋愛の末の結婚と、その後の幸せな家庭生活を思い出される方も多いのではないでしょうか。二人は、なんと8人もの子供たちに恵まれているそうです!シューマンはとても子供が好きだったそうで、「子供」についてのピアノ作品も多く残しています。なかでも《子供の情景》《子供のためのアルバム》が有名ですね。後年に家庭のなかで書かれた《子供のためのアルバム》は、子供を思う父親としての温かさや愛情が満ちているように感じられますが、独身時代、クララを想う日々のなかで書かれた《子供の情景》は、「大人の想う子供の表現、または子供時代の感傷」の発露と言えるでしょう。この曲集に籠められたシューマンの詩情を表現するには、それぞれの曲に対する深い理解とともに表現の技量が求められるのです!
……というわけで、「子供」向けのようで、実は「子供」向けではない《子供の情景》のコンサート。工作コーナーに負けてしまったのも仕方ないですよね?(か)
9月
究極の名盤を聴く⑨ ガーシュウィン ラプソディ・イン・ブルー
23人の音楽評論家が選んだ究極の名盤ガイド『クラシックCDエッセンシャル・ガイド150』をもとに、歴史に残るピアノ曲の名盤をご紹介するコーナーです。今回は、ガーシュウィン作曲の《ラプソディ・イン・ブルー》をご紹介いたします。ガーシュウィンは、ポピュラー・ソングの作曲者として《スワニー》を筆頭に、次々とヒット作をリリースしました。1924年にホワイトマンの依頼を受け《ラプソディ・イン・ブルー》を作曲、自らピアノソロを演奏し、新たな音楽ジャンル「シンフォニック・ジャズ」を開拓していきました。
名盤BEST 5 |
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レナード・バーンスタイン Leonard Bernstein [1918 ー1990(アメリカ)] 皆さんご存知の通り、バーンスタインは弾き振りを得意にしていた指揮者です。若い頃は初めて共演するオーケストラとは、必ず弾き振りを取り入れていたそうです。《ラプソディ・イン・ブルー》は、その当時の重要なレパートリーのひとつ。コロンビア交響楽団との共演からは、ジャジーなセンスやブルーなムードをうまく引き出す、若いバーンスタインの颯爽とした姿が想像できます。この録音から20数年後にロサンジェルス・フィルとの共演も残しています。音色豊かで、非常に落ち着いた演奏です。 |
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アンドレ・プレヴィン André George Previn [1929 ー(ドイツ)] 学生の頃からジャズ・ピアニストとして活躍し、作曲家でもあるプレヴィンにとって、ガーシュウィンに強いシンパシーを感じることは当然なのかもしれません。彼はこの作品を十八番として、ロンドン交響楽団と共演(1971年)、そしてピッツバーグ交響楽団と共演(1984年)し、それぞれ録音を残しています。ジャズとクラシックを融合させたガーシュウィン独自のスタイル「シンフォニック・ジャズ」の魅力を、プレヴィンの魅惑的なジャズ・センスで表現しています。ピッツバーグ交響楽団との共演は、大袈裟な表現を必要とすることなく洗練された完成度の高い演奏で、作品の魅力を堪能させてくれます。演奏全体のノリのよさに関しては、ロンドン交響楽団との共演が勝っているように感じます。 |
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「クラシックCDエッセンシャル・ガイド150」(小社刊)より
8月
世界の音楽をたのしもう!BRAZIL リオ・デ・ジャネイロの音楽
7月
その先の一歩 ―教材選びは希望と夢でいっぱい!―
ピアノに限らず指導者の方々には、生徒さん一人ひとりを思い浮かべながら「その先の一歩」に想像を巡らせる“ワクワク”“ドキドキ”の醍醐味がありませんか?今回はそんな“キモチ”を後押しする企画です!(か)
ぴあの どりーむとバイエル教則本
