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図A-6.震災前からの緊急連絡網の手段と状況
東日本大震災のような災害時において、保護者が子どもの状況をいち早く知る手段のひとつとして考えられるのが、緊急連絡網である。ただし、この緊急連絡網、個人情報を巡る社会的な情勢や、情報通信機器の多様化、雇用・就労形態の多様化などによって、以前のように電話一本ですべての家庭に連絡がつくという状況にはなりにくい。震災の有無に関わらず、昨今の学校と家庭の連絡の現実において、緊急連絡網のあり方は、実は意外と課題が多いのではないかと思われる。ところで今回の震災では、こうした緊急連絡網はきちんと機能し役に立ったのだろうか。まずは震災前から緊急連絡網があったのかどうかという実態から尋ねてみた。今回の調査では電話かメールかいずれかの手段による緊急連絡網の有無を尋ねた。その結果を図A-6に示す。そこからはやや意外な姿が浮かび上がる。すなわち、メールあるいは電話いずれかの手段による緊急連絡網がないと答えている保護者が約5%ほど存在していることである。この5%(=約50名)を多いと見るか少ないと見るか、判断することは難しいが、いずれの連絡手段にもよらずにどのような連絡手段によって学校との連絡を図っているのか、興味深いところである。さて、残る約95%の保護者については学校に緊急連絡網が存在したが、電話による連絡網がメールを若干上回る程度であった。震災当時の通信網の規制と混乱を念頭に置いた場合、いずれの連絡手段が妥当かは単純に判断できない。電話の場合は携帯電話への着信が困難となり、メールの場合は着信までに時間を要するなど、いずれの手段においても何らかの障害が生じていたためである。緊急連絡手段を電話だけあるいはメールだけに限定するのではなく、複数の系統を準備しておくということも検討される必要があるのかもしれない。
(桐蔭横浜大学准教授:角替弘規)