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小学生白書Web版 2011年6月調査>分析編>

第4章 下校方法別にみた東日本大震災時の下校の実態

(明治学院大学准教授:石井久雄)

4.集団下校と引き渡しの比較
(5)集団下校と引き渡しの比較

 これまでの結果をまとめてみると、集団下校よりも引き渡しで帰宅した子どもの保護者の方が、3月11日の下校は「大変だった」と感じている。それにも関わらず、別の方法で下校するよりは、「引き渡し」で下校したことを「良かった」と感じている。また、「引き渡し」によって下校した子どもの保護者の方が、「学校の対応は適切であった」と思っている。さらには、「引き渡し」で下校した子どもの保護者の方が、家族同士の関係や家庭と学校の関係が深まったと感じている。

 このように、保護者は、「集団下校」よりも「引き渡し」の方を望んでいるといえよう。それは、「集団下校」には、子どもの身の安全に関わる問題が生じてくるからである。「引き渡し」では、学校にいる限り、先生や大人が周りにおり、子どもの身の安全に関わる問題は起きにくいと考えられる。とはいえ、「引き渡し」にも課題はある。保護者の声に耳を傾けながら、災害時のよりよい下校方法を模索していくことが重要である。