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渡辺恵(明治学院大学非常勤講師)
昨今、家庭はどのような経験を子どもたちに積ませようとしているのだろうか。図2-6は、子どもにどのような経験を与えることを心がけているかを尋ねた結果をまとめたものである。
図2-6.様々な活動経験の提供に対する家庭の方針(全体、性別 単位:%)
※「とてもあてはまる」または「まああてはまる」に回答があった割合
全体をみると、もっとも多くの家庭が子どもに与えている経験は、地域活動への参加であった。「地域のお祭りや行事に子どもと一緒に参加するようにしている」家庭は72.1%であり、大半の家庭が地域活動への参加を積極的に行うようにしていることがわかる。また、「子どもが身体を動かす機会を多く持つようにしている」家庭も全体で6割を超えている。この点で、保護者が子どもの体力を向上させることに心がけている様子が窺えよう。
ところで、どのような経験を子どもに与えようとするのかは、子どもの性別が大きな意味をもっているようである。とりわけ、身体的な活動と芸術的な活動の経験を与えることについてはそうである。全体では、「自然の中で遊ばせたり、スポーツをさせたりと子どもが身体を動かす機会を多く持つようにしている」家庭は、子どもが男子だと約7割に上り、女子の場合には約5割強にとどまる。反対に、「楽器を演奏したり、絵をかいたりするなど、芸術的な活動をする機会を多く持つようにしている」の項目では、子どもが女子の場合53.4%であるが、男子の場合は26.8%と、女子の約半分程度になっている。また、芸術的な活動ほど大きな差は見られないが、「休日などには博物館、美術館、図書館、映画、演劇などに連れて行くようにしている」でも、女子の方が男子よりも6ポイントほど高い。
このように、子どもが男子の場合には、身体的な活動経験を与えることに力を入れているが、子どもが女子の場合には、芸術的・教養的な活動経験を与えることに力を注ぐようである。どの教育を選ぶかは、性別に対する保護者の意識が強く反映していると推察できよう。