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小学生白書Web版

小学生白書Web版 2011年12月調査

クリスマスの過ごし方

★5、6年生のクリスマスの過ごし方に注目!
Q12 クリスマスはどのように過ごしましたか。

図L-② クリスマスの過ごし方(学年別、複数回答)

折れ線グラフ

学年が上がるとともに、クリスマスの過ごし方は、変わるのであろうか。成長とともに、子どもは世界を広げていく。そうであるならば、6年生になるにつれて、クリスマスは、「家族で過ごすよりも友だちと過ごす」(「家族→友だち」)、「家で過ごすよりも外(レストランやテーマパーク等)で過ごす」(「家→外」)、「家族と家で過ごすよりも、友だちと外で過ごす」(「家族&家→友だち&外」)ことが多くなると予想できる。

そうした傾向を捉えるために、選択肢を次のようにまとめた。まず、「家族→友だち」という軸を明確にするために、「友だちをよんで家でパーティをした」と「友だちの家でパーティをした」の2つ選択肢を、新設する「友だちと家でパーティをした」の選択肢にまとめた。次に、「家→外」という軸を明確にするために、「レストランなどで家族とパーティをした」と「家族とテーマパークや遊園地などで過ごした」の2つの選択肢を、新設する「レストランやテーマパークなどで家族と過ごした」の選択肢にまとめた。さらに、「家族&家→友だち&外」という軸を明確にするために、「レストランなどで友だちとパーティをした」と「友だちとテーマパークや遊園地などで過ごした」の2つの選択肢を、新設する「レストランやテーマパークなどで友だちと過ごした」の選択肢にまとめた。上記の手続きを行った上で、学年別にそれぞれの割合を示したものが図L-②である。

果たして、6年生になるにつれて、「家族と家でパーティをする」割合が減少していき、「友だちと家でパーティをしたり」、「レストランやテーマパークなどで家族と過ごしたり」、「レストランやテーマパークなどで友だちと過ごしたり」する割合が増加していくのであろうか。

図L-②をみてみると、「家族と家でパーティをした」者の割合は、1~4年生では85%前後で横ばいであるが、5,6年生になると80%を下回り減少している(5年生:79.1%、6年生:74.3%)。しかし、「友だちと家でパーティをした」(「家族→友だち」)、「レストランやテーマパークなどで家族と過ごした」(「家→外」)、「レストランやテーマパークなどで友だちと過ごした」(「家族&家→友だち&外」)者の割合は、学年との関係において、顕著な変化はみられない。予想は見事に裏切られた。唯一、学年とともに変化するのは、「特に何もしなかった」で、1~4年生では5%前後で横ばいであるが、5,6年生になると10%を越えて増加している(5年生:10.2%、6年生:14.1%)。なお、性別による顕著な差はなかった。

このように、6年生になるにつれて、たしかに「家族と家でパーティ」をしなくなっていく。しかし、「家族→友だち」、「家→外」、「家族&家→友だち&外」といった方向には行っていない。そうではなく、クリスマスは、「特に何もしない」という方向へ進んでいっている。

こうした傾向は、何を意味しているのであろうか。背景には、思春期に入り始めた5,6年生特有の状況があるのかもしれない。すなわち、「いまさらホームパーティでパパやママとジングルベルの歌を唄うなんてカッコ悪いし」、「プレゼントさえもらえればパーティは別に」といった、冷めた見方をする、大人びた側面。しかし、「かといって、誰を誘って、何をしたらいいか分からないし」、「クリスマス・シーズンはどこも割高で、外で遊べるほどお金ないじゃん」といった、色々な意味で行動力を持ち合わせていない、子どもっぽい側面。そんな両方の側面を合わせもつ、5,6年生特有の心境が、「家族と家でパーティ」が減少し、「特に何もしない」が増加するという結果に表れているのかもしれない。

ところで、大人びた側面を強めていく、中学生、高校生は、どのようなクリスマスを過ごしているのであろうか。新たな問題意識が芽生えた。

(明治学院大学教授:石井久雄)

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