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(明治学院大学准教授:石井久雄)
3月11日の「引き渡し」の問題点は、何であろうか(図4-6参照)。
図4-6.引き渡しの課題
第1に、「引き渡しカード」にまつわる問題である。母集団が小さいものの「引き渡しカードに記載していない者にも引き渡したこと」を経験した者のうち、1割強の者(15.8%)が不満に思っている(「とても不満に思った」と「まあ不満に思った」の合計の割合)。また、「引き渡しカードに記載してあった者にしか引き渡しをしなかったこと」を経験した者のうち、約3割が不満に思っている(31.3%)。「引き渡しカード」に「記載していない者」に引き渡しても、「記載してある者」にしか引き渡さなくても、不満が生じてしまう。難しい問題ではあるが、「引き渡しカード」に記載できる人数を増やす等の改善策を検討してみても良いかもしれない。
第2に、「学校に着いたのに、引き渡しまでに時間がかかった」という経験をした者のうち、約半数の者が、そのことに対して不満に感じている(52.5%)。学校側としては、緊急時であり、手間取ることが多々あったと予測できるが、訓練を重ねることによって、時間短縮を図ることが望まれる。
第3に、「保護者が学校に迎えに行けない子どもへの対応が不十分だったこと」を経験した者のうち、不満に思っている者が4分の3以上にのぼり、比較的高い割合を示している(75.5%)。いわゆる「帰宅難民」になってしまった保護者は、子どもを迎えに行くのが、大幅に遅くなってしまう。そのとき、子どもにどのような対応が必要となるのであろうか。食事や寝る場所の確保等はもちろんのこと、不安な気持ちがふくらんでいく子どもにどう寄り添うのか。学校で長く待っている子どもを安心させることこそが、「引き渡し」で最も重要な点であるいえよう。