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遠藤宏美(宮崎大学特任助教)
「速報版」でも紹介されているが、あらためて、東日本大震災が発生した日の子どもの下校の様子を確認しておこう(図1-3)。最も多かった下校方法は「引き渡し」(43.5%)であるが、わずかな差で「集団下校」(40.3%)が続いた。これらを合計すると全体の8割を超え、発災当日、首都圏の多くの学校では「引き渡し」もしくは「集団下校」を選択したといえる。このことを言い換えると、「引き渡し」にしろ「集団下校」にしろ、8割強の子どもは「誰かと一緒に下校した」ということになり、学校が子どもたちの「安全」とともに「安心」を確保しようとしたことが窺える。ただ、どちらかといえば、確実に子どもを保護者に引き渡すことができる方法(引き渡し)を選んだ学校が多かったようである注4)。
一方で、10.9%の「一人で帰ってきた」子どもたちに、「安全」と「安心」がどのように確保されたのかが心許なく感じる。しかし、調査対象となった東京都・神奈川県・埼玉県では、場所によっては震度3~4程度のところもあるなど、揺れ方や被害の程度に大きな差があった。そのため、比較的揺れの小さかった学校では、一人で帰ることを禁じなかったケースもあったとみられる注5)。 なお、「その他」の下校方法を自由記述の回答から見てみると、「学童保育からの引渡し」や「学童の指導員が引き取りに行ってくれた」など学童保育を経由しての帰宅や、「友達のお母さんが何人かの友達と一緒に送り届けてくれた」、「友達の家にあずかってもらった」など子どもの友人関係での助け合いが多く見られた(子どもの学年段階別の下校の仕方については、第2章を参照されたい)。
図1-3 東日本大震災が発生した日の、子どもの下校方法(N=927)