ピアノをはじめた頃の夢いっぱいの気持ちのまま、長くピアノを続けてもらえたら…、という田丸信明先生の願いのもと「無理をしないで」「でも着実に」ピアノが上達するよう、カリキュラムが工夫されている「ぴあのどりーむ」シリーズ。「バイエル教則本」も意識しているので、シリーズの途中で入れ替えることも可能になっているんです♪
ぴあの どりーむテキスト2 とテキスト3
なかでも一番使い勝手が良いのが2巻と3巻。巻頭に復習の要素が十分に含まれていますので、少しでもレッスンに通ってくれた生徒さんなら2巻から入ってもすぐに追いつくことができますし、その後、シリーズを替える事になっても、3巻まで進めば移行がスムーズです。「ぴあのどりーむ」のカリキュラムの良さが凝縮された2冊です。
6月
究極の名盤を聴く⑧ シューベルト即興曲集D.899,Op.90 / D.935,Op.142
23人の音楽評論家が選んだ究極の名盤ガイド『クラシックCDエッセンシャル・ガイド150』をもとに、歴史に残るピアノ曲の名盤をご紹介するコーナーです。
今回は、シューベルトの《即興曲集》をご紹介いたします。ロマン派の開拓者の一人であるシューベルトは、わずか31年の生涯で600以上の歌曲を作曲し、“歌曲王”として音楽史上に名を残しました。歌曲の他にも様々なジャンルにおいて傑作を生み出しましたが、ピアノ曲のなかでは、自由気ままに書いた小品に優れたものが多くあります。《即興曲集》もそのひとつです。
名盤BEST 5 |
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ラドゥ・ルプー Radu Lupu[1945ー(ルーマニア)] ルプーは「千人に一人のリリシスト」と呼ばれています。《即興曲集》では、ふくよかな叙情溢れる音楽に多彩なニュアンスを織り交ぜ、自身の持ち味を十二分に打ち出しています。表面的には少し抑制されたような語り口ですが、その中に隠れるシューベルトが書き記した不安や苦悩・絶望・諦めなどのデリケートな感情が、悲しいまでに美しく表現されています。 |
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マリア・ジョアン・ピリス Maria João Pires[1944 ー(ポルトガル)] 90年代の半ば、ピアニストとして新境地に立ったピリスは、個性を刻み込んだ名演を多く披露しました。《即興曲集》もそのひとつで、この曲集はイヴ・シモンの『旅人』に関する言葉を添えて発表しました。曲集全体を「シューベルトの心の旅」と考えていることからです。追憶、憧憬、悲哀、せつなさ、はかなさ…すべてをひっくるめた陶酔感に包まれるような演奏です。 |
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アルフレート・ブレンデル Alfred Brendel[1931ー(チェコ)] ブレンデルが弾くシューベルト作品は、安定と調和を聴き手に強く意識させるところがあります。決して激しすぎず、過激な情緒に溺れない…中庸の落ち着きのある表現が、精神的なやすらぎをもたらせているようです。強引に自分の世界へ引っ張っていこうとせず、自然に聴き手を導いてくれるような演奏です。 |
「クラシックCDエッセンシャル・ガイド150」(小社刊)より
5月
時代を知る⑨ エリック・サティ 生誕150年
4月
作曲家×名器×名曲 ~ホンモノの音をめざして~
近ごろのピアノ・レッスンでは、譜面を追って演奏するだけではなく、たとえば「アナリーゼ=曲の仕組みを理解する」、や「4期の考え方=曲が成立した時代背景を知る」、といった、“さらに一歩上の演奏表現を目指す” ための、さまざまな試みが行われているように感じられます。作曲家のオリジナリティに少しでも近づこうと、時代背景を考え、曲の構造の理解を深めるなら、同時に、彼(または彼女)の使っていた楽器にも想いを馳せる事が必要なのではないでしょうか。
