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(明治学院大学准教授:石井久雄)
3月11日の「集団下校」の問題点は、何であろうか(図4-4参照)。
図4-4.集団下校の課題
第1に、「教師に個々の家まで子どもを送り届けてもらえなかった」ことが「あった」保護者のうち、4分の1の者が(25.8%)、そのことを不満だったと回答している(「とても不満に思った」と「まあ不満に思った」の合計の割合)。逆に言えば、4分の3の者は、不満に感じておらず、「集団下校」という形で下校させるかぎり、個々の家まで送り届けてもらえなくても仕方がないと捉えているようである。
第2に、「余震が続いていたのに、早々に帰宅させられた」ことが「あった」保護者のうち、約半数が、そのことに対して不満だったと回答している(51.6%)。逆に言えば、約半数の者は、不満には感じておらず、保護者の中でも意見が割れている。地震発生後、どの時点で「集団下校」をさせるのか。学校は難しい判断を迫られることになるといえよう。
第3に、「保護者が家にいなかった子どもへの対応が不十分だった」ことが「あった」保護者のうち、大多数の者が、不満だと回答している(84.4%)。共働き等で保護者が不在で、家の外で待っているしかない子どもがいたと推測できる。「集団下校」はその性格上、子どもを保護者に確実に引き渡すことができる訳ではない。保護者不在の家庭の子どもは、学校に戻ってこさせる等、子どもを一人にさせない手立てを講じることが、「集団下校」の最大の課題であるといえよう。