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角替弘規(桐蔭横浜大学准教授)
これらの比較をした時に、一貫して大きな傾向の違いが観察されたのは、保護者の性別による違いである。震災前において、自分の子どもが通う小学校の防災計画を「まったく知らなかった」と回答した者を、震災時に大人が在宅していたかどうか、そして、保護者の性別ごとにまとめたものが表2-2である。
表2-2 「東日本大震災が起こる前にあなたのお子さんが通っている学校の防災に関して、次のことをどの程度知っていましたか」に「まったく知らなかった」と答えた保護者の割合(震災時在宅状況別、保護者(回答者)性別、%)
「低学年」は小学校1・2年生、「中学年」は小学校3・4年生、「高学年」は小学校5・6年生
ここから明らかなことは、震災当時大人が在宅していたか、していなかったかに関わらず、男性の保護者の方が防災計画について「まったく知らなかった」と回答している割合が非常に多くなっているということである。特に「災害時の子どもの下校方法について」では、大人が在宅していた家庭では男女で約2倍、大人が在宅していなかった家庭については男女で約3倍の違いとなっている。やはり、学校や子育てに関わることは男性の保護者よりも女性の保護者に任されている傾向にあると解釈することができそうである。しかし、こうした性別役割分担が一般的であるとすれば、この震災を一つの契機として、これを見直す必要があるのではないかと考える。すなわち家族の危機管理、リスクへの対応という観点から、男性・女性という保護者の性別に関わりなく、防災対策については同じ情報を共有し、同じレベルの防災・避難を実践することが必要なのではないだろうか。もしかしたら、どちらかの保護者が命の危険にさらされるかもしれない。どちらかの保護者が帰宅することができなくなってしまうかもしれない。そのような状況に陥っても、いずれかの保護者が適切な行動をとることができれば、家族のリスクを少しでも軽減することができるだろう。