なにかを語るときに“言語” と“自らの声” が必要であるように、ピアノ名曲が生まれるときには作曲家の傍らにある“楽器= ピアノ” が必要不可欠なのです。楽器の発達が作曲家のイマジネーションを刺激し、作曲家の要求が楽器の発達を促していく…というように、鍵盤楽器の発達と鍵盤曲の発展が相互に作用し合っていたのは間違いありません。そして、その19世紀前後の転換期に存在し、大きく舵を切らせた一人が、作曲家、ピアニスト、指揮者、教育家…など多彩な活動を行ったリストです。
同じ時代に「ピアノ」という楽器にこだわり抜いて作品を遺したショパンとリストとの大きな違いには、その指向性が異なっていたという事はもちろんですが、愛用していた楽器が異なった事も少なからず影響していると言えるでしょう。
18世紀のはじめ、生まれたばかりのピアノ=フォルテピアノは、「ピアノとフォルテが出せるチェンバロ」の名前のとおり、華奢で、繊細な楽器です。モダン・ピアノの頑丈さとは雲泥の差があるといっても過言ではないでしょう。モーツァルトの軽やかさはこのような華奢な楽器の音から生まれ、ショパンは18世紀後半から19世紀にかけて過渡期にあったピアノの音色ーその音色はウィーンの馥郁(ふくいく)たる香気に満ちていますーと響きを愛し、そしてリストはモダン・ピアノの音域と音量を要求したのです。
19世紀後半、モダン・ピアノが生産されるようになる以前の作曲家たちの多くが、自身のイメージを、現代の私たちが鳴らすことができない楽器の音で紡ぎだしている…という事を想像すれば、おのずと、いま私たちが使っているモダン・ピアノでの再現には工夫が必要になり、その工夫が、“より一歩上の演奏表現” につながるのではないでしょうか。
こうした“時代楽器” への意識づけの活動を長く行っていらっしゃるのが「名器から生まれた名曲」シリーズ著者・久元祐子先生です。先生の著書やセミナーには“一歩上の演奏表現” のアイディアがあふれています。(か)
来る4月24日(日)、東京・よみうり大手町ホールでのピティナ・ピアノ指導セミナーで久元祐子先生のお話があります。ポスターセッションも開催され、間近で先生のお話をうかがえるまたとないチャンスです!
指導者の祭典! ピティナ・ピアノ指導セミナー(Vol.49)
日時:2016年4月24日(日)第1講座
指導法プレゼンテーション:11:00 ~ 12:50のなかでのお話(10分程度)
・「名器から生まれた名曲 モーツァルトからリストへ」久元祐子先生
「古典、ロマンの作曲家、そして近代に入ってスタインウェイが席捲していくあたりまで、
広く、大きな潮流をお話ししたいと思います。」
ポスターセッション:13:10 ~ 14:35
お問合せ、お申し込みは
一般社団法人全日本ピアノ指導者協会(PTNA)
TEL:03-3944-1583 FAX:03-3499-8838 www.piano.or.jp
3月
ショパン・コンクール 少しだけ 歴史おさらいクイズ
2015年、第17回ショパン国際ピアノ・コンクール(以下、ショパン・コンクール)が終わりました。優勝は韓国出身のチョ・ソンジン。N響の定期公演で早速演奏を披露。巨匠フェドセーエフ指揮の元、ピアノ協奏曲第1番を演奏し聴衆を魅了しました。担当(く)もテレビで大いに楽しみました。コンクールのライブを収めたCDも素晴らしいですよ。今後の彼の活躍に期待です!
ここで、ショパン・コンクールの歴史の一部を、クイズ形式でおさらいしてみましょう!
Q1 チョ・ソンジンのほか、過去に二人のアジア人が優勝しています。名前と国名は?
ダン・タイ・ソン(1958 年生/ベトナム)、ユンディ・リ(1982 年生/中国)
ダン・タイ・ソンは1980年第10回における、アジア人初の優勝者です。戦時下(ベトナム戦争)、防空壕の中でも紙鍵盤でピアノを練習し続けたというエピソードはあまりにも有名です。この回は、クロアチアのピアニスト、イーヴォ・ポゴレリチ(1958年生)の演奏をめぐり審査が紛糾した、いわゆる“ポゴレリチ事件”でも注目されました。ちなみに日本人では、1970年第8回出場の内田光子の第2位が最高位です。
Q2 1937年、二人の日本人が初めてコンクールに出場しました。「特別聴衆賞」を受賞したピアニストの名前は?
