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(明治学院大学非常勤講師:渡辺恵)
まず、就労状況別に、震災当日の子どもの下校に対する保護者の反応を見ていくことにしよう。震災当日の子どもの下校について、大変な思いをしたかどうかを尋ねた質問(図3-1)では、「共働き家庭」では、「大変だった」と回答した割合(「とても大変だった」と「まあ大変だった」の合計)は、33.6%である。「片働き家庭」では28.9%である。この結果からは、子どもの下校に関わる保護者の大変さに対して、就労状況が大きく影響しているとは言い難い。ただ、保護者が共にフルタイムで働いている家庭に目を向けると、16.5%の家庭が「とても大変だった」と回答しており、その割合は他の家庭の倍である。この点で、保護者が共にフルタイムで働いている家庭では、災害時の子どもの下校に関してより大変さが増す傾向にあると推察される。
図3-1.就労状況別にみた震災時の子どもの下校に伴う保護者の大変さ(%)
では、震災時の下校方法の違いを統制した場合、保護者の就労状況により、子どもの下校に関わる大変さは違ってくるのであろうか。ここでは、震災時に多くの学校で選択された「集団下校」と「引き渡し」の下校方法に絞って検討していくことにする(図3-2)。「集団下校」の場合、「共働き家庭」では3割強の保護者が大変さを感じているのに対して、「片働き家庭」では2割強であった。このことから、「集団下校」に伴う保護者の大変さには、就労状況の影響が窺える。
子どもの下校方法が「引き渡し」の場合では、「共働き家庭」において「大変」と回答した割合は38.0%であり、「片働き家庭」では36.1%であった。「引き渡し」下校に伴う保護者の大変さでは、就労状況による違いはほとんど見られない。この点から、「引き渡し」に伴う大変さは、下校方法そのものに課題があると考えられる。それは、「引き渡し」の手続き上の問題が大きく影響しているのではないだろうか。
図3-2.下校方法、就労状況別にみた震災時の子どもの下校に伴う保護者の大変さ(%)