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小学生白書30年史(1989~2019年)

【調査テーマ】「小学生の学習・日常の30年を振り返る」

第1部 小学生の学習・学習環境の変遷
1. 学び
(2)嫌いな教科
★男女ともに「国語」「算数」が多く選ばれるが、近年は「嫌いな教科なし」が1位

表1-1-(2)- a 嫌いな教科(・男女総合:1989~2019年)

 

  • (注1)表中の教科の下の数字は、好きな教科と回答した児童の割合
  • (注2)1989~1994年および1999~2005年までは複数回答、1995~1998年までは複数回答(2つ選択)、2010年以降は単数回答

表1-1-(2)-aは、1989~2019年まで小学1~6年生男女を対象に実施した「嫌いな教科」(上位5位)の変遷を記している。  

2010年より「嫌いな教科なし」の選択肢が導入されたものの、1989年以降の24回にわたる調査を俯瞰すると、「国語」「算数」、次いで「社会」が長年にわたりランクインしている。2000年代までは、僅差ではあるが「国語」の方が算数より人気が上回る傾向がみられるが、単数回答式となり選択肢に「嫌いな教科なし」が加わった2010年以降は「算数」が「国語」を追い越す傾向が出ている。

2010年以降の特徴として、2014年以降「嫌いな教科なし」という回答が連続して1位を占めていることが指摘できる。また、「嫌いな教科なし」という回答者の比率も2014年以降の6回の調査全てで25%を超えている。

「算数」「国語」以外を見ていくと、3年生以降に履修する「社会」が全てにランクインしているが、後述する男女別のランキングを参照すると、特に2010年以降に関しては女子の影響が大きいことがわかる。一方で、2014年頃までほぼ毎年ランクインしている「音楽」に関しては男子の影響が大きい。「道徳」は2005年頃まで継続的に選ばれているが、男女別の割合に大きな隔たりはみられない。

表1-1-(2)-b 嫌いな教科(男女別:1999~2019年)

 

●男子

↑クリックすると大きな図が見られます

 

●女子

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(注1)表中の教科の下の数字は、好きな教科と回答した児童の割合(単位:%)
(注2)1999~2005年までは複数回答、2010年以降は単数回答

表1-1-(2)-bで「嫌いな教科」を男女別にみると、多くの年で男子は「国語」が、女子は「算数」が連年1位を占めていることがわかる。さらに、「好きな教科」と照らし合わせると、「算数」については男女で好き嫌いの二極化がみられる。

男子は好きな教科として「算数」が連年1位であるが、嫌いな教科としても常連となっている。割合でみると「好き」と回答している割合が毎回上回っている点が特徴的だが、女子はその逆である。女子は、1999年から2019年に至るまでの13回全ての調査で「算数」が嫌いな教科1位に選ばれており、好きな教科としても2015年以降順位を上げて17~18%で2位に選ばれていながらも、「嫌いな教科」としての認識の方が強い様子がわかる。

その他、男女で異なる特徴をあげるとすれば、男子では「音楽」、女子では「体育」が毎回ランクインしている。加えて「社会」は2010年以降女子のみにランクインしている点も特徴的である。 男女の共通点としては、2010年以降「嫌いな教科なし」が高い順位を占めていることがあげられる。2013年の女子を除き、連年20%を超える児童が「嫌いな教科なし」と回答しているのは心強い。

小学生白書Web版 2020年8月調査