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遠藤宏美(宮崎大学特任助教)
この調査では、「あなたのお子さんの理科の成績は、学校のテストの点数や通知表からみてどれくらいですか」という質問に対して「とても良い」「まあ良い」「あまり良くない」「まったく良くない」の4段階で回答してもらった(以下、「学校の理科の成績」とする)。この回答結果を用いて、「理科好き」と「学校の理科の成績」との関係を見てみよう。
まず、男子のほうが女子よりも「理科好き」である割合が高いことは、先(図3-1)に示したとおりである。では、「理科の成績の良さ」について男女差があるか、確認してみよう。男女別に「学校の理科の成績」の程度を示した図3-6の結果を見ると、男子でわずかに「とても良い」・「まあ良い」が多いものの、「理科の成績の良さ」については男女の差があまりないことが見て取れる。
図3-6 「学校の理科の成績」の程度(男女別)
次に、「理科好き」の程度と「学校の理科の成績」との関係を見てみよう(図3-7)。理科が「とても好き」な子に着目すると、半数以上(56.5%)が「学校の理科の成績」が「とても良い」との回答であり、「まあ良い」も含めるとほとんど(97.7%)の子が理科の勉強が得意であることがわかる(付言すると、「学校の理科の成績」が「まったく良くない」という回答は皆無であった)。そして理科好きの程度が低くなるにつれ、「学校の理科の成績」が良い子の割合も減っていき、理科を「まったく好きではない」子の理科の成績は、「あまり良くない」と「まったく良くない」を合わせて74.2%にも及ぶ。すなわち、「理科が好き」であればあるほど、「学校の理科の成績」も良いことが明らかである。
図3-7 「理科好き」と「学校の理科の成績」との関係(「理科が好き」な程度別)
では、「理科好き」の2つの資質と、理科の成績との関係はどうであろうか。「論理的・計画的」得点群および「好奇心旺盛・行動的」得点群別に、「学校の理科の成績」が良い(「とても良い」+「まあ良い」)と回答した割合を示したものが図3-8である。どちらも得点が高い群ほど「学校の理科の成績」が良い割合が高く、「高群」ではそれぞれ90%を超える。それぞれの資質について、得点の低群と高群とを比較した場合、「論理的・計画的」得点群ではその差が25.0ポイント(高群:93.8%-低群:68.8%)、「好奇心旺盛・行動的」得点群のそれは20.2ポイント(高群:91.0%-低群:70.8%)であった。どちらの資質も、それを有することが理科の成績の高さにつながりやすいが、「論理的・計画的」な資質を高く持つほうが、より理科の成績が良い傾向にあるようだ。なお、それぞれの資質の得点と「学校の理科の成績」の程度との相関係数を求めたところ、どちらも弱い正の相関であるが、「論理的・計画的」な資質とは0.315であるのに対し、「好奇心旺盛・行動的」な資質とは0.252と係数が小さく、相関が弱かった(どちらも1%水準で有意)。このことからも、「論理的・計画的」な資質の高さが「学校の理科の成績」の良さとより深く関係していると考えられる。
図3-8 「論理的・計画的」得点群・「好奇心旺盛・行動的」得点群別に見た、「学校の理科の成績」が良い(「とても良い」+「まあ良い」)割合