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シリーズ「教育大変動」を語る
第6回
「現役教員にも教員免許更新制度を適用」
教師の資質向上の3点セット
- 古川:
- 前に見送られた後に社会のニーズが高まってきたということですか?
- 梶田:
- そうです。社会のニーズということでいちばん大事なのは、教師の専門的な資質と力量です。人柄も含めて、高度専門職としての資質を備えていかなければいけない。それには定期的なリニューアルが不可欠ということです。
教師の質の向上のために、免許更新制だけを施策として打ち出したわけではありません。今回の答申では、それも含めた3点セットになっているのです。
1つめは、教職課程をもっと大学で責任を持って運営してもらうということ。教育実習も安易な母校実習は認めない。今、800余りの大学が教職課程を持っているのですが、これの外部評価をして、その結果によっては改善の勧告、あるいは命令、あるいは教職課程の認可の取り消しということも含むきちっとした措置を取るつもりです。
2つめが教職大学院の創設。これは結局、現職の先生が新たに高度な研修をする場合、また、これから教員になろうという人が高度なものを身に付けて現場に行ってもらうために、さらには、教育学部以外の学部の出身でも小学校の先生になる道を高度な形で準備します。そして実践力の高度化をねらうのが教職大学院です。
これらと教員の免許更新制とは、全部関連しているのです。
終身免許だったはずでは?
- 古川:
- 昨年の12月8日の教員養成部会の中間まとめでは、現役教員に対する免許更新制の導入に関しては、法的に問題があるのではないかということでした。今回それが盛り込まれたということは?
- 梶田:
- 問題はクリアされました。つまり中間まとめを出した後、法制局と教員養成部会と文部科学省の方とで協議を積み重ねてきました。確かに現職の先生方が免許をもらったときは、終身有効という約束だったわけです。それを途中から更新制を導入するのは、不合理では?ということで、法制局で検討してもらいました。
その結果、教員という高度で専門的な職種の場合には、そのライセンスが当初の想定と変わって、10年に1回の更新ということになっても、合理的な理由があるならば許されるという結論が法制局から出たんです。
そもそもは、現職の先生の質的水準の維持向上のための仕組みとして、更新制が言われてきたわけですね。ですから現職の先生をはずしてしまったら、こんなことをやる必要はないということにもなります。
- 古川:
- 国際的に見て、免許の更新制はどの程度普及しているのでしょうか?
- 梶田:
- 例えば近年、アメリカ・ニューヨーク州も導入しました。そのときも現職に適用するかどうか議論になったと聞いていますが、適用するということになりました。国際的にはまだ少数ですが・・・。
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