原 智恵子(1914 年生- 2001 年没)
1937年第3回に、甲斐美和子とともに出場しています。ラザール・レヴィに師事し、パリ国立音楽院を首席で卒業した原は、ヨーロッパで高い評価を得ていました。ショパン・コンクールでは第15位という結果に。これに対し聴衆が憤慨し大騒ぎになったため、急遽「特別聴衆賞」が設けられたのだそうです。その後、演奏活動のほか後進の指導にも尽力しました。
ご興味がある方は下記サイトへ…
・原 智恵子公式サイト
Q3 2015年、コンクールの公式ピアノに採用された4つのピアノ・メーカーは?
スタインウェイ(アメリカ)、ヤマハ(日本)、カワイ(日本)、ファツィオリ(イタリア)
NHK BSで放映された「もうひとつのショパン・コンクール」をご覧になった方も多いと思います。コンクールは演奏者だけでなく、ピアノ・メーカーの戦いの場でもあるわけですね。演奏者がどのピアノを選ぶか、それぞれのメーカーの調律師に焦点をあてながらその攻防を追うという、大変興味深い番組でした。ちなみに、それまで見向きもされなかった日本のメーカー2社が、公式ピアノに採用されたのは、両社同時の1985年第11回のことでした。
2月
究極の名盤を聴く⑦グリーグ ピアノ協奏曲 イ短調 Op.16
23人の音楽評論家が選んだ究極の名盤ガイド『クラシックCD エッセンシャル・ガイド150』をもとに、歴史に残るピアノ曲の名盤をご紹介するコーナーです。
今回は、グリーグの〈ピアノ協奏曲 イ短調 Op.16〉をご紹介いたします。この曲は、妻ニーナとの結婚の翌年、新婚生活の中で書かれました。北欧的な叙情と、ピアノの美しい演奏技巧が盛り込まれています。グリーグの代表作でもあります。
数あるピアノ協奏曲の中でも、非常に人気の高い曲です。
名盤BEST 5 |
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ディヌ・リパッティ Dinu Lipatti [1917-1950(ルーマニア)] リパッティは、演奏家として輝かしいヴィルトゥオーソであったばかりでなく、感受性と繊細さをそなえており、音色に対する鋭敏な感覚にもたいへん恵まれていました。したがって、彼の古典派の作品も無味乾燥な演奏に陥ることはなく、ロマン派の作品においてはさらに貴族的な洗練された音楽をつくりあげ、情熱に押し流されることはありませんでした。それはグリーグの協奏曲でも発揮されています。 |
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クリスティアン・ツィマーマン Krystian Zimerman [1956 -(ポーランド)] ツィマーマンの雄弁さが輝く演奏です。強弱のニュアンスが豊富で、見事なテクニックによってすべての音を鳴り響かせています。こんなに曖昧な部分のない、メリハリのあるグリーグは滅多にありません。高音のきらめきから繊細なピアニッシモの囁きまで幅広く表現しています。カラヤンの指揮もドイツ後期ロマン派を彷彿させます。 |
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スヴャトスラフ・リヒテル Sviatoslav Richter [1915-1997(ウクライナ)] リヒテルならではの、スケールの大きい音楽世界を繰り広げています。聴き手を圧倒するすさまじい気迫の一方で、グリーグ特有のメランコリックな美しさに彩られた各主題を、やや遅めに設定されたテンポで、優美にしっとりと歌い上げています。マタチッチの指揮もしたたかなオーケストラ演奏でリヒテルに対抗しているように聴こえます。 |
「クラシックCDエッセンシャル・ガイド150」(小社刊)より
1月
時代を知る⑧ W.A.モーツアルト 生誕260年
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