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小学生白書Web版 2011年6月調査>分析編>

第3章 家庭状況別にみた東日本大震災発生時の下校の困難さ

(明治学院大学非常勤講師:渡辺恵)

1.家庭状況別にみた、震災当日における子どもの下校に伴う保護者の大変さ

 回答者とその配偶者の就労状況は、表3-1の通りである。ふたり親家庭では、回答者とその配偶者が共に、フルタイムもしくはパートタイムで働いている家庭(以下、「共働き家庭」と記す)が約4割である。そのうち保護者がどちらもフルタイムで働いている家庭が11.8%であり、それ以外の家庭が30.4%である。回答者もしくはその配偶者のいずれかが働いている家庭(以下、「片働き家庭」と記す)は約5割であった。ひとり親家庭では、フルタイムもしくはパートタイムで働いている家庭は36家庭中31家庭である。なお、就労状況別の分析では、「共働き家庭」と「片働き家庭」のみに焦点をあてていく(1)

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表3-1.保護者の就労状況からみた家庭のタイプ

 東日本大震災が発生したとき、在宅の大人がいたかどうかを尋ねたところ、「いた」と回答した家庭(以下、「在宅家庭」と記す)が61.3%(568家庭)、「いなかった」と回答した家庭(以下、「不在家庭」と記す)が38.7%(359家庭)であった。保護者の就労状況と、震災時における大人の在宅/不在宅の状況との関係に着目すると(表3-2)、「共働き家庭」の5割強は、大人が家にいない状態であったことがわかる。特に、両親が共にフルタイムで働いている場合には、その割合は7割強までに上昇しており、多くの家庭で大人が不在であったことが窺える。それに対して、「片働き家庭」では、7割強の家庭において、大人が在宅していたようである。

表

表3-2.就労状況別にみた震災時の大人の在宅/不在の割合(上段:% 下段:家庭数)

<注>
(1) ひとり親家庭にみられる震災に伴う困難さやその対応の課題は、ふたり親家庭とは異なる点があると考えられる。しかし、今回の調査では、ひとり親家庭のケースが少数であったことに加え、調査内容が子どもの下校の大変さに絞られているため、ひとり親家庭ならではの震災時における課題を引き出すには限界があると考え、ここでの分析から除外した。この点に関しては、今後の課題としたい。