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角替弘規(桐蔭横浜大学准教授)
まず、学校における防災対策の認知度から見てみよう。図2-1は、震災前における学校の防災対策に対する認知の違いを比較したものである。
図2-1.「東日本大震災が起こる前にあなたのお子さんが通っている学校の防災に関して、次のことをどの程度知っていましたか」への回答(%、N=927)
ここから明らかなことは、「災害時の子どもの下校方法」、「避難訓練等の防災教育」、「学校が避難所に指定されているかどうか」の3項目以外の項目では「知らなかった」という回答が多くなっているという点である。「子どもの下校方法」や「防災教育」についても、僅かながらに「知っている」割合が多いにすぎず、やはり半数近くが「知らない」と回答している。
特に「知らなかった」と回答した保護者の割合が多かったのは、「学校の施設・設備の安全点検について」と「学校の防災計画について」であった。これらの項目は、学校内で行われることであり、家庭の保護者には直接関わりの少ない事柄でもあるがゆえに、「知らなかった」とする割合が多くなっていると思われる。
一方で、子どもの引き取りや下校に際して重要な事項となるであろう通学路の安全確保に関する項目(「通学路で災害時に危険になる場所や安全な場所について」)や、学校との連絡のあり方を問う項目(「災害時における学校との連絡手段について」)の2項目においても、それぞれ「知らなかった」とする回答が半数以上を示している。先に示したとおり、「災害時の子どもの下校方法」についても5割弱の保護者が「知らなかった」と回答していることと考え合わせると、やはり、災害時に子どもをどのように保護するかということについて、より実態に即した対策が検討される必要が示されているのではないだろうか。